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「知財で稼ぐ」ことは、日本の産業力の高さを示すと同時に国際経常収支の安定化をもたらす好条件だが、知財で得た収益は、限定的な人たちに分配され、広く分配されないという難点を孕んでいる。
知財で得る国際収益は、国内の開発・技術スタッフの活動力がベースではあるが、その実現は海外の生産拠点の活動力によってなされている。海外での製造販売活動で稼いだ付加価値の一部が日本に還流してきたものである。
一方、輸出増大による国際収益の増加は、国内製造業のトータルな活動力が生み出している付加価値の増加であり、広く納入事業者を含む工場労働者やスタッフワーカーの所得を支えることに直結している。
仮に同じ金額レベルの収益であっても、知財から得たものは、開発部門の拡充には使われるかもしれないが、労働者の所得を支える方向で使われにくく、株式配当や内部留保に向けられやすいという性格を持つ。
生産拠点の海外への移転は日本経済の成長のために必要なものも多いことは認めるが、それは、一時的な企業利益の最大化ではなく、日本経済の将来にわたる利益を最大化するかたちでなければならない。
国民生活を支えるのが日本経済ということを考えれば、「世界の工場」と「世界の開発拠点」をうまく両立させていかなければならない。
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「知財で稼ぐ」鮮明 5月経常収支、4カ月連続黒字
2014/7/9 0:03
財務省が8日発表した5月の国際収支速報によると、日本企業が特許などの知的財産権を使って海外から得た収入が4810億円と過去最大となった。海外生産の拡大で、日本の本社が海外子会社に特許などを貸して受け取る収入が増えた。ただ著作権に限ると収支は赤字だった。
国際収支のうち、海外とのモノやサービスの取引状況を表す経常収支は5228億円の黒字だった。黒字は4カ月連続だが、輸出の伸びが鈍り、黒字額は前年同月に比べ7.7%少なかった。
伸びが目立ったのが知的財産権を使った収入だ。受取額は前年同月に比べて14%増えた。日本が海外に支払う分を差し引いた知財の収支は2754億円の黒字となり、2012年3月(3270億円)に次ぐ過去2番目の高水準だった。
知財収支のうち黒字が増えているのが、製造業の特許使用料などを表す産業財産権。5月の収支は3389億円の黒字で、前年同月に比べ18%増えた。背景には海外への生産シフトがある。
日本企業の国内拠点は先端技術を磨いて海外拠点を支援する役割が増している。このため例えば自動車メーカーの場合、日本の本社が車の設計図やデザインを海外拠点に貸し、現地で生産するごとにライセンス収入を受け取る取引が発生する。
日本自動車工業会によると、大手自動車メーカーの海外生産は13年に1675万6000台と5年前に比べ44%増えた。こうした生産シフトは輸出の減少につながるが、現地での自動車出荷額のうち5〜10%程度が相場とされるライセンス料の収入が貿易赤字の一部を穴埋めしている。
ただ知財のうち著作権の収支は5月に634億円の赤字だった。パソコンのソフトウエアを米国に依存しているのが主因だ。今後さらに知財収支の黒字が増えるかどうかは、日本のアニメやドラマなどの輸出を通じて、著作権や商標権の貸し出しで得る収入が伸びるかどうかがカギになる。
グループ会社内で特許を貸し借りするだけでなく、外部の企業から得る特許収入を増やすことも課題だ。パナソニックや産業革新機構は大企業が使わない「休眠特許」を買い取り、新興国の企業などに貸したり売ったりするビジネスを始めた。特許庁によると135万件ある特許のうち、休眠特許は約5割を占めている。これらの有効活用が進めば、知財収支の黒字を押し上げる可能性もある。
▼知的財産権の収支 サービス貿易のやり取りを表す「サービス収支」の一部。日本企業が海外に特許や著作権を貸して得る金額から、日本企業が支払う金額を差し引いて計算する。製造業の特許使用料など産業財産権と、映画やドラマなど著作権の2つの収支で構成する。日本の知財収支は2003年に初めて黒字に転換した。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF0800V_Y4A700C1EE8000/?dg=1
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