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6月景気ウォッチャー調査について
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52611659.html
2014年07月08日 在野のアナリスト
内閣府が発表した6月景気ウォッチャー調査、現状判断DIが2.6pt改善し、47.7となりました。回答の傾向をみても、やや良くなっている、変わらない、が微増し、やや悪くなっているが減った。内閣府は基調判断を「緩やかな回復、駆け込み需要の反動減も薄れ…」と6ヶ月ぶりに上方修正しています。中身をみると、家計動向で小売、飲食がもどり、企業動向は非製造業が牽引した。一方で、雇用関連が悪化していますが、全体的に現状判断は良好な結果といえます。
ただし、先行き判断DIはやや良くなるが減って、変わらないが増えたため、0.5pt減の53.3でした。中身をみると、現状判断では回復した家計動向の小売や、企業動向の非製造業が落ちる。つまり現状、先行き判断をみると、今は少しもどったけれど、将来は現状維持か少し悪い、と考えていることになります。判断の境目が50で、先行きはそれを上回っていると言ってみたところで、何度も言いますが、反動減からの『変わらない』が増えているのなら、昨年並みの好況にはとどかない、という意味になるのです。そしてそれはその他の経済指標にも色濃く現れています。
7日、内閣府から発表された5月景気動向指数は、先行指数が0.8pt低下の105.7となり、4ヶ月連続の悪化です。重要なのは消費者態度指数のみ改善で、それ以外は軒並み悪化。特に、これは5月鉱工業生産指数でも示されていましたが、出荷が4ヶ月連続で減少しているにも関わらず、在庫が積み上がっている。これは将来的に、生産調整を余儀なくされる動きといえます。
しかしこれは世界的な傾向であり、英独の5月鉱工業生産指数が急減しており、懐疑的な見方も強いのですが、どうも生産の側に急ブレーキがかかっていることは間違いない。それは米国がほぼインフレ率と同水準の2%しか賃金が上がっていない。中国消費が不動産市場の悪化からガタ落ちしている。日本の駆け込み需要の反動、といった世界的要因と無縁とは、とても思えません。
日本では公共投資の前倒し、設備投資の増加、一時金増による消費回復、がシナリオとしてすでに組みこまれていますが、5月の雇用関連が悪化していることでも分かりますが、人材不足と在庫の積み上がりが顕著な中、企業に設備投資を積極化させるインセンティブはありません。一時金の増も、どこまで実質賃金の減少を補えるか? 公共投資の前倒しでも、人材不足から入札不調が乱発されれば、前倒しどころか停滞で。そうなるとこのシナリオはかなり楽観的、と指摘できてしまいますし、民間の4-6月期GDPは、下方修正が相次いでいるのが現状です。
このタイミングで、景気ウォッチャー調査の基調判断を上方修正する、内閣府の思惑は次のところにあるのでしょう。財務省悲願の消費税10%への引き上げ判断、これを下すために増税の落ち込みを支える、との名目で、景気対策としての追加予算を秋の臨時国会に提出する、そんな目算なのでしょう。これは異例の対応ですが、今は何としてもムードをよくするため、景気は好調と喧伝しておきたい。その上で、どうせ下がるのなら先に景気対策を打つ、ということで自民党内を納得させる。これは軽減税率導入議論が始まったことでも分かるように、規定路線なのです。
しかしその景気対策では、決して国民は潤わず、自民の利権団体を潤すだけに留まるのでしょう。4-6月期の落ち込みから、7-9月期に回復しなければ景気後退も覚悟しなければならない、そんな声も聞こえます。状況判断もできない政府では、そうなっても宜なるかな。そして4-6月期GDPが1-3月期GDPの6.7%増を大きく下回っても、増税につっこむようだと、もうこの政府を見放した方がいい、となってしまうのでしょうね。
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