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移民という名のデフレ政策
またぞろ新聞紙上や、雑誌で移民のキャンペーンをやり始めた。デフレ下の低所得国からの移民はデフレを招く事は前にも述べた。(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/2千8年8月12日デフレと日本の移民政策参照)
彼らの増加で生産量が増えても名目GDPは、比例して増えない。彼らは日本で得た所得の全額を、貯蓄や消費に回す訳ではない。本国に仕送りするため所得の一部が流出する。その分が不良在庫になるため、名目GDPの国民所得が生産量に比例して増えないのだ。
移民による生産量の増加に比例して所得が伸びるためには、インフレ市場が必要なのである。しかるに日本はインフレには程遠い所にある。
もし移民政策がデフレ解消や、年金の維持などを目的にするなら全くの見当違いなことだ。年間20万人の低所得国からの移民などデフレ政策そのものである。
理由
その1は、デフレ下での消費増を伴わない生産増は、所得を増やさず、付加価値が低下する。デフレの原因は生産能力に比べて著しい消費不足にある。
消費不足を補わない低所得国からの移民は、デフレをより進行させる。逆に高所得の退職した人々の移民は生産せず、消費を増やすためデフレの解消策となる。
その2は、低所得国からの労働者の移入は、本国への送金を伴うため、資金が流出する。そのため生産した生産物全部が消費されず、資金の流出分だけ不良在庫として残る。
言い換えると、低所得国からの移民労働者だけのGDPを統計すると、実質GDPの成長率より名目GDPの成長率が少なくなる現象が起こる。これはまさしくデフレを進行させている事を意味する。
低所得国からの移民が例えば日本で月10万円稼いだとすると、そのうち2万円を仕送りするものとする。その結果日本で8万円が使われ、残りの2万円が海外へ流出する。
結局2万円の生産物が不良在庫となり、その循環が繰り返され、経済は縮小していくことになる。
またある産業の一企業が移民などの低所得で働く人を雇い生産販売を行う事を考えて見よう。
デフレ下では、販売競争が激しく、低価格による薄利や、過剰サービスによる生産コスト増になっている。
そのため低所得労働者を雇い、生産コストを低減させたり、より原価の安い原材料を使用して販売価格を下げることが重要なことになる。
デフレ下では価格弾力性が高いため、低価格は市場を席巻する。他の企業はこれに対抗するために、価格を同程度に引き下げるか、過剰なサービスでしのがなければならなくなる。
そのため低賃金の労働者は企業の経営責任者にとって非常に魅力的なため
多くは容易な移民の低賃金労働者を雇うことになるだろう。
その結果多くの日本人労働者も低賃金で働くか、リストラされ失業することになる。そのようなことをしない企業は、生き残ることができず市場から退場せざる負えないからである。
その連鎖が低所得でも喜々として働く労働者を増大させ、肝心の日本の労働者が排除されていく。
日本の労働者は、税金や国民負担が大きいため、低賃金で働いていては、生活できなくなり、生活保護所帯に落ちぶれて行く。
それがさらに国民負担を増やし、デフレを加速させるのである。結局移民労働者が増えるにつれどんどんデフレが進行していく。
移民による労働力の増大は、生産量を増やすが、賃金を減少させる方向に働く。移民の労働力の増大が日本全体の賃金を低下させ付加価値を減らしていくのである。
日本は欧米と比べ労働に卑賎をつけない国だ。そのため同じような労働に、日本人と移民が混在することになる。そのため移民が増えた働き口は賃金が低下する。
低所得労働者が高所得労働者を凌駕する。そして税収もどんどん減少していく。これがデフレ下の低所得国からの労働移入の実際である。
これまで日本の経済学者達や専門家は一体何を勉強していたのだろうか。
1960年頃であれば、当時のアメリカや、ドイツなどの現象から移民がその国の所得を伸ばし、豊かにするという結論が帰納法的に得られたかもしれない。
それは、市場が拡大再生産し、貯蓄が豊富に存在するインフレ市場になっており、労働の投入量以上に付加価値が増えていたからである。
そのため外国人労働者が本国に仕送りする資金量以上に市場に資金量が増えていたため、拡大再生産を続けることができたのである。
アメリカの場合、このような現象が第2戦後長く続き、移民の増大が賃金の上昇をゆるやかにし、平価購買力を高めた。
アメリカの問題点は、先に移民した人達が金融資産を豊富にもって株主になっており、そこへ新たな移民が労働者としてやって来て、低所得で働く図式になっている。
新移民が労働を安く提供し、旧移民の購買力を引き上げている形になっている。アメリカンドリームという名の元に、やって来た比較的新しい移民が、金融資産を豊富に持っている古い年代の移民のために、低賃金労働に従事しているのである。これがアメリカンドリームの現実である。
ドイツでは、市場のインフレと、ドイツ国民の分厚い貯蓄、それにあいまって、海外への輸出率の高さによる海外からの資金流入が、移民の海外送金分以上にあるため、移民の増大が国民所得を増やすと思われたのだった。
もともと日本は輸出の比率が少なかったが、さらに最近の輸出動向から見ても輸出が増えていくようには見えない。現在の日本はドイツとは全く違うのだ。
アメリカやドイツなどの一部の例から、低開発国からの移民の増大は国民所得を増やすという結果を導き出すのは間違いなのだ。
いずれもインフレの時の事象であり、アメリカは金融国として成り立っており、ドイツは輸出の比率が非常に高い国だ。
オーストラリアはなぜ、高所得者の移民を望み、低所得国からの移民を拒否するのだろうか。
オーストラリアは長い移民の経験から、なかなか所得を増やすことができなかった。製造工業があまり発達せず、輸出が活発でない国では、低開発国からの移民は、労働投入量に応じた所得の伸びが得られないことを知っているのである。
アメリカは、メキシコ周辺からの密入国を厳しく取り締まっている。彼らが多くなれば確実に賃金が下がるからだ。
経済学的には、単純に移民を増やせば所得が増えるということはない。もしそうであるなら未開発国の人口増加は所得を増やしているはずである。
日本もこの20年間どこかの国の研修制度や、日系ブラジル人、その他の国々からの国内での労働者を増やしてきたが、その結果国民所得が増えるようなことがあったろうか。20年前と比べ労働賃金は明らかに下落している。
しかもデフレを伸長させている可能性が大きい。彼らを雇い入れる企業が、日本人と同じ給料や社会保険料を支払っているとは思えない。より有利になって他の企業を脅かしている。
研修制度の延長などは大問題だ。政府が補助金を払って最低賃金以下で働かせているなら、他の企業はいずれやっていけなくなる。あるいは、社会保険料、労災、雇用保険、厚生年金保険、など彼らは払っているのだろうか。
普通の日本の企業は社会保険にはいることが義務化されている
一体何のための労働者移入なのか。
インフレの先進国が、低開発国の労働者を受け入れることは経済的には有意義なものです。
インフレ国は、経済の過熱を押さえ、平価購買力を高める効果があり、インフレを沈静させ、低開発国への送金が、彼の国のデフレを弱め、生活を向上せしめるからです。
そのため低開発国からインフレ下の先進国への移民は経済学的に正しい政策である。富を再分配させる。
フランス、イギリスなどのヨーロッパ先進国は、アフリカからの移民を増やしているが、それは過去の歴史的な問題の補完的な意味では正しい。しかしそれによって国民所得が飛躍的に伸びているようなことはない。
リーマンショック後の停滞した中では経済的弊害の方が大きいだろう。
これに対しデフレの場合。低開発国からの移民は賃金の低下をもたらし、経済をさらなる縮小へと進める。
経済の縮小がさらなる労働賃金のカットとなり、多くの日本人が職場を奪われ、移民労働者が取って代わっていく。
日本はアメリカや、ブラジル、オーストラリアなどの人口がもともと希少であった国ではない。ヨーロッパ諸国のように何百年にもわたりアフリカなどから搾取したこともない。
そのためデフレ下で急いで労働者の確保や、生産量を上げるために移民を増やす必要はない。低所得国からの移民は、インフレ時の経済の過熱を押さえたり、富の分配、移動のためである。
デフレ時の移民は、経済を沈下させ、付加価値を減らすことになる。現にこの20年間日本も移民労働者を増やしたが所得が増えていない。
日本を取り戻す。誰の言った言葉か。言葉とは裏腹にやってることは、日本を売り渡すことばかりだ。
移民の増大の目論みや、経済特区の創設などは、外国人に日本の富を分け与えるだけで、日本人には回ってこない。
今の為政者や学者は、過去の間違った学説や、理論を闇雲に踏襲するだけで、それが正しいかどうかなど考えもしない。現実と理論の差を知るべきである。
デフレ下の移民、特に低所得国からの労働者の移入は、よりデフレを促進する政策であることを認識すべきである。
特にオーストラリアの移民政策が、なぜ高所得者を優遇するのか。あるいはここ20年間の日本の外国人労働者の増加にもかかわらず、なぜ所得が下がったのか、をよく考えるべきだろう。
一言主。
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/
デフレ・インフレの一般理論参照
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/
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