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中韓首脳会談
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52611323.html
2014年07月05日 在野のアナリスト
中韓首脳会談がソウルで行われています。今回、特徴的なのは中韓FTA交渉の加速など、互いに成果を焦っている点です。今回、中韓が歴史認識で共闘し、日本を攻撃しようとしている、とばかり伝わりますが、重視すべきは2点。むしろこちらがどう動くかで、歴史認識など両国ともふっ飛びます。その一つは習主席が示した『アジア安全観』。これはアジアの問題は、アジア人の手で解決するというもので、これに協力すると、韓国は中国に事実上軍事権の共有化をせまられます。
つまりアジア安全観を成立させるためには、アジアで最大の軍事予算をつかう国との協力関係が、絶対条件になります。これまでの米韓軍事関係は見直しを迫られる。韓国としては、北朝鮮を中国が抑えてくれるなら、米軍の傘から脱しても安寧を得られます。しかし世界最大の経済規模をもつ米国から睨まれれば、貿易面で米市場は諦めざるを得なくなる。今でさえ、車は燃費データの不正などで、携帯電話事業もバックドアの存在を指摘されて芳しくありませんが、リーマンショックの影響から脱して好調とされる米国、不動産に翳りのみえる中国、天秤にかければどう考えても米国からは脱せられない。アジア安全観に、今ひとつ乗れない事情があります。
もう一つは中国が提唱するアジアインフラ投資銀行(AIIB)です。これは米国や日本の影響力が強い、アジア開発銀行(ADB)、世銀などに対抗して、中国が主導してつくる国際金融ですが、韓国もこれには乗り気です。なぜなら、韓国は国の経済規模に対して、金融が圧倒的に弱い国なので、資金調達手段が増えるとの思惑もある。しかし韓国が誤っているのは、AIIBの規模と参加国によっては、韓国が二番手、三番手で出資を求められる点です。ADBにしろ、世銀にしろ、日米の影響力が大きいのは、それだけ出資しているためです。中国が最大の出資国になるとしても、それだけで資金が賄えるはずもなく、参加国で経済規模の大きい国に出資を求めることになります。
逆にみれば、経済規模に対して出資額が決まる以上、韓国には重い負担になりかねない。中銀などがウォン高牽制発言を行ったものの、さらにウォン高がすすみました。すでに介入の手を米国から見透かされている韓国に、ウォン高に対抗すべき手がない、と見透かされているのです。これは韓国金融が脆弱であり、中銀の介入がない限り、為替操作は不可能ということになるのです。
しかしアジア安全観、AIIBともに中国主導の、新たな世界秩序というべきものですが、その負担に堪えられる状況では、中国もありません。不動産バブルの崩壊がはじまり、金融不安、地方政府の財政不安に直結しはじめると、中国国家財政にも影響してきます。それは高負担を伴う両施策への責任をはたすことが困難になり、頓挫しかねない。習体制がすすめる痛みを伴う改革の結果、中国はコントロール不能な経済状態に陥る恐れすらある。いくら就任以来、5回の会談を重ね、蜜月ぶりをアピールしたいとは言え、韓国も安易に乗っかるのはリスクを伴うのです。
金融システムは、作るときは簡単ですが、壊れるときはつくるときの何十倍、何百倍の打撃を伴ってしまう。AIIBへの参加は、まさに今、中国経済をどう占うのか、各国の見識が問われるとも云えるのでしょう。今回の中韓会談、歴史認識で一致としてみても、双方とも教育として与えてきたものも異なり、国の上層だけが一致したとて、国民レベルでは首をかしげるものが多い。そこに双方の弱みもあり、だからこそ中韓FTAなどの期待を煽る以外に、国をまとめる術がない。両国とも経済が壊れ始めているだけに、経済で夢を与え、一方で対外的に敵をつくる、といった手法に依存しているのでしょう。大事なことは、両国の経済動向をよくよみ、その上で両国がどこまで蜜月をつづけられるか、という点にかかってくるのかもしれませんね。
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