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需要は安く使えるシニア 「有効求人倍率改善」のトリック
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/151606
2014年7月5日 日刊ゲンダイ
若者の職場は少ないまま(就職説明会)/(C)日刊ゲンダイ
バブル崩壊以降で最高の有効求人倍率(5月=1・09倍)――。
大手メディアは、求人数の増加により雇用環境が好転したと報じている。有効求人倍率の1倍超えは、求職者1人に対し、求人が1つ以上あるということ。倍率そのものを見れば、確かに雇用環境は改善だ。とはいえ、1・09倍はパートを含む数値で、正社員に限れば0・67倍。採用する側は非正規雇用を増やすことで、人手不足を乗り切ろうとしているのだ。
「正社員への求人は相変わらずドシャ降りなのだが、さらに求人の中身を丹念に見ると、とんでもない事態が進行していることがわかる」(市場関係者)
有効求人倍率は厚労省が毎月「一般職業紹介状況」で公表する。A4サイズ10枚程度の調査報告だが、ここでは触れられていない「年齢別有効求人倍率」という統計がある。この「年齢別」に雇用の悲惨な現実が潜んでいるのだ。
■若年層へのニーズ薄
経済のプロも指摘する。
「25〜29歳の若者に対する求人数はほとんど増えていないのが実情です。リーマン・ショック以前の06年と比べ、現在の求人数は7割にとどまっています。それなのに全体の有効求人倍率は回復してきた。どういうことかというと、50〜59歳の求人数が極端に跳ね上がっているのです。間違いではないかと思い、何回も統計数値を見直しましたが、結果は変わりませんでした」(第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏)
25〜29歳の有効求人倍率は、95年以降、0・8倍前後に張り付いている。一方、0・4倍付近をウロウロしていた50〜59歳は、ここへきて一気に0・9倍前後まで伸び、若者を追い抜いた。60〜64歳も09年の0・4倍前後から0・7倍近くにハネ上がっている。
「企業が欲しい人材はパートやアルバイト、シニア層、リタイア組と人件費を低く抑えられる人たちばかりです。将来の日本経済を背負う若者には目もくれない。近ごろの企業業績の好転も、円安効果と低賃金の労働者増加による人件費抑制に過ぎません。これでは本格的な景気回復は期待できない」(株式評論家の倉多慎之助氏)
安倍政権の経済政策は、法人税減税や株価対策など目先の効果を狙うものばかり。このままでは日本経済の先行きは真っ暗だ。
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