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日銀の生活意識に関するアンケート調査
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52611225.html
2014年07月04日 在野のアナリスト
米国ではダウが17000$を上抜けてきました。雇用統計の数字自体は良かったのですが、賃金は2%と依然低い伸びで、労働参加率も悪い。斑模様が『ちょうどいい』として、金融引き締めもなく、現状の環境がつづくとの思惑が働きます。次はS&P500の2000ptに向けた仕掛けも期待され、17000$は通過点との見方が広がったことも、17000の抵抗が弱かった原因となっています。
日本市場では、俄かに年金系の資金に注目も集まりますが、昨年度のGPIFの運用益が10.2兆円と発表されました。今は世界規模で債券高、株高と、運用には絶好の時期でしたから利回り8.64%でも驚きはありません。むしろ株式に限ってみれば、年間通じて日経平均で20%ぐらい上昇しているので、運用成績自体は悪い。債券比率が6.17pt下がり53.43%、株式比率が1.83pt上がり15.88%となっていますが、今後に禍根を残しそうです。今年、株式も数%の値上がりですし、債券価格も頭打ち。事実、1-3月期はすでに損失となっています。つまり昨年度は、4-12月期に大きく稼いだ、その貯金でプラス圏を維持できたのであり、今年に入ってからの運用成績はもっと悪化している可能性があります。そして米国債も利上げ懸念で、今以上の金利上昇がおこると、さらに外国債券の損失が増えてしまう恐れもある。株も、債券も、これからは厳しい運用となるはずです。
こ辺りは、昨日発表された日銀の生活意識に関するアンケート調査、でもはっきり示されています。景況感の判断指数DIが、-10と3月調査時より3.8pt悪化しています。収入についての判断DIは-30と、前回から横ばい。収入が増えた、と回答した割合が9.2%と、高水準になる中で横ばいですから、減ったと答えた割合も高まった。連合が発表した昨年度の春闘による賃上げ率は2.07%増でしたが、他の指標と整合的にみても、賃金の下落傾向に歯止めいずれがかかっていません。
実質で賃金が3.4%、3.6%と下落している。つまり賃金状況からみると日本には今、強烈なデフレマインドが働いていることになります。しかし今回はコストプッシュ型のインフレであり、消費活動に関係なく、インフレがすすむ。これではいつ消費が減退してもおかしくありません。アンケート調査の景況感悪化も、まさに今、日本が景気減速に陥る、その瀬戸際にあることを示します。
日本のメディアは、日銀短観をうけた記事でも『日本経済は堅調、波乱要因は海外』としか書きません。しかし日本経済もぎりぎりであり、これはいざ日本の景気が崩れたとき、増税のせいではない、というイイワケをするため、メディアがこぞってそうした記事をあげているに過ぎません。しかし今年、実質賃金は3%減ぐらいで推移するのが確実であり、その影響は無視できません。
日銀もその辺りに気づいて、今年の物価見通しを若干下方修正してきた。賃金が上がらない以上、このまま2%にインフレ率が近づけば、それだけ家計には打撃となることが確実だからです。つまり日本は欧米と違い、実はインフレを抑制しなければいけない、そんな金融政策が必要になってきている。これに海外投資家が気づき始めると、一気に日本株から逃げて行く可能性があります。
いずれこれまでの逆回転、債券安、株安の時代が到来します。そしてそのとき、実質賃金がマイナスを続ける日本は追加の金融緩和ができず、やれば逆に景気を冷やす、という事態に陥りかねないのです。最近、脱法ハーブの問題がさらに深刻になっていますが、日本経済も今、中銀中毒の状態に喘いでいます。気持ちよく酔っていると、そのうち暴走を始めて、多くを巻きこんで不幸にしてしまう。そんな懸念が強まってきているのでしょうね。
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