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「侵略否定」で公安出動騒ぎ アルプス電気会長“舌禍”の波紋
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/151571/1
2014年7月4日 日刊ゲンダイ
大手電子部品メーカー「アルプス電気」の片岡政隆会長(68)が中国で騒動を起こした。取引先で「日本は中国を侵略したのでなく、中国が植民地支配から抜け出すのを助けようとした」などと一席ぶち、公安が介入する騒ぎを招いたのだ。今月7日は日中戦争の発端となった盧溝橋事件から77年の節目。メモリアルデーを前に反日感情がますます高まりかねない。
コトが起きたのは、1日午前。アルプスの子会社が業務委託する広東省東莞にある工場でのことだ。視察に訪れた片岡会長は、同社の中堅幹部らと会議中だったという。
「どうやら<日本の戦後の復興は頑張りがあったからこそなので、みなさんも頑張ってほしい>といった話の流れで、誤解を招く発言が出たようです。取引先は弊社が中国展開を本格化させた93年以来の付き合いで、片岡は年に1回のペースで視察しています」(同社の経営企画室広報IRグループ)
片岡会長に反発した中国人スタッフが撤回と謝罪を求め、伝え聞いた従業員1000人が会議室周辺に押し寄せたという。
「公安関係者が間に入り、片岡が謝罪したので特別な被害はなく、沈静化しました」(経営企画室)
片岡会長の持論は「社長の一番の仕事は社員をひとかたまりにすること」だったというから、なんとも皮肉な話だ。
「片岡会長は<電子部品業界のドン>と呼ばれた事実上の創業者、片岡勝太郎前会長の長男です。早大理工学部卒業後、シャープに1年ほど勤め、家業のアルプス電気に入社。勝太郎氏のもとで帝王学を学び、88年に社長の座を譲り受けた。12年に生え抜きの栗山年弘社長にバトンタッチするまで、片岡家は2代50年にわたって取り仕切ってきました。取引先に対しても〈おらが会社〉という意識で余計なひと言が出てしまったのかもしれません」(大手証券関係者)
中国は労組が強く、産業ごとに結束している。片岡会長への怒りは、ヨソの会社に波及しかねないという。岡山商科大教授の長田貴仁氏(経営学)はこう指摘した。
「中国の人件費は過去5年で2倍に膨らみ、向こう5年でさらに2倍に増えるとみられています。片岡会長の不用意発言を材料に待遇改善の声を強くし、それが他社に広がる懸念は否めません」
飛んで火に入る夏の虫、だ。
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