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6月日銀短観
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52610972.html
2014年07月01日 在野のアナリスト
今日は自民党が自戦党になり、公明党が公戦党になった日です。集団的自衛権の問題で、閣議決定が行われました。まだ様々な関連法の改正、新法の成立が必要ですが、これほど憲法を蔑ろにする決定もありませんし、一人の人物の思いこみで、憲法など如何様にも変更ができる。ナチス時代のドイツを彷彿とさせかねないもの、と感じます。麻生財務相がいみじくもワイマール憲法について語ったこともありますが、平和憲法もいとも容易く変わってしまいます。
6月日銀短観が発表されました。大企業製造業DIは前回より5pt悪化の12、非製造業DIも前回より5pt悪化の19、先行きは製造業が3pt改善の15、非製造業は変わらず。中小企業製造業は3pt悪化の1、非製造業は6pt悪化の2、先行きは製造業が2pt改善の3、非製造業が2pt悪化の0です。
相変わらず大本営発表をくり返すメディアは、先行きは改善、消費税増税の影響は限定的と報じますが、しかし以前から指摘しているように、これはアンケートの癖です。短観のアンケートは『良い、さほど良くない、悪い』と3つの項目しかなく、良いから悪いを引く。つまり先行きでも悪いが減って、現状維持の『さほど良くない』が増えても、数値としては改善します。それを示すのが現状で大きく落ちこんだ建設、自動車が先行きで小幅の変化幅に留まっていること。実は、これだけで数値的には『改善』という結果が出てしまう、ということになるのです。
しかも最大の注目点は、景況をもっともよく反映する中小企業非製造業が、先行きも悪化していることです。大企業は、財界から法人税減税の引き換えに、ムードをよくしろ、との大号令がかかっており、アンケートの回答にも影響を与えていますが、中小企業非製造業は肌感覚に近い。
しかも今年度の売上高計画は小幅増をみこむものの、経常利益はほとんどの業種でマイナスを計画します。期初の慎重な判断があったとしても、昨年並みの利益計画は立てていない。設備投資計画が12.7%増、と言ってみたところで、その通りに実施されるかは不透明です。それを判断するための指標、5月の毎月勤労統計が発表されましたが、これを見ると期待薄であることが分かります。
所定内給与は前年同月比0.2%増、現金給与総額も0.8%増でした。気づいたかもしれませんが、ベアで1%以上を労使交渉で勝ちとったのではないのか? しかもこの上昇幅では増税分も賄えず、さらに物価上昇も加わった実質ベースでみると3.6%減。実は4月の3.4%減より悪化しているのです。
以前も指摘したように、国内では『消費の蒸発』への道を着々とすすんでいる。急速に生活苦がすすんでいる状況です。夏ごろには国民の怨嗟の声が高まることは間違いなく、それでも国内で設備投資する、という判断ができるとは思えないのです。短観でも人員判断は不足感が台頭している。しかし企業は賃金をあげない。なぜなら、国際的にも賃上げに消極的な中、日本だけ賃上げがすすめば、急速に競争力を失うことを知っているから。法人税減税があっても、国内から企業がにげだす根拠にすらなりかねない。賃金と物価は今、世界中で深刻になりつつあります。
今日の株価は上がりましたが、月初の新規マネー、しかも海外勢が動かしたものであることが判明しており、日銀短観は材料視されませんでした。それはこの短観、よく読むと先行きにも期待できないため、です。金融緩和で物価だけが上がり、賃金がついてこない。路線価の下げ止まり、といったところで、消費を押し上げるほど価格が上昇したわけではありません。この問題を考えていかないと、いずれとんでもない事態に直面しますが、自戦党も公戦党も自らがとってきた安倍ノミクスにこだわらざるを得ず、対応ができません。自銭、公銭になっても困りますが、一人の人間の思い込みで、この先日本が窮乏に陥ることはほぼ疑いなくなってきた、といえるのでしょうね。
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