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所得目減り 消費に重荷
日用品は回復 車・住宅、反動減続く 物価高に賃金及ばず
消費増税後の個人消費の回復に明暗が出始めた。3月までの駆け込みが大きかった自動車や住宅関連の消費が低迷する一方、衣類などの身の回り品や外食は持ち直してきた。安定した雇用環境などを背景に景気の回復が途切れるとの見方は少ないものの、物価高による所得の目減りが消費の逆風になるとの懸念も強まってきている。
総務省が27日発表した5月の家計調査では、2人以上の世帯の消費支出が1世帯あたり27万1411円と、物価の動きを除いた実質で前年同月に比べて8.0%減った。減少率は4月の4.6%減よりも大きい。消費の落ちこみが和らぐどころか大きくなったのは、自動車や住宅への支出が大きく減ったためだ。
季節要因をならした指数を見ると、自動車購入費を含む「交通・通信」への支出は4月に実質で前月比19.4%減り、5月も減少率は縮まったものの4.3%減った。高額な自動車は増税前の購入が大きく膨らんでいたため、4月以降も販売減が続いている形だ。リフォームや修繕などにあたる「住居」への支出も5月は26.8%減り、まだ底打ちが見えない。
買いだめが難しい身の回り品は回復の兆しがある。5月は食料と家具・家事用品、被服及び履物はそれぞれ実質の季節調整値が2カ月ぶりに前月を上回った。一般の外食は実質の前年比が0.1%減と、ほぼ前年並みに戻っている。経済産業省が同日発表した5月の商業販売統計でも、飲食料品小売業の販売額は前年同月を2.2%上回った。
増税前に駆け込みが大きかった分だけ、増税後に落ち込むのならば「想定の範囲内」(総務省)。消費回復の今後を大きく左右するのが、物価と賃金の動きだ。
総務省が27日発表した5月の消費者物価指数は生鮮食品を除くベースで前年同月に比べて3.4%上がった。円安で素材価格が上昇する影響を受けやすい「財」の値上がりが5.7%と大きいが、「サービス」も1.8%の値上がり。有効求人倍率が約22年ぶりの高い水準になるといった雇用の引き締まりが人件費に波及し、一部のサービス価格を押し上げている。
ただ、物価上昇に比べると賃金の伸びは小さい。家計調査で見た2人以上世帯のうち勤労者世帯の5月の実収入は物価上昇分を差し引いた実質で前年同月比4.6%減と、8カ月続けて前年割れだ。世帯主の収入が名目で1.1%増えるなど賃金増の動きはあるものの、3%の増税分を含めた物価上昇には追いついていない。
5月の実質消費も高額品の反動減があるとはいえ、2%程度の減少と見ていた市場関係者の事前予測よりはかなり大きな落ちこみだった。このため「増税後の反動減が一巡しても、物価高による所得の目減りが個人消費を下押しする圧力になる」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長)との声が出始めている。
[日経新聞6月28日朝刊P.5]
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