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IT技術者が足りない?需要増大、大型開発案件山積…新3Kの業界イメージで志望者減も
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140627-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 6月27日(金)3時0分配信
IT技術者が不足している、という声が多く上がっている。人材不足はIT業界全体に共通している事態のようだが、現状と不足している理由、そして今後について考えてみたい。
少子高齢化が叫ばれて久しいが、日本の人口構成のうち最も人数の多い団塊の世代は、遅くとも来年までにほぼ退職してしまう。彼ら自身の経済的な問題と企業側の人材確保の思惑から、再雇用や雇用延長も行われていたが、それでも引退は秒読みとなった。
これに対して、新社会人世代の人数は少ない。40歳前後に“団塊ジュニア”と呼ばれる人数の多い世代はあるものの、その下の世代は人数が減り続け、今後も増える見込みがなく、働き手は減るばかりだ。
これは社会全体の傾向で、IT業界でも物理的な人数が減るのは当然といえる。しかしIT技術者の需要は増え続けている。スマートフォン(スマホ)が急速に普及したことで、これまでソフトウェアとは無関係だった企業までがオリジナルアプリのリリースを画策している。
スマホのほかにも、家電や自動車などモノにコンピュータを搭載する「モノのインターネット」(Internet of Things)が今後急速に発展することが予想され、システム開発が急務となってきている。
需要は増えているのに人数が減るのだから、物理的に人数不足となることは自明の理といえる。
●ブラックなイメージが定着したIT業界
しかし通常は、需要がある業界には人も集まるはずだ。ところが、ITエンジニアが増える様子はない。一体なぜなのだろうか?
いくつか理由が考えられるが、まず単純に不人気な業界になってしまったことが大きな問題である。
一昔前までは時代の最先端を走る職業として「よくわからないけれど、なんとなくカッコイイ仕事」と考えられ、IT系を志望する学生も少なくなかったが、いまやIT系の仕事に漠然とした憧れを抱く若者などいない。
果てしなく続く残業と泊まり込みも珍しくないばかりか、休日出勤も日常茶飯事。「ワガママなクライアントに振り回されて、長時間の苦労が水の泡になった」などの話が、時に深刻な問題として、時におもしろおかしい業界ネタとして、各メディアで紹介された結果、IT業界は「きつい、帰れない、給料が安い」など“新3K”と揶揄されるほどマイナスイメージが定着している。
学生に対するアンケートでは、就職したくない企業や業界の上位には、不祥事を起こした企業と“ブラック企業”が並んでいる。どういう企業にも多かれ少なかれきつく厳しい部分はあるはずだが、昨今は特にブラックさに敏感だ。それゆえ、業界丸ごとブラックだと思われているIT業界には人が集まりづらくなっている。
●理系離れが進み、自社教育や中途採用で対応
若者の理系離れが進み、理系の学生が少なくなっている上に、IT業界を志望する人も少ないとなれば、大学で技術開発を学んだ学生の採用を求めるのは極めて困難だ。
実際、理系だが開発知識を持たない学生や文系の学生を採用し、一から自社で教育する企業も少なくない。
しかし、そうした教育機会を設けるためには、ある程度体力がなければならず、大企業か少人数で細かく面倒が見られる環境がある企業となるだろう。自社での育成をあきらめ、即戦力の中途採用に頼った企業では、実力はあるがコストもかかる中高年ばかりのいびつな集団になるという問題も起きている。
IT業界の人材不足は、2000年代半ばから世界的にも問題視されていた。その中でも特に日本企業に顕著に見られる現象だったようだ。その後、課題を解決できないまま時間だけが過ぎ、深刻さが増している状況だ。
●必要なスキルを持った人材の不足
また、人が足りないという言葉は「必要なスキルを持った人材が足りない」という意味で使われていることもある。
例えば、金融機関のシステム改編時には、金融機関のシステムに精通した人材が求められる。システムが巨大なだけに、末端の部品的なシステムをつくるのとは異なる特別な知識が必要となるからだ。
また、スマホ向けのアプリを開発する場合、複数のプログラミング言語を使いこなす人材や、新しいフレームワークに対応できる人材が求められる。ほかにも、ユーザーの要望を受けて迅速に修正したり、飽きられないように頻繁にアップデートしたりと、リリースした後にも対応が必要とされる。
来年から導入される予定の国民総背番号制度「マイナンバー」に合わせた各自治体のシステム更新は、特に喫緊の問題とされているが、このように一定の業界内で広くシステム改編が必要とされたり、同じ目的の開発案件が山積みになったりすることも多い。消費税引き上げや東京オリンピックも引き金の一つとなるだろう。少ないエンジニアを方々で取り合うのだから、人材不足はさらに拍車がかかる。
●国策としてのIT教育と海外の活用
人材不足の対策として、企業ごとに教育を行う、必要な知識・技術を持った人材を外部から引き抜くなど、対策は企業ごと、業界ごとに行われている。しかし、そうした対策だけでは根本的な解決にはならない。
解決策としては、国がIT教育に力を入れて国内人材を育て上げることが考えられるが、これは非常に長期的な取り組みだ。中国やインドなどではIT人材を育てることに注力しており、大きな成果を上げている。しかし日本の場合、若者の人数自体が足りないので、教育だけでは乗り切れない。今後はIT業界だけでなく、各業界が少ない労働力を奪い合うことになるだろう。
では、どうすればよいのか?
インドは欧米IT企業のオフショア開発先としても長い歴史があり、1つの大きな産業にもなっている。欧米がインドにオフショア開発を委託しているのと同様に、日本企業も海外に開発を委託している。しかし、そのオフショア先が圧倒的に中国に偏っていることが問題だ。近年の両国の関係悪化や過激な反日デモなどを考えると、とても中国は今後積極的にオフショア先として使いたい国ではない。
最近ではベトナム、タイ、インド、フィリピンなどアジア各国に進出する日本企業や、現地企業に開発を委託する企業も出てきているが、各国情勢を鑑みると、どの国でも絶対安全とはいえないのが難しいところだ。
海外人材をうまく活用しつつ、国内人材を育成する。そして、属人的であったり、非効率的であったりする部分を是正し、労働環境を整え、効率的かつ働きやすい業界とすることが必要だろう。
エースラッシュ
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