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ロボット、少子高齢化対策と労働力供給向上で社会を変える?ソフトバンク参入の衝撃
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140625-00010006-bjournal-bus_all
Business Journal 6月25日(水)3時0分配信
ドミン:どういう労働者が、実用的に見て最高だとお考えになりますか?
ヘレナ:たぶん、正直で勤勉な人だと思いますが。
ドミン:いいえ、もっとも安上がりなやつですよ。経費もかからないやつ。ロッサム青年は、経費が最低限に抑えられる労働者を開発したのです。それには簡単化するのが不可欠でしたから、労働力向上に直接役立たないものはすべて切ってしまいました。人の値段を上げるようなものは、すべてね。ですから、人を切り捨てて「ロボット」という商品労働者を作ったのです。お嬢様、ロボットは人ではありません。機械としては、我々より完璧であり、高度に発達した知性を持っていますが、心を持っておりません。
(『R.U.R.--ロッサム世界ロボット製作所』<青空文庫/カレル・チャペック著/大久保ゆう訳>より)
「Rossum's Universal Robots」という原題の同作品は、1920年に発表されたチェコの作家、カレル・チャペックによる戯曲。この劇で初めて「ロボット」という言葉が創造され、使われた。ロボットはチェコ語で「労働」を意味する。
株式市場でロボット関連銘柄が賑わっている。医療・福祉用のロボットスーツ開発などを手掛けるサイバーダインの一日当たりの売買代金が、ソフトバンクやトヨタなどを抜いて東証全体のトップとなったこともあった。ロボットの腕の関節に使われるトルクセンサーの第一精工や、工場の生産ラインで使われるヒト型ロボットの川田テクノロジーズなどが急騰を演じる場面もあった。
ロボット関連が注目される理由は、政府の成長戦略にロボットの普及を推進することが盛り込まれたからである。産業競争力会議が6月にまとめた「日本再興戦略(素案)」には、社会的な課題解決に向けたロボット革命の実現が謳われた。「日本がこれまで世界をリードし、そしてこれからも新たな市場を作り出すことができる、イノベーションの象徴とも言える技術は、ロボット技術である」とまで言い切っている。
確かに日本はロボット大国である。「ロボット」という言い方ではなく、FA(ファクトリーオートメーション)という言葉に置き換えてみれば、オムロン、キーエンス、ファナック、安川電機、三菱電機など、そうそうたる企業の名が浮かぶ。
ただし、産業競争力会議が描く未来図は、従来の工場の製造ラインに限らず、医療、介護、農業、交通など生活に密着した現場でのロボット活用だ。少子高齢化が進む日本では今後、人手不足が深刻化する。だからこそ女性の社会進出を支援し促し、労働供給力を高めることも重要課題のひとつとなっている。それにも生活密着型のロボットは役立つ。女性は単なる家事以外でも、育児、介護などに携わる比重が男性より高い。そうした分野でロボットが活用できれば、女性の負担をずいぶんと軽減できるだろう。ロボットの普及は単純な労働力の代替を超えて、日本の社会変化を促進する大きな触媒となり得る。
●ソフトバンク参入、その2つの意義
日本が優れたロボットを開発する技術力を有していることは疑問の余地がない。問題は、それをビジネスとしてどう育てていくかであろう。ロボット研究の第一人者である福田敏男・名城大学教授は、「世界市場が急速に広がる中で勝ち抜くためには、人工知能(AI)などのロボットを動かす『ソフトウェア』と、どう稼ぐのかというビジネスの『構成力』が欠かせない」(「日経ヴェリタス」<日本経済新聞社>)と指摘する。
その意味で大きな注目を集めているのが、ソフトバンクである。ソフトバンクは感情認識ヒト型ロボット「Pepper」を来年2月に発売すると発表した。注目される理由は2つある。
ひとつは、ソフトバンクのビジネスモデルが完全にコンシューマー(消費者)目線だからだ。これまでの日本のロボット産業が、ほとんど製造業の現場をターゲットにしてきたことと対極にある。Pepperの価格は19万8000円とパソコン並みで、全国のソフトバンク・ショップで現物に触れることができる。壊れたら修理に持ち込むことができる。こうなると携帯電話ビジネスの延長だ。消費者の日常生活に溶け込ませ、手放せないものにする。それをやってきたのがソフトバンクだ。
もうひとつの注目点が「感情認識ヒト型ロボット」だという点である。福田教授の指摘にあるように「人工知能(AI)などのロボットを動かすソフトウェア」が非常に大事である。ソフトバンクの孫正義社長は、発表会で同社のビジョンについて「愛を持ったロボット」だとぶち上げた。果たして、ロボットに「愛」を持たせることは可能なのか? 孫氏は次のように語る。
「僕なりの理論では、人々の感情を数値化することは可能なはずだ、とその時に思ったんです。人間が理解できるということは、コンピュータにも理解できる。(中略)体もロボットとして用意できる。今こそ挑戦するときだと思いました」
孫氏が言うように、「挑戦」という言葉がふさわしい。むしろ「冒険」といったほうがいいかもしれない。体はロボットとして確かに用意できる。しかし、感情はどうか。仮に感情を持ったロボットが作れたとしよう。しかし、それはわれわれの社会にとって、そしてまたロボットたちにとっても幸せなことだろうか? 『A.I.』『アンドリューNDR114』『アイ,ロボット』『ブレードランナー』などロボットやアンドロイドを扱った映画がどれもハッピーエンドでないのは、彼らが人間の心を手に入れてしまったからである。
だが、それは当分の間、考えなくてもいいだろう。その領域には、そうやすやすと到達することはできないと思われるからだ。冒頭のチャペックの劇では、ロボットにはなぜ人権がないのかと抗議する女性に、ロボット製作所の支配人がこう言う。
「それは魂の作り方を誰も知らないからです」
広木隆/マネックス証券チーフ・ストラテジスト
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