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巨大な企業であっても、時代に取り残されれば死ぬ。
巨大企業が合理的な判断を積み重ねた結果没落していく理由
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2014年6月24日 Darkness - ダークネス
ソニーは日本を代表する巨大企業だったが、昨今はその凋落を前に為す術がない状況に陥っている。
ソニーは巨大企業であり、知名度もあり、技術革新をする力もあった。現在のアップルやグーグルと同じくらいの影響力を持つポジションに付いていてもおかしくなかったが、それが敵わなかった。
かつては尊敬されていた巨大企業であっても、凋落すると見る影もなく、組織が瓦解していく姿がここにある。いくら過去がすごくても、それだけで生き残れるとは限らないのである。
もちろん、これはソニーだけの問題ではない。
たとえば、マイクロソフトもいまだコンピュータ業界を支配する巨大企業だ。
しかし、時代がインターネットとスマートフォンに向いた結果、デスクトップOSを支配していた頃の影響力は徐々に失いつつある。
すでに、マイクロソフトからは、かつての傲慢なまでの存在感は急激に喪失している。
■方向転換ができないまま捨て去られていく
コンピュータ業界は技術革新の激しいセクターである。企業は時流に乗るとあっという間に巨大企業になったと思うと、凋落するときは一気に崩壊が来る。
革新的な技術がどこかで生まれると、巨大企業のビジネスモデルは破綻して、方向転換ができないまま捨て去られていく。
生存環境が変わると、その巨大さが仇になって身動きできなくなるのである。
何十年も続いて来たビジネスモデルでも、時代が変わると成り立たなくなるというのは、コンピュータ業界だけではない。
たとえば、新聞会社もインターネットが登場してから首が絞まっていった業界のひとつだ。もう、「ニュース」というのは、紙の新聞で読むのではなく、インターネットで読むというのが当たり前になっている。
速報性もインターネットに劣り、網羅する記事も限られており、しかも1日経ったら紙は単なるゴミと化して資源の無駄遣いだと批判されるようになってしまった。
そのせいで、新聞社は売上を落とし、規模が維持できなくなり、身売りや廃業が相次ぐ「衰退産業」と化した。
この流れは、デパートや量販店にも襲いかかっている。ショッピング・ウィンドウは、もうとっくの前にネットサーフィンに取り変わっていて、人々はインターネットで買い物をするようになっている。
この傾向はさらに拡大していく。インターネットは既存の巨大企業のビジネスモデルをことごとく破壊していく。
■「合理的な判断」を積み重ねた結果、没落する理由
何らかの革新が生まれるたびに、巨大企業は根幹から吹き飛んでいく。
これは、決して巨大企業にまともな人材がいないからではない。いないどころか、巨大企業は経営のプロが集まり、実行力と統治能力を持った人間が最善の判断で着々と物事を進めていく驚異の組織集団である。
巨大企業には人材が豊富にあり、資金も大量にあり、取れる作戦も無数にある。資金力がないからできることが限られてくる中小企業や個人とは対極にある。
それなのに、なぜ巨大企業は鈍重で、身動きができなくなり、時代に打ち捨てられ、衰退してしまうのか。
これを明らかにしたのがハーバード・ビジネス・スクール教授のクレイトン・クリステンセンだった。
クリステンセン氏は、優良な巨大企業が鈍重になってしまうのは、行き当たりばったりに経営したからではなく、むしろ「合理的な判断」を積み重ねた結果であると発表して人々を驚かせた。なぜ、そうなるのか。
(1)現在抱えている既存の顧客を満足させる必要がある。
(2)新しい動きは市場規模が小さくて参入できない。
(3)不確実性が高すぎて、巨大企業には冒険になる。
(4)今の事業がうまく行っているのでそれが優先される。
(5)需要に関係なく、今の事業に資源が投下される。
巨大企業は、それを支えるためのビジネスの根幹があるが、それを大事にしなければならないので、世の中が新しくなっても優先されるのは常に「今まで」のビジネスである。
新しい動きに賭ける価値があるのかどうかはマーケティングでは見えてこない。また、新しい技術に対応することによって、既存のビジネスに悪影響が及ぶ。
だから、参入が遅れて、気が付いたときはじり貧になってしまうのである。
■「時代を見る目」と「時代に合わせる能力」は必須
新聞会社がインターネットの台頭に気付かなかったわけがない。新聞会社は情報産業だ。それを知っていた。
しかし、インターネットで記事を配信するような方向に力を入れると、紙の新聞が売れなくなってしまうというジレンマがある。
既存の紙の新聞が売れなくなるような動きを、新聞社が自ら加速させるようなことは絶対にできない。そして、インターネットの参入はどんどん遅れていく。
インターネットに本腰を入れないというのは、既存のビジネスモデルを守るという点では、合理的な判断だったのだが、その合理的判断が結局、組織全体を時代遅れにしてしまった。
デパートや量販店も、インターネットに力を入れすぎると巨大店舗に人が来なくなって売上が減少する。
だから、インターネット販売に躊躇している間に、アマゾン等の新興企業がインターネット販売に乗り出して、既存の業界を丸呑みにしていくのである。
地位を築いた企業、確固としたビジネスモデルを築いた巨大企業は、それが故に新しい波に乗ることができなくなり、時代に取り残され、捨てられていく。
巨大企業でも時代に取り残されれば、あっと言う間に捨て去られる。たとえ巨大だろうが、歴史があろうが、知名度があろうが、そんなことでは生き残れない。
もちろんこれは「人間」にも当てはまる。知名度があろうが、資産があろうが、かつて一世を風靡した人間であろうが、時代に取り残されてしまったら、それで終わりだ。
生き残れるのは、時代に適合できる人、適合できる組織だ。最近の時代の流れは、インターネットとグローバル化によって猛烈に加速されている。
そういった意味で、「時代を見る目」と「時代に合わせる能力」は必須になっている。取り残されたら、一瞬にして時代から捨てられて没落に追いやられる恐ろしい時代が来ている。
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