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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140624/dms1406240830002-n1.htm
2014.06.24 「日本」の解き方
「880兆円もの規模で、約5割以上の金を現預金で持っているという先進国はないですよ」
麻生太郎財務相は13日の閣議後記者会見でこう述べた。これを、マスコミは、日本の家庭に「タンス預金」などで膨大なお金が眠っている現状に強い口調で疑問を呈したと報じている。
麻生大臣が引用した数字は、日銀が公表している資金循環勘定の2013年末の資産負債表からのものだ。数字を正確にいえば、家計の資産が1644兆円あり、そのうち現預金が874兆円を占めていることを指摘したものだ。
874兆円の内訳は、現金が58兆円、預金が816兆円である。つまり、マスコミのいう「タンス預金」ではなく、金融機関に預けられている預金が大宗を占めている。
日銀からは、資金循環の日米欧比較として、日本、米国、ユーロ圏の家計の資産構成も公表されている。それをみると、現預金の割合について、日本53・1%、米国12・5%、ユーロ圏35・4%と日本が一番高い。
その差は、株式に対する選好の違いと表裏一体だ。株式・出資金の割合は、日本9・4%、米国33・7%、ユーロ圏16・4%と、日本が一番低くなっている。
これは、以前からある問題で、金融システムが直接金融か間接金融のどちらが良いのかということだ。要するに、家計の資産について、銀行が預金として受け取り、銀行経由で企業に貸し出されるのか、または証券会社が介在して株式を家計が取得して、それで企業に資金が流れるのか、どちらがいい金融システムかという問題である。
多くの学者や行政当局者は、直接金融がある程度大きい方がダイナミックに企業ニーズに対応でき、良い金融システムと思っているようだ。
麻生大臣が記者会見で引用していた金融庁の金融・資本市場活性化有識者会合でも、「家計の金融資産を成長マネーに振り向ける」というコンセプトであるので、預金から株式へのシフトを前提としている。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の改革、といっても年金資産を株式にシフトさせることは、同会合の提言にも盛り込まれている。
たしかに、金融システムと起業率には関係があり、直接金融のほうが起業率が高いことがしばしばだ。ただし、金融システムと経済成長はどう関係するのか。日本で間接金融が優位なのは戦後一貫しており、高度成長期でもそうだった。また、米国で直接金融が優位なのも一貫している。ユーロ圏でも、直接金融が優位な英国と間接金融が優位なドイツでは、経済成長に大差はない。金融システムは歴史的な理由で決まり、経済成長に影響を与えていないのだ。
これまではデフレだったので、成長分野がなかった。それは金融システムの問題ではなく、金融政策の問題だ。デフレ脱却できれば、どんな金融システムでも成長分野にカネは流れるものだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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