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ワタミ、崩れる勝ちモデル 成長戦略の柱・宅食が急失速、人手不足で一部店舗閉鎖…
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140623-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 6月23日(月)3時0分配信
居酒屋チェーン、ワタミは2014年3月期の最終損益が49億円の赤字となり、1996年に株式を上場して以来、初めて赤字に転落した。前期は35億円の黒字だった。同社が運営する居酒屋チェーン「和民」の不振が原因だが、ワタミに限らず低価格を売りにする同業各社は景気回復の波に乗れなかった。
今、外食や小売業界で深刻な人手不足が生じている。時給を1500円にしても人が集まらない。なかでも深刻なのがワタミと牛丼チェーン「すき家」(ゼンショーホールディングス)で、労働環境を問題視する報道や情報が数多く流れていることが響く。正社員とアルバイト従業員ともに集まらない様子で、ワタミの桑原豊社長は、今年4月に入社した新卒社員は120人で、目標の半分にとどまったことを明らかにしている。ワタミは正社員やアルバイト従業員の確保が難しくなっているため、15年3月期に全店舗の約1割に当たる60店舗を閉鎖して1店舗当たりの従業員数を増やす。併せて、アルバイト従業員100人程度を地域限定の正社員として登用し、現在の登用制度を改め店長への昇進などに道を開く。
ワタミが設置した有識者による業務改革対策委員会は、「(同社で)所定労働時間を超える長時間労働が慢性化していること」と指摘した。特にアルバイト従業員の長時間労働が槍玉に挙がったわけだが、これがワタミの効率経営のモデルだった。これまでのデフレ時代には、アルバイト従業員はいくらでも集まり、低賃金のアルバイト従業員による長時間労働というビジネスモデルが、ワタミをデフレの勝ち組に押し上げた。だが、景気が回復して広い業界でより高待遇な労働条件の募集が増えると、桑原社長が「われわれの成長戦略が曲がり角にきている」と認める通り、これまでのビジネスモデルが成り立たなくなった。
●成長戦略の柱に急ブレーキ
さらに深刻なのは、ワタミが描く成長戦略の柱である高齢者向けの弁当宅配(宅食)事業に急ブレーキがかかっている点だ。
このビジネスモデルの転換を決めたのは、創業者の渡邉美樹氏だ。渡邉氏は11年2月、東京都知事選に出馬するためワタミの取締役会長を辞任して非常勤取締役に退いていたが、落選したため12年11月、非常勤から常勤の取締役会長に復帰した。渡邉氏は復帰する理由について、「もう一度、ワタミを成長軌道に乗せるため」と述べ、「彼ら(桑原社長ら経営陣)がつくった(次期の)中期経営計画は全然ダメなもので、もう1回それぞれの事業でさまざまな変化要因を含めてビジネスモデルを組み立てていく」と明言した。
そして13年1月、戦略会議を設置し渡邉氏の指揮の下で経営計画をつくり直した。ワタミが13年5月に発表した新しい中期経営計画は、18年3月期に連結売上高を13年3月期の1577億円から7割増の2700億円に伸ばすというものだった。年平均11.4%の2ケタ成長を想定した。
成長の柱に据えたのが高齢者向けの宅食事業だ。宅食事業の13年3月期の売上高は前期比48%増の388億円。1日約28.1万食(当時)という配食数を、中期経営計画では18年3月期には77.4万食にまで拡大、売上高を1100億円にする予定だ。
一方、主力事業である居酒屋「和民」など国内外食事業の売り上げは733億円から850億円へ。有料法人ホームなどの介護事業のそれは338億円から550億円へ。5年間に宅食の売り上げは2.8倍、介護は63%増を見込んでいるのに対して、外食事業は16%増にとどまる。ワタミは、宅食を居酒屋に代わる主力事業にすることを鮮明に打ち出したのである。この経営計画を発表後、渡邉氏は13年6月に再び非常勤取締役に退き、同年12月に参院選比例区に自民党公認で出馬して当選を果たした。
●伸び悩む宅食事業
だが、ワタミが成長戦略の柱に据えた高齢者向けの宅食事業は伸び悩んでいる。14年3月期末の配食数41万食、売り上げは前年比40.2%増の544億円の予定だったが、結果は27.5万食と前年期末の28.1万食から減少した。期央に一時、29万食を達成したことで売上高は10.2%増の428億円となったが、目標の544億円には届かなかった。これまで2ケタの成長を続けてきた宅食事業に急ブレーキがかかったのだ。
高齢者向け弁当宅配は、もともと糖尿病や腎臓疾患など食事制限を必要としている患者向けであり、高齢化社会の到来を察知して、いち早く進出したのがワタミだった。この分野はニッチだったが、成長が見込めるとあって大手コンビニチェーンや生協が宅配弁当を強化した。競争激化が、ワタミの配食数伸び悩みの原因であり、中期経営計画の達成については、厳しい見方が広がりつつある。
編集部
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