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物件の価値はキャッチコピーでは決まらない
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20140622/ecn1406220830002-n1.htm
2014.06.22 本当は教えたくないマンション業界の秘密 榊淳司
私は二十数年、新築マンションの広告を作ってきた。元々のスキルはコピーライターだ。新築マンションのパンフレットを何百冊分も書いた。クリエイティブディレクターとして、広告コンセプトも作った。
あれはむなしい仕事だ。なぜなら、その中身にちっとも「実」が伴っていないから。見る人を幻想に導くために作っている。実際、それをスポンサーが強く望んでいる。
例えば最近、「天地創造」というキャッチフレーズを打ち出したマンションがあった。約600戸の物件で、天地創造とは恐れ入る。それを平気でやってしまうのがこの業界でもある。
何年か前にあきれてモノが言えなかったのが「感度リョーコー」。誰もが知っている女性タレントの名を起用して、このキャッチフレーズ。一体、何の感度が、どうリョーコーなのだろう。
こういう広告で客をだませると思っているスタンスもどうか。これにつられて買おうと考えた方がいれば、あまりにも安易すぎる。
そもそも、われわれが普通に使っている「マンション」という言葉からして大嘘だ。
英語のmansionは、門から玄関まで車で何分も走るような大邸宅を意味する。また、ネーミングによく使われる「レジデンス」とは、プールがあるような本物の邸宅を指す。
どちらも、80平方メートル程度の集合住宅にふさわしい呼び方とは思えない。名前からしてかなりむなしいことをやっていることになる。広告で現実離れしたポエムに走る土壌は、こういうところにもある。
マンションの価値は、どのような広告を行うかによって決まるものではない。決め手となるのは、まず立地。これで9割が決まる。残り1割がモノの中身。したがって、広告では場所の特長をしっかり伝え、モノの良さをきちんと説明するのが正統な手法だ。
ド派手な広告表現を行っていたり、タレントを前面に出している物件の場合、商品に「ごまかしたい何か」が存在する場合が多い。
例えば、立地が良くなかったり、価格が高かったり。あるいは、そのエリアの需要を大きく超える供給を行う場合にも、現実離れしたイメージ広告に走る場合が多い。
派手な広告を展開するマンションは、そこまでしないと必要な集客ができないからだと考えるべきだろう。
実のところ、優良なマンションは地味な広告をしただけで完売してしまうケースが多い。しかも、短期間で。高額なマンションほどそういう傾向が強い。賢い富裕層は、何を買うべきで、何を買うべきでないのかをキッチリと見分けている。
マンションは一生に一度か二度の大きな買い物。疑問を感じる広告表現に出合ったら、慎重に中身を確認するべきだろう。
■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。不動産会社の注意情報や物件の価格評価の分析に定評がある(www.sakakiatsushi.com)。著書に「年収200万円からのマイホーム戦略」(WAVE出版)など。
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