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[景気指標]法人減税、いよいよ孤立する米国
女性活用や農業などの経済構造改革、環太平洋経済連携協定(TPP)合意――。事あるごとに安倍政権の「第3の矢」に注文をつける米政府だが、決して自らは“奨励”しようとしない成長戦略がある。法人税の引き下げだ。
米国の法人実効税率は現在、35%の連邦法人税と州税を合わせほぼ40%だ。日本は35%。ドイツ(30%弱)や英国(23%)と比べ日米の見劣りは明らか。
日本が法人減税に動けば米国の税率は突出する。いよいよ孤立しかねない。
「不安」は現実味を帯びる。日本の政府・与党は経済財政運営の基本方針に2015年から現在約35%の法人実効税率を引き下げる方針を明記する。
経団連の榊原定征会長は、アジア主要国並みの25%まで段階的に下げるように要請した。代替財源の調達が条件だが、流れは固まった。
「すごく困る」。米政府高官は日本の政府筋にこう冗談を飛ばしたが、本音がうかがえる。
米には苦い経験がある。日本は海外利益を国内に戻すため、リーマン・ショックさなかの09年税制改正で外国子会社から受け取る配当金の95%を非課税化した。これは米財政当局の悲願の一つでもあるが、日本に先を越された。
日本企業が13年に配当や利子で国内に還流したお金は前年を7割上回る3.5兆円と過去最大。還流策の効果の大きさに米は衝撃を受けた。
日本経済研究センターによると、10%の法人実効税率下げで対内直接投資増や生産性向上が見込まれ、実質国内総生産(GDP)が50兆円も増える。
企業の立地競争力低下を懸念するオバマ大統領も連邦法人税率の28%への引き下げを議会に要請。海外配当の非課税化も訴えるが、連邦所得税を含む税制抜本改革を求める野党・共和党は部分改正に応じない構え。
山のごとく動かない米国の税制に、打開の道筋が見えてくるのは、早くても16年の次期大統領選後になる。
(ワシントン=矢沢俊樹)
[日経新聞6月16日朝刊P.14]
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