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もし、平均寿命が5年延びたら、そのとき年金は?(撮影:今井康一)
日本に残された「3つの選択肢」 もし平均寿命が5年延びると、どうなるのか?
http://toyokeizai.net/articles/-/40512
2014年06月19日 中原 圭介 :エコノミスト 東洋経済
前回の記事(「ゆでガエル」状態になりつつある日本http://toyokeizai.net/articles/-/39909)でもふれたように、日本の少子高齢化と社会保障、財政状況を考えると、このまま何もしないでいられるはずがありません。
■もし平均寿命が5年延びると、どうなるのか?
日本の出生率がいまと変わらず、平均寿命が5歳延びると仮定すると、私たちにとって、これから選べる選択肢は次の3つになると思います。これらは大まかな数字で試算しているので、1つの指針として考えてください。
@ 社会保障を現状維持のままで、消費税を40%に引き上げる
A 社会保障を3割削減して、消費税を30%に引き上げる
B 退職年齢を75歳に引き上げて、消費税を20%に引き上げる
この3つの選択肢を並べた場合、国民を論理的に説得できるのは、どれだと思いますか。
国民全体を説得するのに、@の選択肢はあまりにも厳しすぎます。消費税を40%に引き上げると説明しただけで、国民は拒絶反応を起こすでしょう。Aは@ほどではないにせよ、特に高齢者からの拒否反応が強く、国の財政が危機的状況にならない限り、実行するのは難しいでしょう。
ところがBなら、まだ国民を説得する余地があります。
国民皆年金ができたのは1961年ですが、当時の平均寿命は68歳にすぎませんでした。支給開始年齢が60歳だったので、平均寿命で見れば8年間の年金がもらえる計算になっていました。
それに対して、いまの平均寿命は84歳と、当時よりも16歳も延びています。同様に8年間の年金がもらえるとすれば、支給開始年齢は60歳から76歳に繰り上げるという選択肢もあるわけです。これから平均寿命はさらに延びる可能性があり、年金の支給が75歳からになっても、全体として当初と比べれば、それほど変わりはないのです。
■退職年齢の引き上げも選択肢
さらに、定年後にも働きたい人が増えています。定年後の就業意識についての調査では、「生活費を補いたい」「働いたほうが健康にいい」「おこづかいを増やしたい」「社会との接点がほしい」などが働きたい理由としてあがっています。働く意欲のある高齢者はとても多くなっています。そのうえ、高齢化とともに、高齢者の1人世帯が増えていく中で、社会とのつながりが必要になってきています。
また、日本人が健康でいられる年齢が明らかに上がっています。平均余命が伸びた恩恵を社会が享受するには、高齢者が健康や能力に応じて活躍できることが必要になってきます。法律では2025年度には企業が社員を65歳まで雇用することを義務化しましたが、健康でいられる年齢が伸びているのに、退職年齢を65歳までしか延ばさないのは、おかしな話です。
これらの点を政治家がきちんと説明すれば、退職年齢を75歳に引き上げて、消費税を20%にする案が、ほかの2つの案よりマシだとわかり、国民も嫌々ながら納得してくれると思うのです。その際、65〜75歳までの間、年金は受け取れませんが、年金保険料も支払わなくていいという制度にしたらどうでしょうか。
もちろん、2020年〜2025年までに出生率が2.0までに回復して、平均寿命がいまと1歳くらいしか変わらない状況ならば、退職年齢は70歳、消費税は20%へ引き上げという緩和策も取れるかもしれません。
■年金支給年齢を引き上げた欧州に学べ
財政状態が日本ほどは悪くない欧州の国々では、引退年齢を65歳から67歳、68歳に引き上げようとしています。欧州諸国よりも平均寿命が高く、今後も平均寿命が延びていく可能性が高いことを考えると、もともと日本の年金は欧州に比べて支給開始年齢が早すぎたのです。
欧州の年金制度は、持続性では日本よりまともでしたが、財政危機をきっかけに、年金の支給開始年齢が引き上げられることになりました。欧州よりも財政状態の悪い日本が、そうした歴史の教訓に学ばない理由はありません。
ここで、私たちは歴史に学ばないと、とんでもない苦難に遭ってしまうでしょう。財政と社会保障制度の抜本的な改革をする前に、日本が財政危機になってしまうと、国民の負担は私の想定よりも重くなることは間違いありません。それを避けるには、なんとしても10年以内に社会保障のあり方を見直し、年金支給開始年齢を大幅に引き上げることが自明の理なのです。
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