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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 消費は失速した
http://wjn.jp/article/detail/1327498/
週刊実話 2014年6月26日 特大号
経済産業省が発表した商業動態統計の4月分速報で、消費税率引き上げの小売売上が大失速に陥っていることが明らかになった。4月の小売業の販売額は11兆110億円、前年同月比4.4%の減少となったのだ。
ちなみに業態別では、百貨店が4607億円で前年同月比10.6%の減少、スーパーが1兆62億円で3.9%減少、コンビニエンスストアは8113億円で4.2%増加となっている。
コンビニが大きく売り上げを伸ばしたようにみえるが、この統計は消費税込みで調査が行われている。小売業の商品は、ほぼすべて消費税の課税対象になっているので、実質的な販売量が横ばいでも売り上げは増税で3%増えることになる。だから、コンビニの売り上げが増えたといっても、実質は1.2%増にすぎない。逆にスーパーは実質6.9%の減少、百貨店は13.6%の減少、小売業全体でも7.4%の減少ということになるのだ。
これだけ小売の売上が落ち込んだのは、'11年3月に前年同月比で8%落ち込んで以来のことだ。つまり、消費税引き上げは、東日本大震災並みのショックを消費市場に与えたことになるのだ。
もちろん、駆け込み消費の反動だという見方もできるだろう。しかし、3月の小売売上は、前年同月比11.0%増だった。もし、4月の消費減がすべて駆け込み需要の反動だとしたら、家庭は、駆け込み需要で買いだめした商品の3分の2を4月単月で食いつぶしたことになる。さすがに、そんなことはないだろう。
実は、消費が落ち込んだ明確な理由を示す統計がもう一つ、総務省から発表された。消費者物価だ。4月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、前年同月比3.2%の上昇となった。上昇率は1991年2月以来23年2カ月ぶりの大きさとなり、バブル崩壊後では最大だ。
政府や多くのエコノミストは、物価上昇率は2%台に収まるとみていた。ところが、消費税の転嫁ができないどころか、便乗値上げまで起きる始末で、大きな物価上昇が消費者を襲ったのだ。
物価が上がれば無い袖は振れないから、消費者は財布のヒモを締める。その結果が、小売りの大幅減につながったのだ。
経済産業省の商業動態統計は、景気動向指数やGDP統計にも基礎資料として使われる重要な統計だ。にもかかわらず、この統計が示す消費失速を伝えたメディアはほとんどなかった。消費税増税が政策ミスであったことを隠すためかもしれないが、これだけひどい消費減が明らかになったのに、政府に景気対策を打とうという動きが一切みられないことを考えると、どうやら政府は、景気全体を良くしようとしているのではないのかもしれない。
最近の安倍総理の経済政策をみると、残業代ゼロ制度を導入したり、法人税のさらなる引き下げを目指すなど、企業の利益を増やす方向の施策ばかりが目立っている。日本はGDPの6割を民間消費が占める内需主導型経済なのだから、消費を増やさなかったら経済成長はできないのだ。
だから、来年10月から消費税を10%へとさらに引き上げるという政策ミスの上塗りだけは、何としても避けるべきだ。日本経済の基礎は消費にあるのだ。
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