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http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140616/frn1406160856002-n1.htm
2014.06.16
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)をめぐる日米協議に対し、米農業界からの反発が強まっている。日本が牛肉、豚肉などの重要品目を「聖域」とし、関税撤廃の例外とするよう求めていることを受けたもので、「日本をTPP交渉から外すべきだ」との強硬論も出ている。ただし各業界が公表した声明には反発の強さにバラツキもみられ、必ずしも強硬論一色ではないとの指摘もある。バラク・オバマ大統領(52)にはTPP合意を11月の中間選挙でのアピール材料にしたいとの思惑もあり、国内の反応を見据えながら、日本との合意の判断を慎重に見極める考えだ。
■あくまで強硬な豚肉業界
「豚肉への差額関税制度とすべての関税撤廃を求める」。全米豚肉生産者協議会は5月28日に公表した単独声明で日本に対して完全な市場開放を迫った。
豚肉業界が反発を強めるのは、日本による重要品目の聖域化の動きがより明確になってきたからだ。甘利明TPP担当相(64)は5月19〜20日にシンガポールで開かれたTPP閣僚会合に際し、「関税を撤廃することはできない」と表明した。豚肉業界はこうした日本の動きへの警戒感を強めており、日本が関税撤廃に応じない場合は日本抜きでTPP交渉を進めるべきだとしている。
ただし米国の農業界には温度差もみられる。豚肉業界が発表した単独声明とは別に発表された、豚肉、小麦、コメ、乳製品の関連団体による共同声明では、日本に対して農産品市場の「意味のある開放」を強く求めてはいるが、「関税撤廃」の言葉は使っていない。豚肉業界の単独声明と同様に日本が要求を受け入れない場合は日本抜きのTPP交渉を進めるよう求めてはいるものの、反発の色は比較的薄い内容だといえる。
また、この共同声明に参加していない米国の牛肉生産者団体は23日、豪州、カナダ、ニュージーランドの牛肉生産者団体とともにTPP交渉に関する共同声明を発表した。こちらは「TPP合意は牛肉へのすべての関税を撤廃する高水準な内容であるべきだ」とする内容で、豚肉業界と同様に完全な市場開放を求めている。ただし日本抜きでの交渉には言及しておらず、やはり豚肉業界よりもトーンは弱いとみられている。
■オバマ政権は例外容認
こうした反発の温度差を踏まえ、オバマ政権は日本とのTPP合意に向けた検討を慎重に進めている。足下の日米協議では、関税の引き下げ幅や、引き下げにかける期間、輸入が急増した場合の緊急輸入制限措置(セーフガード)のあり方が主要な議題となっているもようだ。米通商代表部(USTR)のマイケル・フロマン代表(51)は20日の電話記者会見で日本に対して「可能な限りの関税撤廃」を求めると述べ、豚肉業界の強い反発に配慮しながらも、例外扱いを容認するオバマ政権としての姿勢をにじませた。
ただし日米間の交渉が順風満帆というわけではない。大江博首席交渉官代理(58)は5月末にワシントンで行われた日米協議終了後、記者団に対して、7月に予定されている首席交渉官会合までの大筋合意は「非常に難しい」との認識を示した。交渉の初日には日米の主張の隔たりが広がったかにみえ、「絶望的になった瞬間もあった」と述べるなど、交渉の難しさをうかがわせている。
■中間選挙控え慎重な議会
米議会でも慎重論は残る。TPPで市場開放を迫られる米国の自動車産業が警戒感を強めていることもあり、自動車産業が集積するミシガン州選出の議員らを中心としてTPPへの反発は強い。民主党のハリー・リード上院院内総務(74)は1月に超党派の議員グループが提出した大統領に通商交渉での強い権限を与える「貿易促進権限(TPA)」法の審議を棚上げしたきりだ。
オバマ政権はTPPで日本市場への輸出拡大だけでなく、知的財産保護などでの米国主導のルール作りも目指す。ここに来て関税撤廃を否定する日本の立場に一定の理解を示すのは、経済成長の後押しが期待できるTPP合意を11月の中間選挙に向けた得点にしたいとの思惑があるからだ。しかし行きすぎた譲歩は議会との関係を難しくしかねず、日本との間の溝は埋め切れないのが現状といえる。(ワシントン支局 小雲規生)
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