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復活した日本の不動産市場に外国人が熱視線
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40955
2014.06.16(月) Financial Times
(2014年6月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF、政府系ファンド)が日本の不動産に群がっている。
市場の噂によれば、カタールはボーリング場のポートフォリオを購入したばかりだ。アゼルバイジャンはもう少しで銀座のティファニービルを手に入れるところだった。シンガポールは東京南西部のしゃれた結婚式場、目黒雅叙園を購入する構えのように見える。
SWFは、東京駅を見下ろし、フォーシーズンズホテルを収容する32階建ての超高層ビル、パシフィックセンチュリープレイスの入札者にも名を連ねると見られている。このビルが約1800億円(17億6000万ドル)という提示価格で売却されれば、リーマン危機以降日本で最大の不動産取引になる。
■アベノミクスによる株式ブームが実物資産に波及
安倍晋三氏がデフレを退治すると約束して首相に就任してから1年半が経過し、株式を巡る外国人投資家の熱狂の波が実物資産に波及している。
リーマン危機以降、世界第2位の規模を誇る日本の商業不動産市場は世界のスペシャリストからすっかり見向きもされなくなり、一握りの外国企業――フォートレス、ブラックストーン、ローンスターなど――が銀行に差し押さえられた「グレードB」物件にしばしば飛び付く程度だった。
これらのファンドは今も日本にとどまっており、日銀が過激な金融緩和政策に着手してから、急激な不動産価格上昇の波に乗っている。
だが、ここへ来て、これらのファンドに、より継続的な長期資金が加わっている。ジョーンズ・ラング・ラサールによると、こうした投資の急増もあり、東京は第1四半期に100億ドル以上の売買を記録し、世界一活気のある不動産市場になったという。
投資家たちは、不動産投資のリターンが非常に有利だと説明する。昨年8月から着実に上昇してきた上場不動産投資信託(REIT)部門の動きから判断すると、還元利回り――純収益を不動産売買価格で割ったものと定義される――は3.5%前後になっている。これは、約0.6%の10年物日本国債の利回りより何倍も高い。
「今、よそでそのようなスプレッドを手に入れるのは難しい」。世界中で約250億ドルの運用資産を持つアンジェロ・ゴードンのマネジングディレクター、ジョン田中氏(東京在勤)はこう言う。「しかも日本の資金調達は世界一安いため、わずかなレバレッジで1ケタ台後半のキャッシュ・オン・キャッシュ・リターン(CCR)を生み出せる」
1つの心強い兆候は、新規テナントに対するインセンティブが減少していることだ。市場が大底をつけていた頃は、インセンティブとして6〜9カ月分の賃料が無料になったが、今では3カ月分かゼロになっている。また供給が逼迫する中で、オーナーは賃料値上げの見通しについても話し始めている。値上げが語られるのは、多くのケースで2007年以来初めてだ。
CBREによると、東京の「グレードA」物件の第1四半期の空室率は4.7%だという。CBREコンサルティングのエクゼクティブディレクター、アンドリュー・ハーファート氏は、これは「テナント市場から家主市場に転換する分岐点」である5%を下回る数字だと言う。
東京のビジネス街、丸の内と大手町の広い範囲を支配する三菱地所は先月、既存の入居企業に対し、今年度「5〜10%」程度の賃料値上げを要請すると述べた。同社は既に、新規テナント向けの広告賃料を安倍政権誕生前の市場の底から最大20%引き上げている。
多くの投資家は、日銀の強力な支援と景気浮揚に対する政府のコミットメントに基づいて、不動産市場の復活が続くと考えている。
「東京は再び、国際的に安定性と経済成長を求めるポートフォリオの中で不動の存在になっている」と話すのは、ハンブルクに本拠を置く資産運用会社ユニオン・インベストメントの投資運用部門責任者、マルティン・ブリュール氏。同社はつい先日、流行の先端を行く原宿のオフィスビルを180億円で取得した。
アゼルバイジャン国家石油基金(SOFAZ)は、日本その他の中核的なアジア不動産市場で「確固たる地位」を確立することを目指していると述べた。カタール投資庁(QIA)からはコメントが得られず、シンガポール政府投資公社(GIC)はコメントを拒んだ。
■すべてがバラ色ではないが、投資家は高級物件には強気
状況は完全にバラ色というわけではない。不動産証券化協会の上席研究員、澤田考士氏によると、東京の全オフィス在庫の87%を占める多くのB級物件では賃料が今も横ばいか下落しているという。澤田氏は、特に4月の3%の消費税引き上げによって、家主がテナントに賃料値上げを迫ることに慎重になっていると話す。
だが、より高級な物件では、投資家は臆することがない。
「ここには、賃料の上昇、多くの流動性、極めて安い債務というパーフェクトストームがある」。香港を本拠とするプライベートエクイティ投資会社PAGのグループ会社で、パシフィックセンチュリープレイスを売りに出しているセキュアード・キャピタルのマネジングディレクター、J・P・トッピーノ氏はこう話す。「バブルのリスクを除けば、リスクはなかなか思い浮かばない」
By Ben McLannahan
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