03. 2014年6月13日 14:07:50
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ドルは101円後半、英ポンド高で円売り圧力−日銀会合見極め 6月13日(ブルームバーグ):東京外国為替市場では、ドル・円相場が1ドル=101円台後半で推移。英国の中央銀行総裁が早期利上げの可能性を示唆したことを背景とした英ポンド高を受け、やや円に売り圧力がかかっている。 午前11時46分現在のドル・円相場は101円80銭付近。前日の海外市場では一時101円61銭と、5月30日以来の水準までドル安・円高が進んでいた。ポンドは、英中銀のカーニー総裁の発言を受けて急伸した海外市場の流れを引き継ぎ、円に対して一時1ポンド=172円53銭と、4営業日ぶりの高値を付けている。 IG証券の石川順一マーケットアナリストは、「金融政策の発言があると、敏感に反応しやすい地合いになっている」とし、英金利の先高観によるポンド高の影響で円が売られていると説明。ただ、「日本銀行が早期の追加緩和をしないというメッセージを示してくるならば、円買いが走ってもおかしくない」とも指摘し、円の下値は限定的だと言う。 日本銀行はこの日の金融政策決定会合で、政策方針の現状維持を全員一致で決めた。ブルームバーグ・ニュースが事前にエコノミスト33人を対象に実施した調査では、全員が政策の現状維持を予想していた。 イングランド銀行(英中銀)のカーニー総裁は12日、「初めての利上げの具体的な時期についてさまざまな臆測が飛び交っているが、この決定はより均衡のとれたものになりつつある」とした上で、「それは市場が現在予想している時期よりも早く起こる可能性がある」と述べた。 米金利動向を見極め 前日の米国債市場では、10年債の利回りが前日比4ベーシスポイント(bp)低下の2.60%程度となった。米国のオバマ大統領はイスラム過激派が攻勢を強めているイラクで、同国政府の反撃を支援するため空爆の選択肢も排除しない考えを示しており、地政学的リスクが米国債買いの一因となった。 三菱東京UFJ銀行の野本尚宏調査役(ニューヨーク在勤)は、来週には米国で連邦公開市場委員会(FOMC)が控えており、「世界的に出口戦略というトーンになるかもしれない」と指摘。米長期金利が水準を切り上げる展開となれば、ドル・円相場の上昇につながると言う。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 三浦和美 kmiura1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net崎浜秀磨 更新日時: 2014/06/13 11:51 JST
日本株下落、輸出や不動産売り−米統計低調と円高、日銀待ち 6月13日(ブルームバーグ):午前後半の東京株式相場は下落。米国経済統計の低調や為替の円高が嫌気され、輸送用機器やゴム製品、機械など輸出関連株が安い。直近の急伸に対する短期調整ムードが広がる中、不動産や陸運など内需関連株も売られている。 午前10時37分のTOPIX は前日比8.48ポイント(0.7%)安の1229.27、日経平均株価 は117円95銭(0.9%)安の1万4855円58銭。 立花証券顧問の平野憲一氏は、「日本株を支えていた2つの柱が不透明になっている」と指摘。1つは企業業績、もう1つは円安で、業績については今期10%−15%の増益と思われていたが、現状はほぼ横ばい見通しだと同氏。「これから上方修正の動きはあるだろうが、4−6月期決算を出すタイミングは2カ月近く先」と話した。 米商務省が12日に発表した5月の小売売上高は、前月比0.3%増と市場予想の0.6%増から下振れた。労働省が発表した先週の新規失業保険申請件数も31万7000件と、市場予想の31万件を上回った。また、イラク情勢の悪化で原油相場が8カ月ぶりの高値を付けたことも影響し、同日の米S&P500種株価指数 は3日続落、ダウ工業株30種平均は連日で100ドル以上下げた。 米統計の低調を受け、前日のニューヨーク為替相場ではドル・円が1ドル=101円61銭と約2週間ぶりのドル安・円高水準に振れた。午前の東京市場でも同70−80銭付近で推移、前日の日本株市場の終値時点102円7銭から円高方向にある。 また、きょうの取引開始時は株価指数先物・オプション6月限の特別清算値(SQ)算出だった。ブルームバーグ・ニュースの試算によると、日経225型で1万4807円72銭と、前日の日経平均終値に対し165円81銭安い。SQに絡む売買も朝方の指数の押し下げ要因となった。 ただ、日経平均は始値の142円安の1万4830円が午前の安値となっており、その後は下げ渋り。きょうまで日本銀行の金融政策決定会合が開かれており、市場では政策の現状維持予想が支配的だが、実際の結果を待とうとこう着感が強まっている側面もある。 東証1部33業種は不動産、ガラス・土石製品、輸送用機器、ゴム、陸運、その他金融、サービス、空運、陸運、機械などが下落。一方、ニューヨーク原油市況が8カ月ぶりの高値を付けたことで、鉱業株は高い。売買代金上位ではファーストリテイリング、ホンダ、日東電工、住友不動産、三菱地所、ブリヂストン、コマツ、セコム、電通、住友金属鉱山、オリンパスが下落。これに対しKLab、国際石油開発帝石、アドバンテスト、富士通、山一電機は高い。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 竹生悠子 ytakeo2@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net院去信太郎 更新日時: 2014/06/13 10:57 JST
米FRBは国庫納付金を停止すべき=グッドフレンド氏 2014年 06月 13日 12:11 JST [サンフランシスコ 12日 ロイター] - 米リッチモンド連銀の元政策アドバイザー、マービン・グッドフレンド氏は12日、インタビューに応じ、連邦準備理事会(FRB)は財務省への送金(国庫納付金)を停止すべきとの考えを示した。利上げ時にキャッシュクランチが起きる可能性を排除するためという。 現在はカーネギーメロン大学教授を務めるグッドフレンド氏は、停止しなければ利上げ時に紙幣増刷の必要が出てくるとして、物価安定をめぐるFRBの信頼性を守るためにそうした政策転換は重要だと指摘。「インフレに対し、マネーの価値を安定させるためにマネーを生み出さなくてはならないという立場に中銀が身を置くのは良いアイデアではない」とし、「火に燃料をくべることになる」と述べた。 FRBは2010年以降、財務省に約3200億ドルを送金。資金は景気刺激策として買い入れた大規模な債券ポートフォリオに伴う金利収入が元になっている。 FRBはこうした債券買い入れの代金として、市中銀行のFRB口座に準備を積み上げている。利上げ時には、準備に対する金利を引き上げることによって準備が金融システムに流出するのを防ぐ計画となっている。グッドフレンド氏によると、問題は市中銀行の既存準備に対する金利を支払うために新たな準備(紙幣増刷)が生まれることだという。 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0EO06V20140613 日銀が大規模緩和の継続決定、海外経済判断を引き上げ 2014年 06月 13日 12:58 JST [東京 13日 ロイター] - 日銀は13日の金融政策決定会合で、現行の「量的・質的金融緩和」(QQE)の継続を全員一致で決定した。景気の現状判断を「基調的には緩やかな回復を続けている」に据え置く一方、海外経済の判断を小幅上方修正した。
海外経済については「一部になお緩慢さを残しつつも、先進国を中心に回復している」との見解を示した。前回会合までは「一部になお緩慢さを残しているが、先進国を中心に回復しつつある」となっていた。海外経済の上方修正は今年1月会合以来、5カ月ぶり。 今回の判断引き上げは、6日に発表された5月米雇用統計が改善を示すなど、寒波後の米経済の基調の強さが確認できたことや、ウクライナ情勢の小康など地政学リスクが後退しつつあることなどを考慮したとみられる。 輸出や設備投資、個人消費などの判断は据え置いたが、生産は前回会合の「緩やかな増加基調をたどっている」から、「緩やかな増加を続けている」に表現を修正した。 景気の先行きは「消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けていくとみられる」との展望を維持。 物価についても、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースで「1%台前半」とし、先行きも「しばらくの間、1%台前半で推移するとみられる」との見通しを据え置いた。 金融政策運営は、QQEは所期の効果を発揮しているとの認識を示し、2%の物価安定目標の実現を目指して、安定持続に必要な時点まで継続する。その際、「経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う」とした。 会合では、木内登英審議委員が、2%目標の達成を緩やかなものとし2015年春をメドに異次元緩和のあり方を見直すよう引き続き提案し、反対多数で否決された。 *見出しを修正した再送しました。 (伊藤純夫 竹本能文 編集:宮崎大) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N719HJ6TTDTA01.html 金融政策の据え置きを決定、量的・質的金融緩和を着実に推進−日銀 6月13日(ブルームバーグ):日本銀行は13日の金融政策決定会合で、政策方針の現状維持を全員一致で決めた。日本経済は2%の物価安定目標の実現に向けた道筋を順調にたどっているとして、量的・質的金融緩和を着実に進める構えだ。 日銀はマネタリーベースが年約60兆−70兆円に相当するペースで増えるよう金融市場調節を行う方針を据え置いた。長期国債、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J−REIT)などの資産買い入れも従来の方針を継続する。エコノミスト33人に対するブルームバーグ・ニュースの調査では全員が現状維持を予想していた。 4月の消費者物価指数(除く生鮮食品)前年同月比は3.2%上昇。消費税上げは4月のCPIを1.7ポイント押し上げると日銀は試算しており、これを除くと3月(1.3%上昇)を0.2ポイント上回った。黒田東彦総裁は量的・質的金融緩和は所期の効果を発揮していると繰り返しており、金融政策運営は当面、現状維持が続くとの見方が強い。 日銀は会合後に発表した声明で、景気の先行きは「消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けていく」として、前月の判断を維持。消費者物価の前年比についても、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて「しばらくの間1%台前半で推移する」との見通しを据え置いた。 ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト33人を対象に3日から6日にかけて行った調査では、日銀が7月に追加緩和を行うとの見方は3人(9%)と、1カ月前の前回調査(38%)から急減。代わりに10月緩和予想が14人(42%)と最多になるとともに、追加緩和なしとの予想も8人(24%)と前回の5人(16%)から増加した。 10月緩和予想 ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは「足元では雇用・所得環境が改善し、消費増税の便乗値上げも一部にみられるなど、物価は上昇バイアスが強いため、当分の間、追加緩和に動く可能性は低いだろう」と指摘。 その上で、「10月の展望リポートを出すタイミングで、日銀の物価見通しと実態が乖離(かいり)し、物価目標が達成困難であることが判明することから、追加緩和を決定する可能性が高い」とみる。 一方、明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは「夏場以降は円安効果が剥落に向かうが、便乗値上げの動きもあるため物価上昇ペースは1%台前半を維持。日銀も様子見姿勢を維持」すると予想。「来年4月以降は便乗値上げの影響も剥落するが、日銀が追加緩和に踏み切るか、目標変更に踏み切るか現時点では予想しにくい」という。 RBS証券の西岡純子チーフエコノミストは消費者物価の前年比上昇率について、今後は前年の反動の影響で11月には0.8−0.9%(消費税の影響除く)の水準まで低下すると予想するが、「日銀は既に軟化を織り込んでおり、むしろ来年度にかけて物価の上昇が速まるシナリオに力点を置いているため、追加緩和の可能性は低い」としている。 木内氏は独自提案 木内登英審議委員は13日の決定会合で、2%の物価安定目標の実現を「中長期的に目指す」とした上で、量的・質的金融緩和を「2年間程度の集中対応措置と位置付ける」との提案を行ったが、8対1の反対多数で否決された。 日銀は昨年4月4日の会合で、目標実現については2年程度を念頭に置いて「できるだけ早期に」、緩和期間は目標を安定的に持続するために「必要な時点まで継続する」と表明している。 黒田総裁は午後3時半に定例記者会見を行う。議事要旨は7月18日に公表される。決定会合や金融経済月報などの予定は日銀がウェブサイトで公表している。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net;東京 藤岡 徹 tfujioka1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net淡路毅, 宮沢祐介 更新日時: 2014/06/13 11:44 JST 当面の金融政策運営は現状維持=日銀決定会合 2014 年 6 月 13 日 11:57 JST 日本銀行本店(東京中央区) Bloomberg 【東京】日本銀行は13日、当面の金融政策運営について現状維持を決めた。日銀が公表した声明は以下の通り(日銀ホームページより)。 当面の金融政策運営について 1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(全員一致)。 マネタリーベースが、年間約60?70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。 2.資産の買入れについては、以下の方針を継続する。 (1)長期国債について、保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加し、平均残存期間が7年程度となるよう買入れを行う。 (2)ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約1兆円、年間約300億円に相当するぺースで増加するよう買入れを行う。 (3)CP等、社債等について、それぞれ約2.2兆円、約3.2兆円の残高を維持する。 3.わが国の景気は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている。海外経済は、一部になお緩慢さを残しつつも、先進国を中心に回復している。輸出は、このところ横ばい圏内の動きとなっている。設備投資は、企業収益が改善するなかで、緩やかに増加している。公共投資は高水準で横ばい圏内の動きとなっている。個人消費や住宅投資は、このところ駆け込み需要の反動がみられているが、基調的には、雇用・所得環境が改善するもとで底堅く推移している。鉱工業生産は、駆け込み需要の反動の影響を受けつつも、基調としては緩やかな増加を続けている。この間、わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、1%台前半となっている。予想物価上昇率は、全体として上昇しているとみられる。 4.先行きのわが国経済については、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響を受けつつも、基調的には緩やかな回復を続けていくとみられる。消費者物価の前年比は、暫くの間、1%台前半で推移するとみられる。 5.リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。 6.「量的・質的金融緩和」は所期の効果を発揮しており、日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「量的・質的金融緩和」を継続する。その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う(注)。 以上 (注)木内委員より、2%の「物価安定の目標」の実現は中長期的に目指すとしたうえで、「量的・質的金融緩和」を2年間程度の集中対応措置と位置付けるとの議案が提出され、反対多数で否決された。(賛成:木内委員、反対:黒田委員、岩田委員、中曽委員、宮尾委員、森本委員、白井委員、石田委員、佐藤委員) http://jp.reuters.com/articlePrint?articleId=JPKBN0EO05T20140613 インタビュー:米景気回復が日銀緩和の出口で重要=東短・加藤氏 2014年 06月 13日 11:43 JST [東京 13日 ロイター] - 東短リサーチ社長の加藤出氏はロイターのインタビューで、日銀の量的・質的金融緩和(QQE)は成功時に債券市場にショックが起きる政策だとし、無理に達成しようとすると長期金利が急上昇するリスクがあると指摘。資産購入の削減(テーパリング)の時期とコミュニケーションが難しいとの見解を示した。 その際は米景気回復の持続が重要な要素になると指摘し、米国の利上げがあまり進まないうちに経済の勢いが失われると、日銀が利上げに動けなくなると語った。 インタビューの概要は以下のとおり。 <物価上昇下での長期金利安定、国債市場の機能が壊れたため> ──物価が上がってきたが、長期金利が低位安定している。その理由と、この先について。 「経済の温度を表すバロメーターとしての国債市場の機能が壊れている。日銀としても本当は(長期金利が)じわじわと上がってきてほしいところだろうが、上がってこない」 「ある日急な修正が来る可能性がある。フローの動きは抑えられるが、ポートフォリオに入っているストックの部分が売りに出てくると、一段と買い入れる額を増やさないと金利が上昇しやすい。本質的にこの政策(QQE)が抱えている問題だ。インフレを2年で2%に持っていくということは、成功するときはどこかで債券市場にショックが来る。実現できないとなると漫然と続いてしまう」 ──2%に向かえば金利上昇のマグマが出てくる。 「方向性としては、2%インフレに向かってじわじわと上がっていくのだろう。ただ、来年2%を達成するかどうかとうことは、あまり重要な問題ではない。本来こだわらない方がいい。インフレターゲットは中長期のものだ。ある期間を区切って、絶対にそこで達成しなければならないというインフレターゲットをやっている国は、今ない」 「日本の場合は2年で2%にすると決意を示すことで、インフレ期待を上げるという戦略できているが、適当にずらすのがいいと思う。大きな方向性としては2%に向かっていく」 「ただ、(ずらす場合は)情報発信が非常に難しい。うまく言わないと株が下がりだしたりする。一方で、15年に達成が無理そうだから追加緩和でも何でもやって達成時期を手前に持って来ようとすると、債券価格が急落することもあり得る」 「これだけ長い間、物価は横ばいあるいはマイルドなデフレできた日本なので、2%という世界にあまり一足飛びに移行しようとすると、かえって消費や投資が縮小する人達も出てくる。漸進主義でいい」 <出口の時に逆に国債を買う可能性> ──2%が実現しそうな場合、出口政策という話になる。市場を壊さずにどうやるか。 「難しい。他国の中銀も買った証券、債券を売れない状況に陥っている。景気は回復しているが、市場から買い入れた債券を売却することで、長期金利が上がることに耐えられる景気の強さまで見通せない状態だ」 「日本はより国債を減らしにくい。米国の債券市場に比べ、日本の国債市場は参加者の多様性もあまりなく、一方向に動きやすい」 「そういうなかでGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が日銀の買いを前提に国債保有額を減らしたりするのであれば、よほど政府の財政再建が進んで、新規国債発行額が画期的に減っていくということがないと減らしにくい」 「悩ましいのは、インフレが2%で安定的になったので、出口に行くということで国債購入をテーパリングしていくと、なおさら長期金利が上がりやすい。そこでのタイミングとメッセージの出し方がすごく難しい。現実には出口の時にさらに国債を買って、市場を安定化させるという逆の動きになる可能性もある」 「ただ、その場合は(インフレ期待が)過度にオーバーシュートしないようにするコミュニケーション政策が、とても難しい」 ──政府との協調は。 「ベースとしては、財政再建をやっていきますという情報が一番大事。最終的に日銀が買った国債がいつか税金で償還されるというイメージが持てないと、単なるマネタイゼーションになってしまう」 <何らかの正常化が必要、2%達成時にフォワードガイダンス> ──日銀は実際にどう動くか。 「最終的な正常化というのは時間のかかる話だが、ある程度何らかの正常化策をして、次の景気後退が来た時に日銀として切れるカードを何かためておかないと、今のままだとさらに国債を買うという話になる」 「そういう意味では、短期金利の引き上げをある程度やりたいのだろう。国債の保有量をあまり減らさないで、そういう手もあり得る。経済がしっかりしていれば、償還が来て国債が減っていくのに任せて減らしていくということだろう」 「米国の景気回復がいつまで続いてくれるかというのが、すごく大事になる。米の利上げがあまり進まないうちに向こうの経済の勢いが失われると、そもそも日銀が利上げに動けるタイミングはない」 ──リザーブを持ちながら短期金利を上げるというのは付利か。 「そう。米国の場合だと付利を上げるのと、FRB(米連邦準備理事会)に口座を持っていない投資家には、リバースレポである程度のフロアを作る。難しいのはイールドカーブ全体をどう持っていくか」 ──情報発信はどうか。 「できるだけ長期金利が上昇しないようにソフトにやりたい。情報発信のやり方に日銀は頭を悩ませているだろう。そもそも安定的な2%達成の確認も難しい。2%が達成できた場合、2%になってから安定的かを見極めるまでの間、(市場安定化のためにも)フォワードガイダンス(の明確化)で対応してくる可能性はある」 *インタビューは12日に行いました。 (石田仁志 編集:田巻一彦)
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