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経済統計の虚偽と、金融市場
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52597267.html
2014年06月12日 在野のアナリスト
世界銀行が2014年の世界の経済成長見通しを、1月の3.2%から2.8%に下方修正しました。毎年こりもせず、下方修正をくり返すのは、一つに突発的事象を考慮していない、織りこむべきではないとして排除してしまう、そんな体質にあります。米国が0.7%の大幅な下方修正で、寒波の影響としますが、西部の旱などの影響を今後織りこむなら、まだまだ下がるとみて間違いないのでしょう。
しかし数字の信憑性については日本も同じで、安倍政権になって、特に酷くなったのが経済統計の操作であり、表向きの数字が信じられません。有効求人倍率が1.08倍となり、海外で安倍首相も「成果」と述べています。しかし産業別では増税前の駆け込み需要対応で3月までの期間工が多く、新規で4月から募集をはじめた製造業が突出して高く、宿泊・飲食、建設、卸売・小売と続きます。ワンオペの過酷労働で定着率が悪い飲食や、公共工事の増えている建設業など、明らかに求人に偏りが大きい。特に今回、寄与したのが求職者数が前年同月比10%以上減少しており、端的にいえば仕事探しを諦めた人の増加です。しかも求人はパートタイムや臨時、期間工が多く、これでは労働参加率の低下や、労働の質の低下が寄与、という形であり、決して誇れる成果ではありません。
以前とりあげた、景気ウォッチャー調査も、50が景気判断の別れ目、という言い方がされますが、詳細をみれば現状判断DIは3月から4月が「悪かった」が多く、4月から5月は「変わらない」が増えた。「変わらない」が増えたので、数値は改善しているように見えますが、4月の駆け込み需要の反落の月と「変わらない」なら、現状維持なだけですが、それでも「改善」と報じられます。
経産省の発表した、東証1部上場企業1762社の賃上げ状況の調査、908社が回答し、今年は46.7%が何らかのベア実施、と報じられます。しかし分母が子会社重複回答による927ではなく、引き上げた、引き上げると回答した855であり、908社なら44%、東証1部上場企業全体からみると23%にすぎません。官製賃上げの効果は4分の1しか出なかった、が正しい見方です。経産省が鉛筆を舐めた結果、半数近くとなりましたが、実質賃金が3%以上下落したことをみても、23%の方が整合性があります。むしろ発表された統計を付き合わせると、ボロが出る形となっているのです。
証券会社や、大学教授などが集まり、日本の投資を活発化させるには? とのシンポジウムを開いていますが、NISAの活用など、どれも的外れな印象です。個人的には、情報を正しく分析し、それを顧客に提供していくサービスが著しく劣化していることが問題と考えます。政府発表、財界の思惑に沿った意見は目立ちますし、とり上げられ易く、証券会社などがそちらに流れている。結果、騙されたと感じた投資家が市場から撤退していく。もっとフラットな判断に基づく、正しい見方を伝えていくことで、市場の魅力を伝えていく努力が欠けている、と感じます。
米系証券大手が証券業務の縮小をすすめる方針です。世界的にボラティリティが低下し、市場で稼げなくなったことが原因です。日本の中小証券会社は、相場操縦や業務改善命令をうける始末。相場の透明性どころか、健全性を危うくする事例が増えている。昨年は業績改善で湧いた証券業界が、今年は一気に苦境へと陥りかけている。それは政府の垂れ流すウソを、一緒になって伝えていれば、そうなるでしょう。政府が健全性を欠いているなら、市場から催促する機能が求められますが、今はそれすらできない。金融相場にも関わらず、金融市場が盛り上がらない今、証券業界にも生き残り競争が始まっていますが、一番生き残りにせこい手をつかっているのが、安倍政権という事態が、もっとも危惧すべき状況ということになるのかもしれませんね。
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