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TPPで日本の医療費も高騰必至? ジェネリック医薬品をめぐる問題〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140612-00000003-sasahi-pol
週刊朝日 2014年6月20日号より抜粋
安価なことから医療費削減のため、日本政府も推しているジェネリック医薬品。しかし、TPP締結後の世界では、それがなくなってしまうだけでなく、治療にさらにお金がかかってしまうかもしれない。そんな条項がTPPに盛り込まれているからだ。理不尽な状況に「国境なき医師団」が立ち上がった。
ジェネリック医薬品とは、新薬(先発医薬品)の特許期間が満了したあとに製造される薬のこと。新薬と成分が同じなので効き目も同じだが、開発費が必要ないことから、格安で入手できることが特徴だ。日本では、新薬の特許は20〜25年で切れる。
途上国を中心に医療活動をする国境なき医師団にとっては死活問題だ。ジェネリック医薬品の入手が難しくなると、十分な医療サービスが提供できなくなるからだ。国境なき医師団の必須医薬品アクセスキャンペーンで渉外担当をしているブライアン・デイビス氏は言う。
「2000年以降、ジェネリック医薬品のおかげで、世界のエイズ治療は歴史的に拡大しました。今日では、途上国の約900万人が治療を受けています。国境なき医師団だけではなく、世界各国の医療従事者が、ジュネリック医薬品に頼って医療をしているのです」
国境なき医師団によると、00年にはエイズ治療で1人年間1万ドル(約100万円)もかかっていたが、それが現在では60ドル(約6千円)にまで下がった。そのほかにも、結核やマラリアなど、他の感染症の治療にもジェネリック医薬品は大きな役割を果たしているという。
だが、知的財産の交渉では、信じられないような露骨な要求も議題にあがることになる。そのひとつが、医薬品の特許期間を何度でも延長できる制度の導入だ。この制度は、植物が半永久的に緑を保つことにたとえ「エバーグリーニング(永久再生)」と呼ばれている。
知的財産の問題に詳しい首藤信彦前衆院議員は言う。
「たとえば、ある薬の成分が鎮痛・解熱に効果があり、特許を得たとします。それが20〜25年後の特許切れになる前に、次は血圧降下剤として特許を得る。そういう小さな改変を繰り返すことで特許期間を延長したり、開発時の臨床データを非公開にしたりして、ジェネリック医薬品の生産を防ぐのです」
医薬品だけではない。人間への外科手術の技術や治療方法を特許化することも議論されている。米国ではすでに医療行為の特許が認められているが、現在は医師に特許使用料を請求できない仕組みになっている。国境なき医師団が「人命を左右する」と主張しているのも、医療に特許使用料が必要となれば、途上国の医療サービスに悪い影響を与えることが必至だからだ。
ジェネリック医薬品を製造しているある製薬会社の幹部は言う。
「TPPで特許期間が延長になれば、商機を失うのは確実。ただ、日本政府はこれまで医療費節約のためにジェネリック医薬品の使用を推奨してきたはず。TPPでその動きに水をさせば、ますます国民の医療費は高くなりますよ」
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