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親日投資家が語る日本の未来
武田 安恵
2014年6月11日(水)
6月上旬、筆者はシンガポールへ出張した。主な目的は日本株のセールスイベントの取材だが、その他にもシンガポール独特の建築物の取材などを行った。シンガポールは狭い国なので、2時間あれば国内をぐるりと1周できてしまう。
そして、シンガポールに来たからにはぜひ会いたい人がいた。米国人の著名投資家、ジム・ロジャーズ氏だ。2007年からシンガポールに移住している。筆者は約2年半前の2011年12月、シンガポール植物園の近くの閑静な住宅街にある彼の家を訪ねた。当時筆者は妊娠7カ月だったが、彼は私を見て「仕事より、子供を産むのは大事なことだ。日本はこれから人口が減るからね」とうなずいてくれたものだ。
彼がシンガポールに移住した理由は現在11歳と6歳の2人の娘たちのため。彼は、将来的に世界は「アジアの時代」になると考えている。従って娘たちには中国語ができなければならないとしている。
中国語ができる筆者はその際、長女のハッピーちゃんと中国語で会話したが、それは見事な発音だった。その後2012年に生まれた私の娘はちょうど先月、2歳になったばかりだ。幼い頃から教育方針がこんなにしっかりしているとは・・・・・・と思うと少し焦る。
そんなことを考えながら彼の家に向かった。シンガポールに行く直前、「今週そちらへ行きますが会えませんか」とメールすると、「ニューヨークからちょうど帰ってくる日だけど大丈夫だよ」との返事が返ってきた。ありがたい。
家に着くと、やけに静かだ。2人の娘、ハッピーちゃんとビーちゃん、そして奥さんのペイジさんは夏季休暇を利用して米国の祖父母の家にいるという。「今、この家にいるのは私とお手伝いさん、そして犬のベラだけだ」と、ロジャーズ氏はユーモラスたっぷりに出迎えてくれた。とてもニューヨークから帰ってきたとは思えないほど元気だ。御歳71歳には見えない。
彼の取材は大抵、本人の希望でエアロバイクをこぎながら行われる。パソコンをエアロバイクの上に置いて、リサーチを兼ねながら話すのが彼のスタイルだ。この日はスコールが降っていたが、プールサイドに面したジムで、雨の音を聞きながら淡々と取材は進んだ。会うといつも、世界経済の見通しと、現在の投資スタンスについて聞く。
■金融緩和の帰結はハイパー・インフレ
―足元の日本株の動きをどうご覧になっていますか。
ロジャーズ:しばらくの間は良いだろう。私は日本株をいつ買い増そうか、チャンスを狙っているくらいだから。私が日本株を買ったのは2011年3月の震災直後。そして今年1月だ。日本は1月から、個人に対して税の優遇が始まっただろう?
―少額投資非課税制度(NISA)のことですね。
ロジャーズ:名前はよく分からないけれど。これを聞いた時、日本も近い将来、個人が株を買うようになると思った。そうなった時、まず買われるのはみんなが知っている会社。つまりブルーチップなどの優良株だ。なので、その中で割安なものを探した。
個別銘柄については詳しく話さないが、1つだけ教えるなら、NTTを買ったよ。あとは日本株のインデックスを買った。大型株インデックスと、小型株インデックスのETF(上場投資信託)を買った。
日本は今、アベノミクスによる金融緩和で景気が持ち直している。株も60〜70%上がった。しばらくはその傾向が続くだろう。日経平均株価は2万円を超えてもおかしくない。だが、ここからがポイントだ。歴史上、ミスター・アベのような金融緩和、つまり無制限に円を刷り続けてうまくいった例は1つもない。必ずといっていいほど、最終的にハイパー・インフレに襲われるだろう。後から振り返って、安倍晋三は歴史上、最悪の総理大臣として語られるだろう。「あの時がターニングポイントだった」と。それがいつかは私も答えられない。10年後かもしれないし、20年後かもしれない。その時には私は日本株を全部手放すだろう。
―米国は今、量的金融緩和の収束に向けて動き出していますが。
ロジャーズ:日本と同じだ。金融緩和縮小は今のところ順調のようだが、ある時点でマーケットに混乱をもたらす。そうすると連邦準備理事会(FRB)はそこでアクションを止めてしまう。そうするとマーケットは落ち着く。しばらくして再開すると、またある時点でマーケットが下がる・・・・・・。この繰り返しだ。つまり、金融緩和縮小がいつまでたっても終わらないから、どんどん負債が積み上がっていく。
米国株は今、好調な動きを見せているが、私はすでに買われすぎ、かなり高く評価されていると思っている。米国株を買うくらいなら、日本株を買うね。
■嫌われるロシアにチャンスがある
―中国経済に対して強気のスタンスでいますが、その見方は変わりませんか。
ロジャーズ:中国は今、成長が減速しているし、インフレ、資産バブルとさまざまな問題に直面している。だが、政府は足元、それらの問題に対してよく対処していると思う。ソフトランディングは可能だ。私は人民元を買い増しているし、中国株の物色も始めた。
だが、中国政府は万能ではない。例えば政府は、環境汚染などに対しては有効な手立てを講じていない。これは、長期的に見て、経済にとっても大きなダメージになるだろう。だから私は言う。中国は、ある部分ではうまくいくだろうし、ある部分ではうまくいかない。あるいは問題は放置されたままになる。中国経済を見る際は、これらのポイントに注意する必要がある。つまり、政府の関心がどこにあるかだ。
―日本、中国の他に、今有望と考えているものはありますか。
ロジャーズ:ロシアだ。ロシアは今、世界で最も嫌われている国の1つだ。だから皆買わない。だが、私はそこにチャンスを見出している。
ロシアは巨大だ。それに資源も豊富である。多くの国がロシアと本当はビジネスしたいと思っているはずだ。だから、米国の経済制裁はうまく機能しないだろう。制裁を課せば、ロシア市場はもっと下がるだろうけど、私はその時、また買うね。ルーブルも今年3月に過去最安値を記録した。だからルーブルも買ったよ。この判断は、すぐには実を結ばないと思うが、長期的に見ればうまくいくだろう。
―いろいろありがとうございます。最後の質問です。前々から、日本の将来に対して悲観的でありますが、何か日本の若者たちにアドバイスはありますでしょうか。
ロジャーズ:グローバルに動けるように、準備しなければならないだろう。私は娘たちに常日頃から「英語、中国語のほかにさまざまな言語を習得せよ」と言っている。娘の教育に関しては、自分の力で自立して生きていける子になってほしいと願っている。
だから、若いうちから親元を離れさせるつもりだ。私も実際、そうして生きてきたから。これからの時代、どこでも生きていけるようになるには、やはり言葉だろう。
これから50年後、日本は確実に人口が減る。それだけに、いろんな国で生きていけるように準備するのは大事なことだ。
- 中国:5月の工業生産、伸び加速−李首相の下支え策寄与 小売売上高は予想上回る =中国板リンク= 五月晴郎 2014/6/13 17:48:54
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