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ECBによる金融緩和策
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52596672.html
2014年06月06日 在野のアナリスト
米5月雇用統計が、非農業部門雇用者数で21万7000人増と、市場予想とほぼ一致。失業率は6.3%と変わらずでした。先月、急低下した労働参加率も小幅ながら回復、時間当たり賃金も微増という形で、回復は順調と印象付けた形です。ただ市場はもうこの材料を織り込み済みであり、史上最高値を更新し続ける米株が、今以上に押し上げる材料とはならないでしょう。それは昨日発表された、ECBの実質的な量的緩和策が、市場では消化不良に終わっていることにも現れます。
ECBのドラギ総裁は、これまでもマジックと称される手法で、市場に安心感を与えてきました。しかし昨日、2回に別けて発表された緩和策は、政策金利の0.1%引き下げで0.15%に、マイナス金利の導入、不胎化オペの停止、上限金利の限界貸出金利を0.40%に引き下げ、TLTROの開始、ABS購入にむけた準備、等です。この中で、TLTROとは期間4年で4000億ユーロを目処に、貸し出しを増やす金融機関へ供給するオペであり、不胎化オペの停止とともに金融機関へ資金を積む、量的緩和に近い効果をねらったものです。また資産担保証券(ABS)の購入は、規模や内容は示されないものの、これも金融機関から買取る形ですから、民間に資金はジャブジャブになります。
ただ米株市場以外は反応薄で、効果をはかりかねています。経済が悪化する中、金融機関に流動性を供給したとて、貸し出しが増えることはない。逆に、資産バブルを発生させる懸念ばかり強まり、その結果一時しのぎどころか、後で大きなしっぺ返しを食らうことがこれまでの経験からわかっています。今、金融不安が起こって、どうしても金融機関が資金を積まなければ貸し出せない、という状況でもない中、これだけの小幅な量的緩和策を積み上げても、成果がでるとは限らない。金融相場と言われる中でも、さらに資産価値への投資を増やして大丈夫か? というのがコンセンサスです。実際、貸し出しが伸びれば好感できますが、まだその評価は定まりません。
日本では田村厚労相が、年金基金の運用見直しの前倒し、などと発言していますが、市場では14000円付近、及び14700円付近での信託経由の買いが、年金によるものでは? と指摘されており、実際に市場が停滞していたときに信託経由の買いが急拡大しています。恐らく先物では米系が、現物では年金基金が、互いに結ぶ形で直近の急上昇を演出したことがほぼ確実です。実は前倒しどころか、すでに年金の株式の運用比率は拡大しており、後づけの議論のようにすら感じられます。
今回、欧州系は踏まされただけで面白くありません。売買高が増えていない点をみても、水準への強い拘りがなく、黙って踏まされたことになり、若干の不自然さも感じます。日本市場に興味がないのか、それとも以前も指摘したように、米系はいずれ売りでとると見て、今は様子見なのか、どちらにしろ盛り上がりに欠ける点は、急上昇という結果からも違和感を生じてしまいます。
今や中国の不動産バブル崩壊が、中国国内からも公然と語られるようになりました。いつそれが中国の金融不安へと結びつくのか、世界は固唾をのんでいるところです。もう世界は買いを増やし、リスクテイクするような環境ではなくなっている。日本の年金基金だけが必死にリスクをとっている今の状況は、英国のことわざ風にいうと『向かい風に小便』であり、いずれそのツケは大きくなって自らの身に返ってくることに、なりかねないのでしょうね。
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