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6月5日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、記録的な低金利の効果を実体経済に浸透させデフレを阻止するため、前例のない政策パッケージを発表した。
ECBは5日、下限政策金利である中銀預金金利をマイナス0.1%に引き下げた。マイナス金利に踏み込んだ主要中銀は初めて。経済の中で与信を必要とする部分への流れを促すため、銀行融資に連動する4000億ユーロ(約55兆8000億円)規模の流動性供給措置も発表した。資産担保証券(ABS)購入に向けた作業も開始する。
ドラギ総裁は政策金利が「実際的にあらゆる点から考えて」下限制約に達したことは認めたものの、さらに行動することにやぶさかではない姿勢を示唆。フランクフルトでの記者会見で「今回のは意味の大きいパッケージだと思う。しかし、これで終わりかと問われれば答えはノーだ」と語った。
悪化する景気見通しと長引く低インフレが、ECBに行動を迫った。ECBの緩和的な金融政策の恩恵は、18カ国で構成するユーロ圏全域には及んでいない。
主要政策金利であるリファイナンスオペの最低応札金利は0.1ポイント引き下げられ0.15%となった。上限政策金利の限界貸出金利は0.35ポイントの引き下げで0.4%。
劇的効果
大和キャピタル・マーケッツのエコノミスト、グラント・ルイス氏は「予想よりは少しだけ強い措置だった」とし、「ドラギ総裁は帽子の中からウサギを2、3羽取り出して見せ、人々は喜んだようだ。大方の予想は上回り、詳細が待たれるところだ。その理解には若干時間がかかるだろう」と話した。
この日の会見は、ユーロを守るためなら「何でもやる」と発言した2012年夏以来の劇的な内容だった。ユーロ圏崩壊の危険は去ったものの、南欧諸国では依然、銀行が不良債権処理の道半ばで融資に積極的になれない状況だ。
ベレンベルク銀行のチーフエコノミスト、ホルガー・シュミーディング氏は、この日のインパクトは「何でもやる」発言には及ばないものの、ECBが今までに示唆した以上の内容だとし、「全てを合わせると、革新的で包括的なこのパッケージは時間とともに景気回復を支えるだろうし、害にならないことは確かだ」と語った。
TLTRO
ドラギ総裁は融資促進に向けた新たな流動性プログラムを発表した。ユーロ圏の市中銀行は、住宅ローンと金融機関向けを除いた民間向け融資残高の7%まで借り入れが許される。期間は最長4年で、金利はECBの主要政策金利に10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の上乗せ。資金を融資に回さない銀行は2年後に返済を求められる。「目標を絞った」長期リファイナンスオペ(TLTRO)は9月と12月に実施される。
さらに、2015年3月から16年6月にかけて四半期ごとに、銀行はユーロ圏の企業向け純貸出額の最大3倍を追加で借り入れることができる。
ECBは融資促進の一環として、銀行のローン債権を証券化した資産担保証券(ABS)市場も育てる。「政策委員会は、金融政策の効果浸透メカニズムを強化するためのABS市場での購入に関連する準備作業の強化を決めた」と総裁は述べた。
そのほか、現在行っているオペでの応札額全額供給の16年末までの延長に加え、ユーロ圏債務危機の初期の段階で実施した債券購入について不胎化する措置の停止も発表された。
ドラギ総裁は「金融を一段と緩和し実体経済への融資を促すための措置の組み合わせを決定した」と語った。
余剰資金を中銀に滞留させる市中銀行から金利を徴収するマイナス預金金利の措置は、短期金融市場での望ましくない金利上昇を防ぐ手段としてドラギ総裁が導入の可能性を示唆していたものだった。インフレ低下につながるユーロ相場の上昇を抑える上でも役立つとみられる。
ING−DiBaのチーフエコノミスト、カルステン・ブルゼスキ氏は「ECBとユーロ圏の歴史の中での『何でもやる』瞬間の再来だ。ドラギ総裁は持てる全てを投じた」とコメントした。
原題:Draghi Unveils Historic Measures to Counter DeflationThreat (2)(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/bb/newsarchive/N6P6R76K50YA01.html
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