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2014年06月04日
4月16日に麻生財務大臣が公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(以下GPIF)に関して「6月に動きが出る」とつい口を滑らせたのですが、実際に4月24日には10人で構成される運用委員の大半が積極運用派に入れ替えられており、いよいよその6月に入りました。
GPIFとは2013年12月末時点で128.5兆円の運用資金を持つ世界最大の年金基金です。その次の規模はノルウェー政府年金基金の62兆円で、よく株式市場で名前を聞くカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)は26兆円しかありません。つまりGPIFとは、世界でも圧倒的な存在感と影響力がある「はず」の年金基金です。
同じく2013年12月末時点の資産構成割合は、国内債券が55.2%、国内株式が17.2%、外国債券が10.6%、外国株式が15.2%、短期資産が1.8%となっています。
最初にはっきりさせておきますが、本誌はGPIFの日本株式組み入れ比率拡大には「大賛成」です。世界の年金基金が自国株式中心の運用であることは当然だからです。
昨年に日銀が「異次元」量的緩和に踏み切ったように、本年はGPIFの日本株組み入れ比率を「異次元」に引き上げるべきと考えています。
4月24日にそのGPIF「新」運用委員長に、積極運用派の代表として就任した米沢康博・早大教授のインタビュー記事が、本日(6月3日)の日経新聞に出ていました。
世界最大の年金基金であるGPIFの「新」運用委員長として、米沢氏は相応しい「力量」と「適正」を備えているのでしょうか? インタビュー内容から確認します。
ポイントは「金融市場の価格変動メカニズムを頭ではなく体で理解しているか?」「市場との対話能力に長けているか?」「世界中の運用プロと対決できる力量を備えているか?」などですが、最も重要なことは「日本人のGPIFなので、その運用には(運用利回りだけでなく)日本および日本人全体のメリットを優先する柔軟性があるか?」と考えます。
米沢氏の発言のポイントと、本誌のコメントを交互に並べてみましょう。
「運用資産の構成の見直しは、6月から見直し作業に入り、10月頃に発表すればよい。ただ政府から早くと求められれば協力して、最短で8月の発表も有り得る。何年何月までにその資産の比率を何%にするという工程を示す」
運用にはスピード感が絶対に必要であると全く理解していない官僚・学者の発言です。
「これから金利が上がれば国債価格が下がって損失がでる。また低金利の国債だけでは求められる運用利回りを達成できない。日銀が量的緩和を続けている間ならGPIFが国債を売却しても金利が跳ね上がる心配はない」
驚愕的に無神経な発言です。GPIFにはその歴史的背景から国債(特に長期国債)の安定消化という重要な役割があり、個人の相場観で反故にしてはならない聖域です。GPIF最大の国内債券ポートフォリオの価値を毀損させることにもなります。
「日本株は割安であり、PBRが1倍になるまで株価が回復しても不思議ではない。日本株の組み入れ比率は12%で、それが現在の17%になれば売却するのが普通だが現在はほとんど売っていない。17%以上の基本比率は検討に値する。20%という数字がでてくれば20%になる」
基本比率が20%になればその上限は25%となるはずで、現在よりも8%上昇するため(単純計算で10兆円の新規購入)それなりのインパクトがあります。しかし市場が最も関心を持つポイントにしては、大変に説明不足です。つまり市場との対話能力がありません。
「国債を売った資金は、主に日本株と外国債、新興国や米国といった外国株に振り向ける」
ここでも無神経に国債売却を繰り返し、その資金を日本株はともかく、これだけ円安と金利低下の中での外国債券や、史上最高値圏の米国株や、いまさらの新興国株式に振り向けようとしていることは、驚愕的に運用センスが欠如しています。
一部を取り上げただけですが、これがGPIF「新」運用委員長の生の声です。本誌は米沢氏の存在が、日本の株式市場やとくに国債市場の「新たな懸念材料になる」と考えます。
本誌が考える適正資産構成とは、国内債55%(変わらず)、日本株35%(倍増)、外国債券と外国株で10%(半減以下)です。これで「異次元」運用方針変更となります。
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