http://www.asyura2.com/14/hasan88/msg/295.html
Tweet |
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140603/dms1406030830002-n1.htm
2014.06.03 「日本」の解き方
労働時間の規制緩和について、政府の産業競争力会議を舞台にして、いろいろな議論が出ている。
初めは、産業競争力会議の有識者議員が問題提起した。年収1000万円以上の労働者や、国が指定する範囲の労働者について、本人希望と労使の合意を前提として、労働時間ではなく成果によって報酬が決まる新たな「労働時間制度」(労働時間規制の適用除外)の導入が提案された。
これに対して、残業代ゼロになるとし、労働界などから反対が起こった。
両者の主張はかみ合ってない。産業競争力会議の有識者議員は、労働者の労働時間が長いことを理由として、労働時間に裁量がない人を除いた労働者に対して、労働時間規制の適用除外を導入すると説明する。この場合、労働時間と給料がリンクされていないので、残業という概念がない。
しかし、労働界では、産業競争力会議は使用者の意見を代弁しているだけだとし、対象は限定されず、広く一般労働者にまで残業代ゼロを広げようとしていると反発する。
この背景としては、使用者側は、労働者が賃金に見合って働かず、余計な残業をして残業手当をかすめ取っていると思っている。一方、労働者側は、やりたくもない残業をさせられているのに、きちんと残業代が払われていないという、いわゆるサービス残業の問題を解消せずに、それを合法化するのは納得できないという。こうした両者の根本的な感情的ともいえる意見対立がある。
5月28日の産業競争力会議において、民間議員から新たな提案があった。対象となる職種は年収を限定せず、一定の責任ある業務・職責を有する者として、例えば、経営企画・海外プロジェクト・新商品企画開発等の担当リーダー、ファンドマネジャー、IT、金融等ビジネス関連コンサルタント、経済分析アナリストがあげられた。主に現業的業務、定型的・補助的業務、経験の浅い若手職員層は対象外とされている。
一方、厚労省からも提案があった。これまで、民間議員が主張する労働時間規制の適用除外に反対であったが、民間議員提案の対象をより絞ったうえで一部容認に転じた。具体例として、成果で評価できる「世界レベルの高度専門職」をあげた。
それ以外については、現行制度の裁量労働制で対応したいようだ。この裁量労働制は、労働時間概念は残っていて、実労働時間に関わらず、みなし労働時間分の給与を与える制度だ。
民間議員と厚労省の違いは、専門性の高い一定の職種において、新たな労働時間制度と裁量労働制のどちらにするかだ。両者は、似て非なるモノだ。前者は厚労官僚とは無関係だが、後者は彼らのさじ加減次第だ。まさしく、裁量労働制がワークするかどうかは厚労官僚の「裁量性」による。
これがどちらになるのか、これからの労働法制の行方を左右する重大な岐路に立っている。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。