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中国経済、金融緩和による経済成長から脱却
人民網日本語版 2014年06月03日07:47
経済成長率の低下を受け、市場では金融緩和による刺激策の呼び声が高まっている。複数の投資銀行は、中央銀行が預金準備率を適度に引き下げると判断した。李克強総理はこのほど、「成長率低下の圧力に対して、中国は穏中求進(安定を保ちつつ経済成長を促す)を維持し、積極的に対策を講じ、安定成長、改革促進、構造調整、国民生活の改善を推進する。積極的な財政政策と穏健な金融政策を維持し、政策との協力を強化し、政策的な準備を整え、適時・適度に事前調整と微調整を実施する」と表明した。専門家は、中国の指導部は穏健な金融政策を維持しており、金融緩和による「金で成長率を買う」という古い手段を繰り返すことはないと指摘した。人民日報海外版が伝えた。
◆預金準備率の引き下げ
経済成長率の低下、不動産価格の下落、実体経済の資金調達難、地方の債務リスク、余剰生産能力、貿易の疲弊――中国経済は現在、多くの問題を解決する必要がある。民生証券の報告書は、「中国経済は成長ペースが変わる時期、構造調整の痛みが伴う時期、これまでの政策を消化する時期が重なっており、経済が高度成長から中高度成長に切り替わるのは必然的だ。供給面から見ると、人口のボーナスが減少し、貯蓄率が転換点を迎え、潜在的な成長率が低下し、労働力の比較優位が失われている。需要面から見ると、国内では人口構造の転換点が不動産の原動力の低下を招き、海外では世界経済がバランスを取り戻しつつあり、外需と外資の原動力が低下している」と指摘した。
経済が力を失った時、比較的ゆるやかな金融緩和策で景気が刺激されるため、預金準備率が下がる可能性が高いとされている。JPモルガン・チェース中国担当チーフエコノミストの朱海斌氏は、「2014年に預金準備率が2回引き下げられる。それぞれ50ベーシスポイント引き下げられ、1回目は第3四半期、次は第4四半期となる」と予想した。
スタンダードチャータード銀行の報告書は、「預金準備率引き下げの機が熟した。安定成長に向け、広範な緩和策が必要だ」と分析した。
みずほ証券チーフエコノミストの沈建光氏は微博(ウェイボー)で、「中央銀行の預金準備率引き下げは、ハードランディング回避の最も適切なマクロ政策だ。李総理は赤峰市を視察した際に、『成長率低下の圧力を軽視してはならず、適時の事前調整・微調整により信用貸付の合理的な成長を維持するべきだ』と指摘した。国務院新聞弁公室の記者会見で、情報センター予測部長の祝宝良氏も、適度な預金準備率引き下げも一つの方法だと指摘した。預金準備率引き下げは大規模な刺激ではなく、金融政策の過度な引き締めをやわらげる必要な措置だ」と指摘した。
◆穏健の基調を維持
預金準備率の引き下げについて、専門家と関連機関は慎重な態度を示している。民生証券の研究報告書は、「伝統的なケインズ主義のマクロ調整モデルで成長率低下に対応するならば、中央銀行は確かにこの時期に預金準備率を引き下げ、総量の緩和により全体的な需要をけん引する必要がある。しかし何度も指摘してきた通り、『新たな常態』の枠組み内で、政府のマクロ管理方針には重大な変化が生じている。今後古い道を歩み、総量を刺激する政策が講じられる可能性は低い」と予想した。
指導部は穏健な金融政策を再三強調しているが、業界関係者は、「この過程において、金融政策は総量の安定を維持する一方で、一定方向の微調整、構造改善の促進により、経済のモデルチェンジ・アップグレードに貢献する。未来の金融政策は、緩和も引き締めも行わない」と語った。
民生証券の報告書は、「金融政策を大幅に緩和することはできない。中国経済の潜在的な成長率が低下を続けているが、これは一時的な産出の不足ではなく、構造的な移り変わりの時期にあることを意味する。盲目的な金融緩和はインフレを引き起こしやすく、経済構造の調整を難しくする。金融政策はまた、過度に引き締めることができない。これは経済構造の調整の中で、伝統的な業界は業績不振の圧力を受けるが、新たな経済成長源が未だ完全に規模化していないからだ。政策はこの時期の経済運行における潜在的なリスクに注意し、中国経済のハードランディングを回避しなければならない」と注意を促した。
預金準備率引き下げは万能薬ではない。中央銀行には他にも、経済成長を促す多くの手段がある。ナショナルオーストラリア銀行のチーフエコノミスト、アラン・オスター氏は、「量的緩和策のみを講じるならば、中国経済にはリスクが生じるだろう。中国政府は金融政策のみで経済の安定成長を保証するのではなく、一括的な対策を講じることで、経済の大幅な変動を回避する」と予想した。
◆GDPより重要なのは革新
盲目的に経済成長率を求めるよりも、成長の内在的な原動力を発掘し、革新の活力を引き出し、成長の質を高めることが極めて重要になっている。李総理は中国経済を将棋になぞらえ、「アップグレードの実現は一つの方向性だ。これには体制面の改革の深化、全社会の革新の原動力、創造の潜在力、創業の活力を引き出す必要がある」と指摘した。
民生証券は報告書の中で、「未来の構造問題の解決は、『堰を開き水を取り入れる』供給管理によって進める必要がある。経済構造の調整、モデルチェンジ・アップグレードに向け安定的な金融環境を構築し、改革をマクロ調整に盛り込み、金融政策と改革の深化を密接に結びつける。その中心となるのは単純な大規模刺激策ではなく、資本、労働力、生産の資料・制度・技術といった生産要素の供給を改善することで、経済そのものの原動力を生む機能を刺激し、経済の潜在的な成長率を高める」と提案した。
マサチューセッツ工科大学スローン校教授の黄亜生氏は、「中国経済の過去30数年間の急速な発展は、大規模な資本と人材の投入に依存しており、革新や生産力の強化の貢献は30%のみだった。中国経済が長期的に発展しようとするならば、経済発展における革新の作用を拡大しなければならない」と指摘した。
黄氏は、「中国の科学技術の革新力の強化が重要になっている。政府主導の革新モデルを変え、民間の技術革新と創業を奨励するべきだ」と語った。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年6月3日
http://j.people.com.cn/n/2014/0603/c94476-8735771.html
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