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有名企業100社の社長を調べて分かった 会社に入って伸びる人は、出身高校で決まっていた 都会の私立より、地方の公立がお得?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39320
2014年06月03日(火) 週刊現代 :現代ビジネス
社会人としての基礎力はいつ養われるか。学歴といえば出身大学を思い浮かべるが、高校時代に身につけた素養こそ重要だろう。今回、本誌は日本の有名企業の社長の出身高校を徹底調査。そこから見えた出世する人の条件とは。
■勉強だけじゃ認められない
先の見えない不透明な時代にあって、政財界がいま最も頭を悩ませているのが人材の問題だ。安倍政権がグローバルに活躍できるリーダーを育てる高校への支援を成長戦略の一つに掲げるように、高校時点から将来のリーダーを育成する方針が明確になってきた。
それでは、いま成功している企業のトップは、どんな高校で学び、リーダーシップを養ってきたのだろうか。社長の出身高校には、都会の私立が多いのか、それとも地方の公立が多いのか―。
時価総額が大きい主な大企業と、昨年新規上場した主な新興企業合わせて100社。その社長の出身高校を本誌が独自調査した結果をまとめたのが、最終ページからの表である。この表からは、「会社に入って伸びる人」の条件が見えてくる。
今回の表に登場した92校の高校のうち、最も多く(5人)の社長を輩出していたのが麻布(東京都港区)。高校からの生徒募集を行わない完全中高一貫校で、毎年のように東大合格者数で全国トップクラスに入る、言わずと知れた超名門私立校である。
「自主自立・自由闊達という校風で、校則も制服もないし、教師の出勤時間も決められていない。文化祭や運動会は生徒の自主運営に任されている」(全国の高校事情に詳しいジャーナリストの猪熊建夫氏)
ほかに類を見ない自由で開明的な校風から卒業生の顔ぶれも多彩で、首相経験者の橋本龍太郎氏、福田康夫氏、さらに芥川賞作家の吉行淳之介氏、北杜夫氏や、脚本家の倉本聰氏、俳優のフランキー堺氏、ジャズピアニストの山下洋輔氏や、最近では『相棒』シリーズなどで有名な脚本家の戸田山雅司氏、日本テレビアナウンサーの〓太一氏などを輩出している。
「勉強はできて当たり前。『プラスα』でなんらかの趣味や特技を持っている、つまり遊びもできて初めて認められる空気がある。麻布は元西武鉄道社長の堤義明氏、元本田技研工業社長の福井威夫氏など財界にも多くの逸材を送り出していて、いずれも調整型ではなく、果敢にチャレンジする仕事を成し遂げています」(『名門中学最高の授業』などの著書があるジャーナリストの鈴木隆祐氏)
■中高一貫は人脈が命
表に登場する三菱商事の小林健社長は船舶部門時代に造船不況を切り抜けるなどの骨太な仕事をやり遂げ、コマツの大橋徹二社長も米国勤務時代に赤字の大型鉱山機械事業を短期間で黒字転換させた剛腕の持ち主。混迷の時代に企業が麻布出身者を抜擢するのは、単なる進学エリートにはできない「突破する力」を求めていることが背景にあるのだ。
麻布に続いたのが慶應(神奈川県横浜市)。慶應志木(埼玉県志木市)を合わせて4人の社長が出ている。
「慶應というと軟派な印象が強いが、実は硬派な面を併せ持つ人材が豊富です。東京海上HDの永野毅社長は高校時代から水泳部で大学時代には水泳部遠泳チームの主将を務めているし、キリンHDの三宅占二社長も中学時代から野球を始めて大学時代も準硬式野球部で汗を流している。文武両道でバランス感覚に長けた人が多いため、慶應卒は企業の採用担当者からも人気が高い」(鈴木氏)
表中の4人はいずれも「慶應大学に進学」という共通点を持つ。
「早稲田大学高等学院や早稲田高校、早稲田実業高校の3校から早稲田大学に進学している有名人がそれほど多くないのに比べて、慶應は慶應高校から慶應大学にそのまま進学している人が活躍する割合が高い。慶應は高校、大学、OBの結束が強固で、社会人になってからも先輩、後輩かかわらず慶應出身ということで広がる独自の人脈があるからです」(猪熊氏)
近年ではキリンとサントリーの破談に終わった統合交渉が、両社の社長が慶應大学の同学年だった縁から始まったとの話は有名。表中の東京海上HDの永野社長の高校同級生には、セイコーウオッチの服部真二社長、和光の安達辰彦社長などがいる。企業のトップ外交が求められる時代にあっては、慶應出身者の「人脈力」が得難い希少資産となっている。
■地元の繋がりがモノを言う
都心にある大企業の社長の2世、3世も多い麻布、慶應といった名門私立から多数の社長が生まれているのは、順当な結果と言える。しかし改めて100人のリストに目を移すと、在京・在神奈川の高校出身者は33人、それに対して地方の高校出身者が67人と、圧倒的に地方のほうが多いという現実が浮かび上がってくる。
たとえば、3名の社長を輩出した東海(愛知県名古屋市)と県立岐阜(岐阜県岐阜市)は、ともに県内屈指の名門校だ。
校訓は東海が「勤倹誠実」、岐阜が「百折不撓・自彊不息(幾度失敗しても志をまげないこと、自ら努め励んでやまないこと)」と堅実なエリート教育校の印象があるが、実は東海の卒業生には哲学者の梅原猛氏、建築家の黒川紀章氏、スタジオジブリ代表取締役の鈴木敏夫氏、岐阜には元西武ライオンズ監督の森祇晶氏などがおり、多彩な人材育成がなされている。東海、県立岐阜ともにベンチャー社長を出している点にも注目だ。
「個性的な私立高校からはもちろん、地方は公立でも旧制中学以来の伝統が都会よりも息づいているので、タフな人材が出てくる。だから組織的なバランス感覚を持つ社長だけではなく、先頭を切って開拓者となるトップを生み出せている。
表中で2名の社長を出している久留米附設(福岡県久留米市)、府立北野(大阪府大阪市)も同様で、ソフトバンクの孫正義社長が中退した久留米附設からはライブドア事件後も活躍しているホリエモンこと堀江貴文氏が出ているし、北野にはIT企業ミクシィ創業者の笠原健治氏もいます」(鈴木氏)
また、私立高校と国公立高校を比べてみると、私立高校は34人、国公立高校は66人という数字になる。さらに絞って見てみると、都内や神奈川県の私立高校出身者(19人)より、地方の公立高校出身者(54人)のほうが圧倒的に多く社長に就いているのだ。
なかでも、パナソニックの津賀一宏社長が府立茨木(大阪府茨木市)↑阪大、クボタの益本康男社長が県立神戸(兵庫県神戸市)↑京大、大阪にルーツを持つ住友商事の中村邦晴社長が府立八尾(大阪府八尾市)↑阪大という『地元公立高校↑地元大学↑地元企業のトップ』というパターンが多く見られる。
地元の公立高校から東京の私立大学に進み、その後地元に戻り活躍している人材もいる。その例が、デンソーの加藤宣明社長とダイハツの三井正則社長だ。
加藤社長は県立刈谷(愛知県刈谷市)出身で、刈谷市はデンソーの本社所在地。親会社のトヨタ自動車からの社長就任が通例のなか、経営手腕が買われてデンソー一筋で社長まで上りつめた。同じくトヨタグループのダイハツの三井社長も、トヨタから出向した社長が21年も続いたなか、ダイハツで生産技術畑を歩んだ叩き上げだ。三井社長の出身高校は府立豊中(大阪府豊中市)で、ダイハツの本社がある大阪府池田市はまさに地元だ。
地方の公立高校を卒業し、地元に根ざした企業でリーダーシップを発揮する社長たちを、森上教育研究所代表の森上展安氏はこう分析する。
「全国的に見れば必ずしもトップではないが、地域で見れば有名校という進路を歩む人は、大言壮語せずにコツコツと努力と実績を重ねるタイプ。地元の空気感もわかるので商売もやりやすい。地元にこだわることが社長への近道になる典型的なパターンです」
大学通信編集部の安田賢治氏はこう言う。
「JR東海の柘植康英社長が県立岐阜、大阪ガスの尾崎裕社長が府立北野と、どちらも県内トップ公立校出身。地域でビジネスする時には大きな強みです。
地方に根ざす企業にとって、地元の繋がり、高校の繋がりは強力。たとえば三菱重工には九大の出身者が多いのですが、そうなると、福岡県のなかでも修猷館(福岡市)や福岡(福岡市)という名門高校の派閥がでてくる。大学ではなく『高校の会』が存在する企業もあり、その繋がりが仕事に大きく影響しているのでしょう」
県立松江南(島根県松江市)出身の仁島浩順・住友不動産社長、諏訪清陵(長野県諏訪市)出身の岩本敏男・NTTデータ社長などは、地元の公立高校から東京大学へ進学し、都心の企業に就職、社長に上りつめた。地元の期待を受け上京した秀才が、見事それに応えてみせた形といえるだろう。前出・猪熊氏がその強みを語る。
「開成など都内の名門校から東大に入ると、実家から通えるし、100人単位で同級生がいるので、スタートは切りやすい。一方で、地方の公立校から東大へ行くと刺激が大きく、コンプレックスを抱く人も多い。家賃や生活費を稼ぐためにアルバイトをしないといけないのも負担です。
しかし、コンプレックスは乗り越えれば反動として根性が身につくし、アルバイトも、学校の外の世界を教えてくれる。地方公立卒の『カベ』を乗り越えた人材は、実は会社に入った時点で一歩先んじることができるんです」
確かに、都内の名門私立は「社長になりやすい高校」なのかもしれない。しかし、たとえば幼稚舎から慶應に入り、ストレートで慶應大学を卒業することを考えると、膨大な学費がかかる。そもそも「持てる者」の家に生まれた人間の歩むキャリアだ。それに対し、地方の公立は、人並み外れた努力は必要だとしても、真面目にキチンと勉強をしていれば、都会の私立より「お得」に社長になれると言える。さらに地元の企業であれば、出身高校のブランドが身を助け、会社で成長していけるのだ。
■一番より「二番手校」を選べ
東京と地方、私立と公立という物差しとは違った見方で表を眺めてみよう。ともに2名の社長を輩出している聖光学院(神奈川県横浜市)、県立平塚江南(神奈川県平塚市)には、ある「共通点」がある。
「いずれもいまでは屈指の進学校として知られていますが、かつては地元の『二番手校』です。そうした伸び盛りの進学校の生徒には、名門校の生徒に負けていられない、いち早く追い抜いてやるという反骨心が芽生えやすい。同じく『二番手校』だった攻玉社(東京都品川区)や北多摩(東京都立川市)からベンチャー経営者が出ていることからも、その傾向がうかがえます」(森上氏)
教育ジャーナリストの小林哲夫氏が加える。
「表に2人の社長がいる海城(東京都新宿区)は、昔から進学校ではありましたが、麻布や開成に比べると二番手校です。しかし、進学実績を近年また伸ばして注目されています。同じくここ10年で東大合格者数が急増した渋谷教育学園幕張(千葉県千葉市)といった中高一貫の私立にも、上昇志向のある学生が多い。次世代の社長を輩出すると思います」
ここまで見てきて、'14年度東大合格者数158人を誇る開成(東京都荒川区)、西の名門・灘(兵庫県神戸市)の存在感がどうにも薄い。表に登場する社長は三菱電機の柵山正樹氏(灘)のみ。自身も灘の出身者である、前出の安田氏が語る。
「同窓生を見ても、ビジネスの舞台で活躍する人材というより、医者や弁護士、大学教授になった人が多く、また官僚への志向が強い。経産事務次官の立岡恒良氏と警察庁長官の米田壮氏の2人が、灘の出身です。しかし、もともと『我が道を行く』タイプの学生が多い校風で、組織を引っ張って、出世して上りつめていくタイプは生まれにくいんです」
開成も似たような事情があり、卒業後は、東大法学部から官僚という進路を目指す学生が伝統的に多いのだという。
ある人物がニュースになる時も、報じられるのはせいぜい出身大学まで。しかし、その人が真にリーダーシップを発揮し社会で活躍できるかは、出身高校で決まっているのだ。
●役職、年齢は2014年5月6日時点 ●高校・大学名は当時の名称 ●偏差値は家庭教師のトライ調べ。当該高校の最新の偏差値を記載。高校受験のない中高一貫校は中学の偏差値を使用(※)。基本的には普通科の数値を使用、一学科募集の場合はその学科の数値。北多摩高校については引き継ぎ先の立川国際中等教育学校の数値(註1)、伊万里商業高校については商業科の数値(註2)。 ●出身大学は、高卒の場合は「−」、留学先は省略 ●並びは大企業については時価総額(4月末時点)が大きい順、新興企業については'13年上場時の初値上昇率の高い順。中央省庁は府省庁名の五十音順
「週刊現代」2014年5月24日号より
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