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泊原発の停止長期化で、自己資本比率が“危険水域”にまで落ち込んだ北海道電力の川合克彦社長(コラージュ)
電力各社、止まらない財務悪化に“奥の手” 再値上げ現実味
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20140601-00000500-biz_san-nb
SankeiBiz 2014/6/1 10:40
原子力発電所の停止に伴う火力発電用燃料費の拡大で、電力各社の財務が“危険水域”にまで悪化している。平成26年3月期は関西電力など5社が3期連続の最終赤字となり、銀行融資が受けにくくなる恐れも出てきた。原発の再稼働が見通せない中、各社は「電気料金を再値上げしなければ、収支を改善できない」と悲鳴を上げている。
■「債務超過」の恐れ
「一般論として3期連続赤字であれば当然審査の目は厳しくなる。ただ政府は(エネルギー基本計画などで)原子力に関して明確なコメントを出しており、注意深く見守る必要がある」
みずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長は5月中旬の決算会見でこう語った。銀行の融資審査はすぐには厳格化されない見通しだ。
ただ、3月期決算では関電のほか北海道▽中部▽四国▽九州−の計5電力が3期連続の最終赤字を余儀なくされた。財務の健全性を示す自己資本比率は北海道電が7.6%と「危険水域」とされる10%を割り込み、借金が資産を上回る「債務超過」の恐れが出ている。九電も10.5%、関電も15.3%と大幅に下げた。
財務悪化を受け、北海道電と九電は、日本政策投資銀行に優先株を割り当てる自己資本増強に動かざるを得なかった。
しかし、自己資本を増やしても、収支の改善にはつながらず急場しのぎにとどまる。各社が値上げの際に想定した原発の再稼働時期は「とっくに過ぎている」(大手電力幹部)ため、収支悪化に歯止めがかからない状況だ。
■進まぬ原発再稼働
関電の24年3月期と25年3月期の連結最終損益は、ともに赤字幅が2400億円を超えた。関電は昨春、家庭向け9.75%、企業向け17.26%の本格値上げに踏み切ったが、26年3月期も974億円の最終赤字と厳しい状況が続く。
八木誠社長は5月下旬、会長を務める電気事業連合会の会見で「(当社の)収支悪化は、値上げ幅の前提である原発再稼働が想定通り進んでいないのが原因」と原子力規制委員会の安全審査を暗に批判した。
高浜3、4号機と大飯3、4号機(ともに福井県)は昨年末までにすべて再稼働する予定だった。だが、現在のところ1基も動いていない。
規制委が優先審査を進めている九電の川内原発(鹿児島県)は書類の不備や火山リスクが焦点に浮上し、今夏の再稼働は難しくなっている。
さらに、大飯原発の運転差し止めを命じた福井地裁判決を受け、原発が立地する地元自治体などが再稼働判断に慎重となる恐れが出てきた。追い詰められた電力各社は、収支改善の“奥の手”となる再値上げの検討を余儀なくされている。
■日本経済に影響
実質国有化された東京電力の26年3月期の最終損益は4386億円の黒字(前期は6852億円の赤字)と4期ぶりに黒字転換した。政府支援による特別利益のほか、燃料費が高い石油火力から燃料費が安い石炭火力への転換を進めた結果だ。
ただ、円安により燃料費は2兆9152億円と3期連続で過去最高を更新した。広瀬直己社長は「電気料金の半分は燃料費に消えている」とぼやく。新総合特別事業計画(再建計画)で想定した柏崎刈羽原発(新潟県)の7月からの再稼働が絶望的となり、年末までに東電も再値上げの判断を迫られる恐れがある。
政府は消費税増税後の景気に神経をとがらせており、当初は電気料金の再値上げに難色を示していた。だが、個人消費などの落ち込みが想定内にとどまる中、「再値上げを受け入れやすくなった」(大手銀行幹部)との見方が広がっている。
政投銀の柳正憲副社長も5月中旬の記者会見で「北海道電と九電を除いた電力会社から資本増強の要請はない。(再値上げは)経済産業省が適宜審査し、必要なときはOKを出すと思う」と断言した。ムーディーズ・ジャパンの広瀬和貞シニアクレジットオフィサーは「再値上げすれば黒字化でき、財務も強化できる」と分析する。
今後の焦点は、各社がどのタイミングで再値上げ申請に踏み切るかだ。ただ、電力各社が電気料金の再値上げに踏み切れば、日本経済には重荷となる。
5月上旬の衆院経済産業委員会に参考人として出席した中央大法科大学院の安念潤司教授は「原発が再稼働して(電力の)供給力が増えれば、電気料金は自然に下がる」と自説を強調した。再稼働審査の遅れは電力会社の経営だけでなく、景気回復への足取りをも乱そうとしている。(藤原章裕)
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