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財務省のwebページより
政府の特権!「記念貨幣」発行で増税を防げ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39369
2014年06月01日(日) ドクターZ 週刊現代 :現代ビジネス
財務省が「新幹線鉄道開業50周年記念貨幣」を発行することを決定した。あまり注目されていない話題だが、「記念貨幣」にまつわる話は実は奥が深い。
記念貨幣で思い出されるのが、天皇陛下御在位60年記念硬貨である。10万円金貨1100万枚、1万円銀貨1000万枚、500円白銅貨5000万枚が発行された。
これを企画したのは当時の大蔵省国庫課長の榊原英資氏といわれている。10万円金貨の製造コストは4万円ほどであり、この記念貨幣の発行で、大蔵省は6000億円ほど儲けたようだ。榊原氏はこれで大蔵省における「出世切符」を手にしたともいわれている。
もっとも、この記念貨幣は「大量偽造」が行われ、記念貨幣としては失敗だった。なぜかといえば、偽造しやすい金貨で、しかも偽造がとても儲かるからだ。なお、この事件の犯人はいまだにわかっていない。
そもそも記念貨幣とはなにか。
ローマ帝国の時代から、古今東西を問わず発行されている。ローマ帝国では戦勝記念の貨幣がしばしば発行され、ローマ帝国の権威を誇示していた。ヨーロッパの王国では、王室の慶事で記念貨幣が発行されてきた。最近では五輪やサッカーのワールドカップ、万国博覧会で開催国から記念貨幣が発行されているが、そうしたイベントがなくても、何かにつけて記念貨幣は出されている。
なぜかといえば、記念貨幣は時の主権者の権威を誇って発行特権を行使するものであるとともに、儲かるから。これは、古今東西、基本的に同じである。
記念貨幣といえども、貨幣である(通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第5条第2項)。貨幣は政府しか発行できない(同法第4条第1項)。貨幣と紙幣を通貨といい(同法第2条第3項)、通貨偽造は罰せられる(刑法第148条)。すなわち、記念貨幣を発行すること自体が特権なのだ。
さらに、記念貨幣は、金、銀、プラチナなどの貴金属が素材。新幹線鉄道開業50周年記念貨幣では、素材は銀で、額面1000円のものを8300円で販売するという。5万枚発行されるが、製造コストは額面の半分以下であろうから、一枚当たり約8000円儲かり、4億円弱の財政収入になるのだ。
それなら、もっと発行して、財政収入を増やし、いっそのこと「増税なし」にできないだろうか。発行量を増やすと価値が下がるが、額面金額は法で定められているので、それ以下にはならない。記念貨幣の製造コストが額面金額より下回れば記念貨幣を大量発行して、財政収入を賄うというのはあり得る話だ。
実際、かつて自民党内で、政府が大量発行ではなく高額、例えば10兆円記念貨幣を1枚発行し、それを日銀に持ち込んで10兆円の財政収入を増税なしで獲得する案が検討されたこともある。アメリカでも、国債発行ができない「財政の崖」時には同様の案がいつも出てきて、財政の崖に国民が落ちないように守ろうとする。
それに引き替え、財務省の記念貨幣は、こうした国民のためになる話は一切ない。一部のコイン収集マニアを相手として造幣局の小遣い程度の財政収入を得るだけで、まるで造幣局が「存在意義」を誇示するためだけのものに見えてしまう。
貨幣の発行特権は政府にのみ与えられたものだ。やり過ぎれば酷いインフレになるが、日銀が決めたインフレ目標に反しない程度に発行特権を駆使し、増税しないですむように使ってもらいたいものだ。
『週刊現代』2014年6月7日号より
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