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消費者物価と実質消費支出
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52596028.html
2014年05月30日 在野のアナリスト
米1-3月期GDP改定値は、前期比年率1.0%減、と予想外に大きな減少となりました。在庫積み増しの鈍化、貿易赤字の拡大、さらに寒波の影響といわれます。しかし前者は寒波の影響でよいのですが、貿易赤字の拡大は、内需の拡大なのか、生産性の低下なのか、によって読み方が違ってきます。輸入は0.4%減から1.7%増に引き上げられた。実は、輸出も引き上げられているのですが、とにかく輸入が拡大している。これは消費が堅調であるためであって、決して寒波の影響ではありません。つまり今回、米GDPの減速の多くは生産性の低下と、消費を輸入に頼ったため、と指摘できます。
しかし問題は、雇用が堅調である点です。新規失業保険申請件数は、下落傾向をたどっている。生産性が低下しているのですから、本来は下がってもおかしくない。すでに5月で、3月とは状況も違っているかもしれませんが、どうもチグハグです。どうやら、シェールガス革命に始まる、資源輸出国への転換にむけた設備、人材投資といった面が大きいようなのですが、特段の理由もないまま、WTIで1バレル100$に乗せてきた原油をはじめ、資源バブルの追い風が吹く間は、米経済も堅調なのかもしれません。不動産価格に一服もある中で、新たな成長ドライバーは資源バブルに浮かれる新興の富裕層、ということになるのかもしれません。
総務省発表の4月全国消費者物価指数が、前年比3.2%上昇しました。日銀は1.7%と試算する消費税分の影響をのぞくと1.5%とされますが、日銀の2%目標に近づいた形です。しかし今回は特殊要因が多い。調査期間がもっとも増税分の転嫁がすすむ4月10日前後であること、これは小売が増税前に仕入れておき、安売りが終わった段階とも重なり、比較的高くでた可能性があります。
5月東京都区部は前年同月比2.8%増と、4月とくらべて0.1%拡大。拡大傾向はつづく模様ですが、気になるのが家計調査によると、実質消費支出が前年比4.6%減。駆け込み需要の反動減だとしても、物価があがって消費が減っている。これまで国やメディアが盛んに喧伝してきた「想定通り」とは、ちょっと違う傾向を示します。さらに勤労者世帯の実収入が実質前年比で、7.1%減。名目でも3.3%減。賃上げが上場企業の4割、と大きく報じられていますが、こちらの数値はほとんど伝えられていません。しかし消費余力は大きく減少している、この傾向は今後に大きく影響します。
法人税減税が目玉、とされる6月の成長戦略ですが、トヨタが5年間も法人税を納めていなかった、という事実が明らかとなり、益々その効果に疑問が生じます。企業は節税対策をすすめており、法人税率という見かけだけで評価するのは危険です。経産省発表の4月鉱工業生産指数も、前月比2.5%減となり、基調判断を持ち直しから、横ばい傾向に修正しているように、企業に減税の恩恵を与えても、今は内需拡大に寄与することがない。米国のように自社株買いや、株主還元をすすめ、株価対策をするだけで、それは勤労者ではなく投資家層を潤すだけ、に留まってしまいます。
消費余力の減少する労働者に、さらに労働制度の変化が追い討ちをかけそうです。よほど条件をつめないと、請負業者などは際限なく仕事をさせられる可能性がある。つまり成果とは何か、どこまでやれば報酬になるか、による不一致が今後、増えてくることが想定されるのです。それはどの業種、働き方をしていても同様であり、それによっては個人破産などが増えてくるはずです。
メディアは盛んに上場企業の賃上げ、ばかり報じますが、直近の経済指標だけをみても、評価は分かれています。目立ち始めたサービス業、建設業の人材不足、しかし企業が対応すれば、それもまた物価高要因です。海外で稼げる力が減少している中で、円安による業績押し上げ効果だけで、今年は何とか賃上げしても、長続きはしません。正念場どころか瀬戸際、崖から落ちかけている、それが日本の景気だという認識が大事なのでしょうね。
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