02. 2014年5月30日 11:46:56
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>ありふれた現象でも、日本のマスコミは「バブルの足音か」という見出しになることが、ここ20年間で「デフレボケ」した状況をよく表しているつまり日経などのアベノミクス批判への批判か http://bullbear.exblog.jp/21988174 牛さん熊さんブログ bullbear.exblog.jp ブログトップ 日本の潜在成長率と長期金利 日銀の黒田総裁は会見で次のようなコメントをしている。 「わが国経済は、2回の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要とその反動の影響を受けつつも、基調的には潜在成長率を上回る成長を続けると予想しています。」 4月30日に発表された展望レポートの注釈によると、「わが国の潜在成長率を、一定の手法で推計すると、このところ「0%台半ば」と計算されるが、見通し期間の終盤にかけて徐々に上昇していくと見込まれる。」とある。つまり、黒田総裁が指摘している日銀推計の日本の潜在成長率は「0%台半ば」ということになる。ただし、展望レポートの注釈でも「潜在成長率は、推計手法や今後蓄積されていくデータにも左右される性格のものであるため、相当幅をもってみる必要がある。」ことも指摘している。 日銀の推計した潜在成長率が正しいものであるのかどうかはわからない。そもそも測定そのものが難しいことで日銀よりやや高めの数字を出しているとされる政府の推定値を含め、これを元に議論することは少し無理があるかもしれない。 たとえば2007年の福井総裁の当時も、総裁のコメントのなかに日本経済は潜在成長率を若干上回る成長を持続しているとのコメントがあった。消費者物価指数(除く生鮮)の推移を確認すると、2008年7月には前年比で2%を一時超えていた。グラフだけで見ると潜在成長率を上回る成長により物価が上昇したと見えなくもないが、当時の状況を振り返ると、原油価格や穀物価格などの上昇による石油製品や食料品の値上がりが主要因となっていた。翌年7月のコアCPIはマイナス2.2%となっていたように、潜在成長率との兼ね合いで説明することは難しい。 日銀の早川英男前理事は先日、ブルームバーグ・ニュースのインタビューで、経済の実力である潜在成長率が低下する中で日銀が掲げる2%の物価目標実現が近づいており、国債価格暴落の可能性が高まっていると警告していた。 早川氏は日銀が先月30日公表した展望リポートで、GDP成長率見通しを2013年度、14年度とも下方修正した一方で、コアCPIの見通しを据え置いたことについて、「成長見通しを大幅に下げて、物価は上がるとすると、それは普通に考えれば潜在成長率が下がったと考えるべきだ」と指摘した。 このあたり2%の物価目標ありきの展望レポートであり、潜在成長率の低下を意識しての数字であったのかどうか疑問である。そもそも展望レポートは日銀の調査統計局とかが算出しているものではなく、あくまで一応、日銀の政策委員の見方の集計である。 もし日銀は潜在成長率の低下により、デフレ脱却が可能としているのであれば、アベノミクスとはそもそも何が目的であったのかということになりかねない。むしろ政府の政策であれば、潜在成長率を高め日本の成長に向けた土台作りが求められるはずが、物価の上昇や雇用の改善をもって良しとして良いものなのであろうか。黒田総裁の発言には矛盾があるように思われる。 日本の長期金利は名目成長率と比較されることが多いが、ここにきても長期金利は0.6%という超低位で推移し続けているところをみると実質成長率と物価上昇率などよりも、日本の潜在成長率そのものだけを意識しているのではないかと思ってしまう。もちろんここには財政リスクプレミアムをほぼゼロと置いているというのも前提にあるのだが。 早川氏の指摘するような国債暴落が物価目標の達成と潜在成長率の低下で引き起こされるかどうかはわからない。長期金利を形成しているのは債券市場参加者の思惑であり、それに変化が生じるきっかけとなるかどうかは未知数である。ここにきての経常黒字の減少(2013年度は7899億円と比較可能な1985年以降過去最低)などを見ても、日本の基礎体力がなくなりつつあるように思われることも確かである。 今後の長期金利のシナリオを描く上で、日本の潜在成長力が低下しているとすれば、その影響をどのように捉えていくべきか、物価との兼ね合いを含めて考えておく必要がある。その意味で早川シナリオも念のため考慮しておくべきものなのかもしれない。 *** 「牛さん熊さんの本日の債券」配信のお知らせ *** 「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、その日の債券市場の予想と市場の動向を会話形式でわかりやすく解説しています。10年以上も続くコンテンツで、金融市場動向が、さっと読んでわかるとの評判をいただいております。昼にはコラムも1本配信しています。ご登録はこちらからお願いいたします。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kubotahiroyuki/20140530-00035832/ 日米欧の長期金利低下に見るバブルの兆候
久保田 博幸 | 金融アナリスト 2014年5月30日 8時19分 コメントを見る(0件) 6月5日のECB政策理事会は金融市場にとり変化の起点となる可能性が出てきた。28日の欧州の債券市場ではECBの追加緩和の強まりにより、イタリアの長期金利は3%を割り込み2.93%と15日につけた過去最低の2.88%に接近し、スペインの長期金利は一時2.8%割れとなり過去最低水準に低下した。周辺国ばかりでなくベルギーの長期金利も1.86%と過去最低水準をつけ、ドイツの長期金利は1.34%に低下した。 英国の長期金利も2.55%と大きく低下していたが、ユーロ圏の国債利回りの低下の影響を大きく受けているとみられ、米長期金利も2.44%と2.5%を大きく割り込んだ(29日に一時2.4%まで低下)。米国長期金利は2.5%が大きな節となっている。ここを大きく割り込むようだと2.2%台あたりまで節目らしい節目はない。 今後はECBの追加緩和を睨み、日本を含めて日米欧の長期金利の低下圧力が強まることが予想される。これは債券型のバブルが発生しているとの見方もできる。裏を返せば、そのバブル崩壊リスクが高まりつつあると言える。かつての長期金利の「謎」の動きは、振り返ってみればバブルの兆候であった。 ただし、バブルといっても何が弾けるのか。ここでひとつ注目すべきは、5月26日の日経新聞にあった記事かもしれない。日本の長期金利が低位安定しているなかで、名目成長率がそれを上回ったが、これは日本だけでなく、ドイツや米国も同様である。しかも過去に長期金利を名目成長率が上回ったあとに、バブル崩壊が起きていた。 名目成長率が長期金利を上回る逆転現象が起こったのは、日本はバブル経済が最盛期だった1988〜1990年。米国ではITバブルがあった1998〜2000年、リーマン・ショック前の2003〜2006年。ドイツでも2006〜2007年に逆転現象が起こった。そして今回、ドイツや米国に加えて、日本でも名目成長率が長期金利を上回る逆転現象が起きている(日経新聞の記事より)。 これが金融危機の最中であれば、リスクオフとかの動きで説明が可能かもしれないが、現在の日米欧の長期金利の低下の背景はリスク回避などではない。株も上がっている。金融危機に対処するための、日米欧の中央銀行の積極的な金融緩和が要因ではあるが、それがECBの追加緩和で最後の仕上げに掛かっているとの見方もできる。 バブルの兆候はいくつか見えている。欧米の株式市場の上昇などもその一例ではなかろうか。ここにきてS&P500種が過去最高値を更新している。FRBは量的緩和の縮小、テーパリングを開始しているが、実質的なゼロ金利政策は維持されている。欧州の信用不安は後退し、有事から平時に戻りつつあるなかにあり、金融政策はほぼ有事のまま、もしくは日銀のようにさらなる大胆で異次元の緩和を行ったり、ECBのように追加緩和を継続している。 バブルとはその最中にはやや異常との認識はあっても、崩壊するまではバブルとの認識はできず、バブルとも認定されない。現在の米国の株高や欧州の長期金利の異常なまでの低下はどのように説明が可能であるのか。過剰流動性が要因とするのであれば、バブルを生じさせているとも言える。それは0.6%を割り込んだ日本の長期金利も同様かと思われる。名目成長率が長期金利を上回る逆転現象はバブル発生の可能性を示唆している。 この名目成長率と長期金利との逆転現象が解消されることにより、いずれ日本でもありのままの長期金利が見えてくる可能性がある。その前にいったん日本の長期金利も行き着くところまで下げてくることが予想される。問題はそのあとの動向となる。そのときに何が起きるのか予測はつかないが、ECBの追加緩和をきっかけとした日米欧の長期金利の動きが、今後の金融市場に波乱を起こす前触れとなる可能性がある。 久保田 博幸 金融アナリスト フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。 http://crx7601.com/archives/39033170.html ちらつくバブルの芽? 日米独の成長率、長期金利上回る 2014/5/26 11:43日本経済新聞 電子版 バブルの足音か、財政再建への追い風か――。日本、米国、ドイツで名目の経済成長率がそろって長期金利を上回った。景気回復の勢いに比べて長期金利が低すぎる状態で、過去の似た局面では資産バブルにつながった例が目立つ。財政再建には追い風だが、バブルが起こる前に安定成長に軟着陸できるのか。日米欧の金融政策は微妙な局面を迎えている。 経済協力開発機構(OECD)によると、米国とドイツは2010年、日本は13年から名目の国内総生産(GDP)成長率が長期金利(10年物国債利回り)を上回った。1980年以降ほとんどの年で名目成長率が長期金利を下回っており、2つの水準が逆転するのは異例だ。 成長率と長期金利が逆転すると何が起きるのか。長期金利がお金を借りるコスト、名目成長率が資産の値上がり率だと単純化して考えると分かりやすい。お金を借りて資産を買えば「資産を持っているだけでもうかるぬれ手で粟(あわ)の状態」(慶大の櫻川昌哉教授)になる。値上がり期待から収益性の低い資産にもお金が流れ、バブルにつながりやすくなる。 歴史を振り返ると、名目成長率が長期金利を上回る逆転現象が起こったのは、日本はバブル経済が最盛期だった88〜90年。米国ではITバブルがあった98〜2000年、リーマン・ショック前の03〜06年だ。ドイツでも06〜07年に逆転現象が起こった。いずれも時期がバブルとぴたりと重なり、その後バブルは崩壊し景気は落ち込んだ。 05年に当時のグリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)議長は長期金利が上がらないのは「謎(conundrum)」と語った。その言葉の裏で、バブルが起こりつつあった。名目成長率と長期金利の逆転現象は金融引き締めの遅れを象徴していたともいえる。 リーマン・ショック後、米欧の中央銀行は思い切って金融を緩和し、半ば人工的に金融バブルを作って景気を支えた。ただ足元は景気回復より先に、バブルの弊害が目立ち始めた面もある。米国では住宅価格の高騰がみられ、リスクの高い「ハイイールド債」に資金が殺到している。欧州ではギリシャやポルトガルの国債に再びお金が流れ込んでいる。 日本は名目成長率が長期金利を上回ったばかりで、3年以上も逆転が続く米独のようなバブルの兆しは見当たらない。ただ、異例の金融緩和が長期化すれば、幕引きも難しくなるのは過去のバブルの歴史が示す。景気刺激とバブル抑制のバランスをどう取るかが課題になりそうだ。(石川潤) 日本、財政再建に追い風 持続性には疑問 2014/5/26付日本経済新聞 朝刊 高い名目成長率と低い長期金利は日本経済にとって理想的な状態と言える。国内総生産(GDP)が伸びる一方で、これまで積み重なった借金の増加スピードが鈍るため、財政再建にとっても追い風となる。
問題はこの状態がどこまで長続きするか。足元の日本経済を眺める限り、状況が急変する兆しはみえない。ただ、長続きしたとしても最後にバブルを引き起こせば、その後始末に重いツケを払う。90年代の日本の経験が示すように、バブルは破裂した途端に成長率が大きく落ち込み、その調整に長い年月がかかる。 BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは長期金利と成長率のどちらが高水準であるのが自然か理論的にははっきりしていないと指摘。ただ、成長率が金利を上回る現状が続くことを前提に政策を組むのは「ギャンブルだ」と語る。想定に反して金利の急上昇や景気の落ち込みが起これば、経済・財政ともに大打撃を受けるからだ。 現在の日本はバブルの兆しはまだみえないという「極めて恵まれた状況」(櫻川昌哉慶大教授)。日銀が異例の金融緩和で長期金利を抑え込んでいる間に、財政再建と成長戦略に取り組み、中長期的な成長力を高めることができるか。追い風が吹いている今こそ本腰で取り組む姿勢が問われる。
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