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2014.05.28 「日本」の解き方
米FRB(連邦準備制度理事会)の次期副議長にイスラエル中央銀行の副総裁だったスタンレー・フィッシャー氏を充てる人事案について、米議会上院が審議を行い、まず理事就任を承認した。
フィッシャー氏は、現代を代表するマクロ経済学者で、金融政策とマクロ経済の関係について膨大な研究業績を残している。ルディガー・ドーンブッシュ氏との共著『マクロ経済学』は、世界で最も多くの人に読まれているマクロ経済学の教科書だ。
フィッシャー氏は、米マサチューセッツ工科大学で教鞭(きょうべん)をとっていたが、そのときの教え子にベン・バーナンキ前FRB議長、マリオ・ドラギ欧州中央銀行総裁、ローレンス・サマーズ前米国家経済会議委員長、グレゴリー・マンキュー元米大統領経済諮問委員会委員長らがいる。
毎年8月、全米でも有数のリゾート地であるワイオミング州ジャクソンホールにおいて、世界中の中央銀行総裁などが集まる「ジャクソンホール会議」が開催される。かつて、その晩餐会で、バーナンキ議長(当時)は「この晩餐会に参加している人に共通点がある。みな、博士論文の指導教授がスタンレー・フィッシャー氏だ」と語ったのは、世界各国の中央銀行総裁にフィッシャー氏が強い影響力を持つことを物語る有名なエピソードだ。
このように、中央銀行関係者は、学問によって共通の基盤を持ち、つながっている。先進国に限らず中央銀行総裁は、欧米の大学で博士号を取得した人がスタンダードになっている。こうしたことが背景となって、カナダ銀行総裁だったマーク・カーニー氏が英イングランド銀行総裁になるなど、中央銀行総裁で国を越えた人事が行われるようになった。博士号取得者という一定の条件をクリアした人材を適材適所で求めるという流れである。
かつて本コラムでも、英イングランド銀行が総裁を公募していることを紹介し、日銀総裁も公募したらどうかと提案したことがある。政府が日銀法を改正し、インフレ目標に関するしっかりした法的フレームワークさえ作れば、後は目標を達成できるプロが必要になる。
日本の経済学者では想像できないだろうが、欧米の経済学者はそうしたプロの代表例だ。しっかりした経済学をマスターすれば、金融政策発動後、各種経済状況のタイムラグ(ずれ)を把握できるからだ。これに対し、日本の多くの経済学者は、今回の異次元緩和が理解できないのだから、素人とも言える。
昨年の日銀人事では、たまたま黒田東彦(はるひこ)総裁がいたからいいが、インフレ目標を定めたうえで、海外から有能な人材を求めることも今後は必要になるかもしれない。その方が国民にとって有益ならば、多くの国民は認めるだろう。
インフレ目標そのものが、総裁という人物に依存せず、金融政策を属人化させないためのツールである。インフレ目標が世界で広がれば、中央銀行が海外から人を招く流れになるのは自然だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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