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なぜ今、JA解体・農業改革議論が加速? 議論骨抜き懸念、企業参入促進に課題も
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140528-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 5月28日(水)3時0分配信
規制改革会議(議長:岡素之・住友商事相談役)は5月22日、全国農業協同組合中央会(JA全中)による指導制度(後述参照)を廃止することなどを骨子とした農業改革案をまとめ、農業改革に大きく踏み込んだ。
改革案のひとつが、企業の農業参入に関する規制緩和。ふたつ目がJA全中の権限の縮小・廃止だ。「攻めの農業、強い農業」を狙ったものだが、規制改革会議委員の中に農業に精通していそうなメンバーが見当たらず、農水官僚らにより骨抜きにされるのではないかという懸念が、早くも広まっている。
規制改革会議委員の顔ぶれは、以下の通りである。
・安念潤司(中央大学法科大学院教授)
・浦野光人(株式会社ニチレイ相談役)
・大崎貞和(株式会社野村総合研究所主席研究員)
・大田弘子(政策研究大学院大学教授)
・岡素之(住友商事株式会社相談役)
・翁百合(株式会社日本総合研究所理事)
・金丸恭文(フューチャーアーキテクト株式会社代表取締役会長兼社長)
・佐久間総一郎(新日鐵住金株式会社代表取締役副社長)
・佐々木かをり(株式会社イー・ウーマン代表取締役社長)
・滝久雄(株式会社ぐるなび代表取締役会長)
・鶴光太郎(慶応義塾大学大学院商学研究科教授)
・長谷川 幸洋(東京新聞・中日新聞論説副主幹)
・林いづみ(永代総合法律事務所弁護士)
・松村敏弘(東京大学社会科学研究所教授)
・森下竜一(大阪大学大学院医学系研究科教授)
政府が6月にまとめる新たな農業強化策や新成長戦略に、規制改革会議の提言が盛り込まれることになるが、これは年内合意に向け議論が加速するTPP(環太平洋経済連携協定)に反対するJA全中に与える“ムチ”の色合いが濃い、という見方がもっぱらだ。
改革案では、農地取得が可能となる農業生産法人に、企業が100%出資できるようにするとしている。現行の農地法では食品関連など一部の企業を除いて25%以下に規制されているから、もし実現されれば、かなり大胆な規制緩和になる。企業は農業法人を通じて、農地を完全に所有できるようになる。企業が自前の農地を持つことになるわけだ。企業の参入では、農業法人への出資規制を現在の25%以下から原則として50%未満に緩める。企業の業種は問わず、出資できるようになる。さらに農業生産を一定期間継続していることを条件に、100%出資できるようにする。しかし過去には、農業に参入したものの利益が出ないとみるやすぐに撤退し、農地を転売する企業が相次いだこともあり、他業種企業の参入には慎重な意見も多い。
●JA全中を頂点とするピラミッド
また、農協組織の見直しでは「中央会制度の廃止」を明記した。JA全中は農協法の規定に基づき、全国700の地域農協を指導する権限を持ち、地域農協から年間約80億円(2014年度は77億円)の負担金(賦課金)を集めている。改革案ではJA全中を頂点とするピラミッド型の組織を見直し、地域農協が特徴を生かした農業経営に取り組めるよう自立を促すとしている。
JA全中は指導する権限とともに監査権も持っており、地域農協の自由な活動を縛ってきた、という批判がある。JA越前たけふ(福井県越前市)は12年からコメの直売に乗り出しているが、ほとんどの地域農協は全国農業協同組合連合会(JA全農)を通じてコメなど農産物を販売している。JA越前たけふのような直売が広がれば、全農は収入が減ることにもなる。
このほかにも、JA全中は農業振興のシンクタンク(政府研究機関)などとして再出発させ、農産物の販売を担うJA全農は株式会社化し、収益の拡大策を目指すとなっている。
●最終目的はJAグループ解体?
規制改革会議の改革案は、つまるところ「JAグループの解体」である。それゆえ全中の万歳章会長は規制改革会議で進められる農業改革の議論に対し、「組織の理念や組合員の意思、経営・事業の実態とはかけ離れた内容だ。JAグループの解体につながるものと受け止めざるを得ず、極めて大きな問題がある」と猛反発するコメントを出した。
また、規制改革会議の議論に対する自民党農林族の動きについては、「支持」(読売新聞)、「反発必至」(毎日新聞)と正反対の報道がされており、態度を決めかねている様子がうかがえる。
規制改革会議の農業作業部会座長は金丸恭文氏だ。同氏が社長兼会長を務めるフューチャーアーキテクトは情報システムのコンサルが主な事業で、食品スーパー魚栄商店を経営している。「国内農業が右肩下がりの状況では、現状維持こそ過激な考え方だ」と記者会見で述べ、全農の株式会社化について「スーパーに出資するなど販路を確保してはどうか。株式会社のほうが資金調達は容易だ」と語っている。
安倍晋三首相は5月19日に開いた産業競争力会議で、農業強化に向けて強い意欲を示した。農家による加工販売事業への進出を支援する「官民ファンド」の拡充や、生乳の販売ルートの柔軟化を含めた改革案のとりまとめを林芳正・農相らに指示し、「今が農政転換のラストチャンス」と強調した。
TPP交渉が大詰めを迎え、国内では農業改革への動きが加速しつつあるが、激しい国際競争にも耐えられる「強い農業」を実現するためにも、現実を踏まえた建設的議論が求められている。
編集部
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