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バフェット氏も買収 “裏方”送配電ビジネスが脚光[日経新聞]
2014/5/27 7:00
日本では電力事業の“裏方”的な存在だった送配電ビジネスが、海外でにわかに注目を集めている。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイは今月、カナダの送配電企業を約29億ドル(約3千億円)で買収。東芝も仏アルストムの送配電機器事業の買収に興味を持つ。
国内では現在、東京電力など大手電力が手がける送配電事業の分離議論が進む。バフェット氏も目を付ける送配電ビジネスの「うまみ」とは何なのか、海外の事例を探った。
■13年の利益率は30%
米中西部のネブラスカ州オマハ。普段は人口40万人の小さな地方都市だが年に一度、人口の1割近い人が各地から訪れホテルが満室になる日がある。「株主の祭典」とも呼ばれるバークシャーの株主総会だ。
5月1日。2日後の総会に参加するためオマハに集まり始めた株主たちを驚かせるニュースが伝わった。バークシャーのエネルギー子会社、バークシャー・ハザウェイ・エナジー(BHE)が、カナダの送配電事業者であるアルタ・リンク(アルバータ州)を買収すると発表したのだ。
送配電事業とは発電所で作った電力を遠方の変電所まで送る「送電」と、変電所で電圧を弱めた電力を一般家庭や事業所に配る「配電」事業を指す。2002年設立のアルタ・リンクは280の変電所と総延長1万2千キロメートルの送電線を抱え、同州の人口の85%をカバーする主力事業者だ。
同社の13年の通期決算は売上高5億3000万ドルに対し、最終利益は1億6000万ドル。利益率は30%に達する。一般的に送配電事業者は発電事業者が発電した電力を小売事業者が抱える電気利用者に届け、送配電網の利用料を徴収する。
変電所や鉄塔など設備投資はかさむが、安定した収益が見込めるビジネスだ。実際、リーマン・ショックに伴う米経済危機が世界に波及した08〜10年にかけても、アルタ・リンクは17〜21%の利益率を保った。
バフェット氏の右腕で後継者候補とされるBHEのグレッグ・アベル最高経営責任者(CEO)は「アルタ・リンクの買収はBHEに大きな価値をもたらす」と話す。
カナダなど先進国では安定した収益が見込める送配電ビジネス。一方、新興国では別のうまみがある。電力インフラの新設など成長力を背景とした機器需要だ。
■周回遅れの日本でも議論
現在、米ゼネラル・エレクトリック(GE)はアルストムのエネルギー部門の買収交渉を続けているが、その様子を注意深く見守っている日本の会社がある。東芝だ。同社はGEが買収を成功させた場合、同部門のうち送配電機器事業の買収をGEに提案する方針とされる。
世界の送配電機器事業の売上高は業界推計によると、10年の約10兆円が20年に約21兆円に伸びるとされる。新興国を中心に、電力が届いていない地域に送配電網を新設する「面的」な広がりに加え、経済成長で消費電力が増加し送電容量を積み増す「量的」な広がりも期待できる。
欧米で先行した電力の自由化。周回遅れとは言え日本でも議論が進む。まず16年に小売りの全面自由化が見込まれ、18〜20年にかけて送配電部門の分離が予定されている。送配電部門は電力の安定供給の要となるため、カナダの例のように自由な企業買収の対象になるとは考えにくい。
ただ、長年送配電をになってきた電力会社にとっては日本で培ったノウハウを海外展開する余地があるほか、機器メーカーは海外に直接打って出ることもできる。日本でも送配電ビジネスに注目が集まる機会が増えそうだ。
(企業報道部 小高航)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ230J1_W4A520C1000000/?n_cid=DSTPCS003
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