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政府推進の全農の株式会社化は「農協解体の第一歩」との見方
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140527-00000000-pseven-soci
NEWS ポストセブン 5月27日(火)7時6分配信
政府の規制改革会議・農業ワーキンググループ(WG)が農業改革の提言を出した。農協の元締めである全国農業協同組合中央会(全中)の廃止を求めた点が関係者に衝撃を与え、全中の万歳章会長は「農協解体の流れを汲んだ意見」と猛反発している。
だが、実は全中廃止だけが焦点ではない。提言は、全中と並ぶ農協の全国組織である全国農業協同組合連合会(全農)の株式会社化や農業委員会の全国組織である全国農業会議所の廃止、さらには農業への株式会社参入を促す大胆な方策も打ち出している。
これらが実現すれば、農業のあり方は相当、変わるだろう。林芳正農水相は「問題意識は共通している。真剣に検討する」と前向きだ。6月に政府がまとめる新しい成長戦略に提言の内容がどれほど盛り込まれるか。規制改革はアベノミクス第3の矢の柱でもある。なかでも岩盤規制と呼ばれた農業分野の改革が山場を迎えている。
下の略歴で明らかにしている通り、私自身が規制改革会議の委員で農業WGのメンバーでもある。したがって当然、改革推進を目指す立場だ。以下はそれを前提にお読みいただきたい。
農家の高齢化が進み後継者難が深刻になる中、全国で耕作放棄地が広がっている。その規模は滋賀県の面積に匹敵するほどだ。一方で、生産性の向上には技術革新とともに大規模化が求められる。ところが、鍵を握る企業の参入は厚い壁に阻まれてきた。そうした現状をどう打開するか。
その方策の1つとして農業WGは全中廃止を打ち出したが、それに勝るとも劣らず重要なのが、先に挙げた全農の株式会社化なのだ。
全農はどんな仕事をしているのか。全中が単位農協に対する経営指導や監督をしているのに対して、全農は農産物の販売や営農資材、生活物資の供給を担っている。現場の農家からみると、自分たちが作った作物を販売する組織なのだから、より切実で大事といってもいい。
いまの全農は協同組合だが、改革案はこれを「株式会社」に改組すべきだ、と提言した。その理由を、提言は「全農がガバナンスを高め、グローバル市場における競争に参加するため」と書いている。
実は、この裏には秘めた狙いがある。全農に対して独占禁止法を適用するのだ。いま全農は協同組合であることを理由に独禁法の適用を一部、免れている。たとえば農家が作った農産物を農協がまとめて販売したり、生産資材や肥料について農家の注文をとりまとめて購入できる。
この共同販売や共同購入が「やる気のある農家」の意欲をそぐ一因になってきた。農協以外に出荷しようとすると嫌がらせをしたり、農協以外の業者が生産資材を販売しようとすると、あの手この手で妨害する例があった。
公正取引委員会は目に余る行為には「不当な取引制限」や「拘束条件付き取引」として警告や排除命令を出してきた。だが株式会社化されれば、独禁法が全面適用され、共同販売や共同購入も取り締まりの対象になる。
そうなると、全農としては農産物を扱う商社などと同じ土俵で競争し勝ち抜かないと生き残れない。農家はどこから肥料や農機を仕入れ、生産物をどこに売るか自由に判断できるようになる。結果的に生産性も上がるだろう。
もちろん一朝一夕にはいかないだろうが、そういう競争条件を整えることが規制改革の本来の狙いである。ここは政権の勝負どころだ。
文■長谷川幸洋:東京新聞・中日新聞論説副主幹。1953年生まれ。ジョンズ・ホプキンス大学大学院卒。政府の規制改革会議委員。近著に『2020年新聞は生き残れるか』(講談社)。
※週刊ポスト2014年6月6日号
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