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現金給与総額、総労働時間、時間当たり賃金、合計労働時間、合計賃金の推移(厚生労働省「毎月勤労統計」を基にnippon.com編集部作成)
すでに日本経済の回復は始まっている、のか!?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140526-00010000-nipponcom-soci
nippon.com 5月26日(月)10時25分配信
「2012年12月以来、合計労働時間、合計賃金は増加している」。
エコノミストで早稲田大学教授の原田泰氏が、5月22日にnippon.comで公表したエッセイで、アベノミクス登場以来の労働環境の逆転現象を明らかにした。国民がなかなか実感できない経済の好転だが、実は雇用ひっ迫を入り口にすでに始まっているというのである。
すなわち、「2014年初までは、賃金は上昇していないが、雇用が増大しているので賃金の合計額は増えているということである。もし、賃金の合計額が純粋に増えているなら、国民生活は実感として良くなっているはずである」。
「それ以上のことはさらに時間がたってデータが集まらないと何とも言えないが、前述のように2014年4月から賃金が上昇することが予想されるので、今後、時間当たり賃金も上昇してくるだろう」という。
図は、1990年から現在までの現金給与総額、総労働時間、時間当たり賃金、合計労働時間、合計賃金の動きを示したものである(いずれも2010年=100とした指数)。合計労働時間は、雇用者数に平均の労働時間を掛けたものであり、これは全ての雇用者の労働時間を合計した労働時間となる。合計賃金は、合計労働時間に時間当たり賃金を掛けたものであり、全ての賃金を合計したものになる。現金給与総額、総労働時間、時間当たり賃金は、雇用者1人当たりの数字であり、合計労働時間と合計賃金は労働者全てを合計した数字である。
さらに、「これらのデータを長期的に見てみると、より興味深い事実がある。1990年までさかのぼって見ると、1990年から97年まで、現金給与総額が増加し、総労働時間が減少してきたことが分かる。当然、現金給与総額を総労働時間で割った時間当たり賃金は給与総額以上の速さで上昇している。時間当たり賃金と合計賃金は1990年から98年にかけて、それぞれ23%と25%も上がった。同じく90年から98年にかけては何度も景気が悪化し、この期間の名目GDPは15%しか上昇しなかったにもかかわらずである。経済情勢が悪い中で賃金だけ上がれば、利潤が収縮し、設備投資が減って、経済が停滞するのは当然である。これこそが90年代以降、日本経済が低迷した理由の一つである」という。
「その後、賃金が低下し、2002年ごろからは安定するようになった。これまで高すぎた賃金が是正されたのである。それとともに経済は回復し、日本は2%のペースで成長するようになったが、リーマンショックとともに再び停滞し、現在、アベノミクスで回復しているところである」と分析。
「以上から分かるのは、経済状況の実態に反した賃金上昇は経済を停滞させるということである。つまり、無理やり賃金を引き上げようとすると、経済をかえって悪化させる可能性がある。小泉政権下の実感なき経済成長の時代ですら賃金は上がった。アベノミクスにおける景気回復を今後も持続させるには、まず、足元の景気回復によって失業率が低下し、次に人手不足によって賃金が上昇するのを待つ方がよい」と結論している。
(nippon.com yahoo別館、構成・文責=nippon.com編集部)
原田 泰 HARADA Yutaka
早稲田大学政治経済学術院教授、東京財団上席研究員。1950年生まれ。1974年東京大学農学部農業経済学科卒業後、経済企画庁入庁。1979年ハワイ大学経済学修士号取得。経済企画庁国民生活調査課長、同海外調査課長、財務省財務総合政策研究所次長、内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官、大和総研チーフエコノミスト、専務理事などを経て現職。著書に『若者を見殺しにする日本経済』(ちくま新書、2013年)、『なぜ日本経済はうまくいかないのか』(新潮社、2011年)、『日本国の原則−自由と民主主義を問い直す−』(日本経済新聞出版社、2007年、石橋湛山賞受賞)など。
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