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スズキ会長・鈴木修氏(上)「自動車税の高さは新興国並みだ」(日刊ゲンダイ)
http://www.asyura2.com/14/hasan88/msg/108.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 5 月 26 日 07:34:25: igsppGRN/E9PQ
 

スズキ会長・鈴木修氏(上)「自動車税の高さは新興国並みだ」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/150451
2014年5月26日 日刊ゲンダイ



歯に衣着せぬ鈴木会長/(C)日刊ゲンダイ


 今月9日に発表した決算では空前の利益を上げたスズキ。しかし、この人の心中はいかばかりか。昨年末は軽自動車を狙い撃ちにした増税が決まり、4月から消費増税が需要を冷やす。それなのに今春闘では政権から賃上げの圧力をかけられた。歯に衣着せぬ名物会長に思いのたけを語ってもらった。聞き手は政治解説者の篠原文也氏。


――2014年3月期の連結決算は営業利益が過去最高の1877億円でした。好調でしたね。


 おかげさまで。ま、円安もありますね。利益が出なければ、円高を理由にし、利益が出れば円安を理由にしますけど、山あり谷あり。民主党政権のときになぜ、あれだけ円高になったのかがわかりませんね。経済政策なのか、関係諸国との関係なのか、金融政策のせいなのか。ちょっと極端でしたよね。


――それじゃあ、アベノミクスは評価されますか?


 絶対的評価は神のみぞ知る。相対的には成功しているし、必ずしも、ボロクソに言う必要はないんじゃないでしょうか。少なくとも民主党政権よりはいいわな。自民党時代から小沢さんをよく存じあげておりましたけどねぇ。


■「軽」への増税は弱い者イジメ


――でも、安倍政権は新車分の軽自動車税を来年4月から引き上げます。現行の7200円が1万800円になる。会長はエラく感情的になって怒っていましたね。


 いやあ、経済、経営は感情的になってはいけない。ムカムカしても知恵を出さないと。


――でも、「弱い者いじめだ」と。


 そりゃ事実だもん。


――「恨みは晴らしてやる」とも(笑い)。


 あれはね、相手に対して恨みを晴らすんじゃなくて、そういう状況にどうチャレンジしていくか、ということです。


――この税制自体はどうですか?


 物品税というのがあったんですよ。消費税の前に。贅沢(ぜいたく)品に税金をかけるもので、宝石にも自動車にもかかっていた。ところが、消費税導入時に廃止され、100万円の宝石は現在、消費税8%だけ、108万円で買える。ところが、自動車は贅沢税の名残が残ってしまって、消費税のほかに取得税、諸費用などで、100万円の自動車を買うのに125万円くらいかかるわけです。さて、雇用や経済発展という意味で、国民経済に貢献しているのは宝石なのか、自動車なのか。自動車でしょう。それに農山村には公共交通機関がないところもある。都会の人は税金で道路も電車も整備されているから、車はいらない。でも農山村は違いますよ。浜松の山奥なんて、バスが1日2、3本しかない。ご主人は小型車で職場に行き、嫁さんが軽でおばあちゃんを病院に送ったり、スーパーに行ったりする。日本全国の道路の85%は道幅3.8メートル以下です。そうした道路で軽自動車が使われている。だから、軽自動車の税金は経済政策として論じるべきだ。そういう学者もいるくらいです。


――それをいきなり、こんなに引き上げるのは冗談じゃない、ということでしょうが、自民党税調幹部の中には「こちらも譲歩した」「鈴木さんも喜んでいるはずだ」という人もいますよ。


 何言ってんですかね。世界を見回しても自動車にかかる取得税、保有税は5000円から7000円ですよ。ニューヨークなどはほとんどゼロですよ。高いところは中国、インド、タイ、インドネシア。新興国が自動車は贅沢品だといって高くしている。日本も新興国並みなんですよ。消費税が出てきた時に廃止すればよかったのに、その頃は自動車が伸びていたからみんなホワホワと見過ごしちゃった。ダイヤモンドは利口だったね(笑い)。
(つづく)


             ◇


スズキ会長・鈴木修氏(下)「若手の賃金を上げないと不平等」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/150452
2014年5月26日 日刊ゲンダイ



鈴木会長の発言にメディアも注視/(C)日刊ゲンダイ


――来年の増税の影響はどのくらいありますか?


 その程度はわからない。ただ、軽自動車は今期は乱世です。日産・三菱連合とホンダ、ダイハツ、そしてウチと4つどもえの戦いです。誰が一番になってもおかしくない。2位でいいと思ったら4位になっちゃう。


――今後も税制に抵抗をしますか? 会長はどんな税制がいいと思われていますか?


 消費税の軽減税率が議論になっていくでしょうが、線引きが難しい。一定金額以上、全てにかければいいという議論もあります。ただ、これをやると高い大型車は外国の車が多いですから、輸入規制だといわれる。なかなか難しいと思いますね。僕は携帯電話にかけるべきだと思いますよ。皆に一斉に平等にかける一般大衆課税なら。電話代に月2万円使っている女子高生もいるんでしょう? 一定金額以上使ったら、税金をかける。そういう方法もあるのではないでしょうか。


――軽自動車税を上げられた。さらに春闘では政府の方からベアを迫られました。従わない企業は企業名の公表などペナルティーをチラつかされた。スズキは軽自動車増税もあることから、ベアに慎重でした。若手や会社に貢献した人を中心に平均でベア800円ですか。社長や副社長は役員報酬をカットとした。これは増税しながら賃上げを迫る政府への抵抗というか、意趣返しにも見えましたが、違いますか?


 それは全く関係ないんですよ。政権の方は、「賃上げをやってください」とだけ言えば良かったのに。途中からベースアップと賃金改定や賃金改善が同義語として混同して使われたのが、問題なんですよ。僕は前からベアには反対なんです。ウチの組合にも「俺は絶対にやらない」と宣言している。年功序列で賃金が低い人も高い人も一律にベースを上げたら、不平等なんです。会社に貢献した人、若手が多く上がらないといけない。で、若手の賃金だけを上げると、30代くらいに歪みができるから、こちらも上げる。つまり、賃金の改善はやるけど、ベースアップはやらない。とくにスズキが東京の会社であれば、地域への影響は少ないけれど、浜松の会社なんですよ。スズキがベアをやれば、中小企業も付き合わなければいけないから参っちゃう。


――そこまで配慮しての800円?


 そうなんです。浜松の中小企業の方はウチの回答に「あー助かりました」と言っていましたよ。ウチは静岡県に本社がある会社で一番利益が大きな企業なんです。その静岡県は海岸線が約500キロくらいある。浜岡原発もある。東日本大震災前は工場誘致に困らなかったが、今や津波と原発で大変なんです。県別製造品出荷額がリーマン・ショックで19兆円から15兆円になり、戻らない。隣の愛知県や神奈川県はだいたい回復している。そんな状況の中で、地域経済のことを考えないで、格好よく3000円だ5000円だなんて、独り善がりのことをやっちゃいけない。


■“政治介入”でベアに応じる経営者はいない


――腹いせじゃない?


 一般的には「なんでもいいから例年以上に上げてくれ」といえば良かったんですよ。ベースアップと言っちゃいけない。


――政治家が基本的な用語の意味を分かっていたかどうかはともかくとして、こういう形で企業経営に介入してくるのはどうですか? 余計なお世話じゃないですか?


 政治介入的なことがあったかどうか別として、経営者がそういうふうに受け止めたかどうか。僕は違うと思いますよ。サラリと受け流した人が多かったんじゃないかなあ。


――そうですか? 安倍政権にいい顔をしたくて、ベアに応じた経営者もいたんじゃないですか?


 そんな経営者いないよ。みなさんだってバカじゃないからね。要領よく、応じたんですよ。現政権の方には「ベアは不平等だからやりません。ただし、賃上げはやります」と言いました。「鈴木さん、なんでもいいから上げてくれ」と言っていました。


――それにしても、鈴木会長はお元気ですね。何か、元気の秘訣はあるんですか?


 忙しくて死ぬ暇がないんだよ(笑い)。


――てっきり、人を食っているからだと思った(笑い)。


 人は食い飽きていますよ。


――今後もワンマンで?


 今年103歳になる聖路加国際病院の日野原さんに「君はまだ若いねえ」と言われて励まされています。


▽すずき・おさむ 1930年岐阜県生まれ、84歳。中大法卒。銀行を経て、1958年にスズキの2代目社長の鈴木俊三の娘婿となり、鈴木自動車工業(現スズキ)入社。1978年に代表取締役社長に就任。2000年6月から代表取締役会長(CEO)を務める。2008年代表取締役会長兼社長となり、8年ぶりに社長職に復帰。


 

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コメント
 
01. 2014年5月31日 23:54:33 : eq6YIYBFHY
日本の支配層は、自動車を「税金を取るための手段」としか考えていないようだ。アジア新興国でも自動車を「贅沢品」と規定して高い税金をユーザーに課しているが、かつての大東亜共栄圏の範囲と重なる。彼らは日本の政策を真似するから、自動車の税金が高くなるのは当然である。

外国で暮らすとよく分かるが、どうして日本はビールの価格が高いのか。日露戦争のときに戦費調達の手段にしたからである。同じく自動車税の高さは、戦前の1940年に日華事変・日中戦争の戦費を調達するためであった。このあたりのことは、アベコベのおじいさんの岸信介氏が政策の深く関与しているはずだ。

戦後、高度成長に伴う道路建設が迫られたときに、田中角栄が自動車重量税や取得税など、多岐に渡る自動車関係諸税をつくったのである。それも道路建設の受益者であるトラックではなく、乗用車から多額の税金を徴収した。根本的に誤っている政策である。この便利すぎる道路建設が、結局のところ国鉄をはじめとする鉄道貨物輸送を衰退させ、民営化以降はますます衰退に拍車がかかっているのである。
(註 当方はかつて、国鉄・JR貨物で輸送業務に従事していた。民営化以降、増えるどころか、ますます減っていく輸送量を目にして、見切りをつけてやめたのである。)

軽自動車制度は日本独特の制度だといわれているが、かつて戦後間もない頃は西欧諸国にも類似の制度が見られた。ホンダN360の欧州輸出仕様車にN600と言うのがあるが、これは西ドイツの軽減税制に適合しているのである。

この制度が今日もなお続くところに、日本の自動車政策の歪が見られるのだ。高い乗用車各種税金に対する目くらましである。わざと安い軽自動車を残しておけば、国民の不満が我々に向かないだろうと、自民党は考えている。現に生活が不便な農村部でセカンドカー、サードカーとして所有されているのは軽自動車なのだが、彼らは自民党支持層である。

このやり方、いつまでも続くとは思えない。アジア新興国は日本の自動車負担の高さは導入したが、軽自動車制度は導入しなかった。なぜか。中途半端だからだ。貧乏人は、いくら頑張っても自動車なんて買えないし持てない。彼等はピックアップトラックの荷台に乗せてもらっている。都市部の高所得層は、日本や欧州メーカーの小型車や中型車を購入する。その方が快適である。新興国では、乗用車が高く見えることが商品性になる。軽自動車はサイズが小さく、特に幅が狭いから、立派に見えない。

日本国内の自動車市場は縮小し続けている。ユーザーの高齢化が進み、一方で少子化が止まらない。免許取るにも高額な費用がかかるし、時間がかかる。免許取得に、これほど個人的負担を求める国もないだろう。自民党が自動車を贅沢品だと見なしている証拠である。この免許取得の費用の法外な高さとか、期間の長さをなぜ問題にしないのか。これくらい時間が必要だと思っているのか。

当方が暮らしていたニュージーランドでも、現在暮らしているオーストラリアでも、日本ほど国民に負担を求めない。自動車は生きていくうえで必要な手段だと考えているからだ。あれだけ人口が少なくて広い国土だと、隣町に行くのにも自動車に頼らなくてはならない。

スズキ社長も触れておられたが、日本も地方の鉄道、路線バスはどんどん削られているし、このあたりの議論を行なわないといけない。簡単に免許が取れると事故が増えると反対する向きが多そうだが、そうなると自動車保険の負担が更に増えるかも知れない。日本の自動車社会に明るい見通しがないのは痛い。


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