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資産同様、家もあの世までは持っていけない
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20140525/ecn1405250830002-n1.htm
2014.05.25 本当は教えたくないマンション業界の秘密 榊淳司
人間というものは、一見不公平に見えても公平なところはある。お金があってもなくても、日本人の寿命というものにはさほど違いはない。
「年収2000万円以上の人は、500万円の人よりも平均寿命が10年長い」。なんて話は聞いたことがない。「収入の高い人はがんになりにくい」というようなこともなさそうだ。お金持ちでもそうでない人でも、時間と肉体に関しては大きな差は付かない。
住まいだって考えようによっては同じこと。人間は、どれくらい大きな家に住んでも瞬間的に占めるスペースは限られている。「起きて半畳、寝て一畳」という言葉があるが、不必要なスペースがどれだけあっても心までは豊かにしてくれない。
何よりも、どれだけぜいたくな御殿に住んでいても死後の世界にまでそれを運べない。自分がこの世から去った後で子孫が何代か同じ家に住んでくれるかもしれない。しかし、いつかはそれも途絶える。
結局のところ、住まいとは自分と家族の暮らしと健康を守り、あるレベル以上で快適に過ごさせてくれる、という役割を果たしていれば十分ではないか。その場所が、家族の日常活動にとって便利であればなおよい。
しかし、都会に住む人間にとっては今まで、この住まい選びの原点である「使用価値」という考え方だけでは済まなかった。「いくらで売れるか、貸せるか」という「資産価値」を考慮すべきであった。なぜなら、都会の住まいは年収の数倍という高価な買い物。下手に選ぶと経済的な喪失が大きくなるからだ。
だが、田舎に行くとそうでもない。都市部以外の土地の価格は、際限なく下落している。後10年もたてば、日本国土の大半に不動産的な価値がなくなるのではないかと危惧するほどだ。
日本の人口が減少中という統計数字が次々に発表されている。東京都の人口も、五輪が開催される2020年をピークに減少する。周辺部自治体でも、すでに人口が減少に転じている所が多い。
こういう時代に、「資産価値」を基準に住まいを選ぶのは難しい。ほとんどの物件は年月を経るごとに資産価値が減少していく。都心や人気エリアの一部を除くと、今後10年で資産価値の半減を覚悟しなければならないだろう。都心でも20年後はそうなっていると予測する。
住まいを墓場まで持っていけないなら、資産価値を気にせずに自分の好きなように暮らせる家を目指せばどうだろう。
あるフランス人の夫婦は、東京都港区で築40年ほどのマンションを安く購入し、住戸内を彼らの趣味で模様替えし、すてきな空間に仕上げて暮らしている。まさに「住まいを楽しんでいる」という光景。眺望や先進設備、近くに何かがあるというだけが価値ではない。精神的な満足感も大切にすべきだ。
■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。不動産会社の注意情報や物件の価格評価の分析に定評がある(www.sakakiatsushi.com)。著書に「年収200万円からのマイホーム戦略」(WAVE出版)など。
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