http://www.asyura2.com/14/hasan87/msg/893.html
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北電、九電も増資。電炉メーカーも瀬戸際です。
景気がいいのは中国のパネルメーカーとFITであちこち土地を漁ってる中国の政府系ファンドでしょうか?
東洋経済オンラインから
http://toyokeizai.net/articles/-/35490
東京都江東区。物流倉庫が立ち並ぶ一角に、目的の製鉄所があった。「この電炉も、あとは解体を待つだけです」──。大三製鋼の香取伸明社長は、寂しそうにつぶやいた。
同社は1949年創業の老舗電炉メーカー。解体業者などから鉄スクラップを購入し、電気炉で溶かし、建築や造船業界向けに鋼材を生産してきた。直近の売上高は69億円。2期連続で営業赤字に沈んでいる。
創業家出身の3代目として2009年に就任した香取社長。リーマンショック後の需要低迷やコスト構造の変化に悩んだ末、2月5日に電炉事業からの撤退を決断した。同月末に工場の操業を停止し、生産部門の従業員は3月中旬に全員が退職。現在は、香取社長と残った従業員で残務処理を進めている。
営業赤字が続いていたが、自己資本比率は2割超を維持してきた。「債権者に迷惑をかける前に撤退しようと思った。悔いがない決断だったと信じている」(香取社長)。
■1カ月余りで3社が自主廃業
鉄鋼業界にとって衝撃だったのは、自主廃業が大三製鋼だけにとどまらなかったことだ。2月19日には、新日鉄住金系の新北海鋼業(北海道小樽市)が3月末で解散すると発表。3月14日には、中央圧延(埼玉県越谷市)が同月末に生産を停止し、事業から撤退すると明らかにした。
救済色の強い合併が主流だった電炉業界で、1カ月余りで3社が廃業を決めたのは異例の事態。背景には、業界が抱える「四重苦」がある。
とりわけ深刻なのが、需要の長期低迷だ。電炉が生産する鋼材の大半は、鉄筋など建築向けの品種。建築需要の減少につれて、電炉鋼材の生産量は90年度の3553万トンをピークに、12年度は2445万トンまで減少した。
今後数年は、東京五輪に向けた老朽インフラの更新需要や都心再開発が控えている。「数万トンの鋼材を使うような大型の再開発案件がゴロゴロしている。こんな好景気は、業界に30年いて、初めてだ」(阪和興業の高田幸明・条鋼建材第二部部長)。
とはいえ、足元の建設ラッシュも五輪までの一過性のもの。長期での需要減退傾向は変わらない。経済産業省の調べによれば、日本国内にある電炉340基の稼働率はたった59%(13年3月末時点)。鉄鉱石と石炭から大量の鉄を造る新日鉄住金などの高炉メーカーが90%近い稼働率を維持するのとは対照的だ。
加えて、原料である鉄スクラップ価格が、国内の鋼材需要とは無関係に乱高下するようになったことも、電炉の経営を圧迫している。
90年代には1トン当たり2万円を超えることがなかったスクラップ価格は、00年代に入ると状況が一変。韓国や中国で鉄鋼生産が増えたことで、日本国内からのスクラップ輸出が急増した。さらに、国内の高炉メーカーも生産の調整弁としてスクラップの使用量を増やした。04年に3万円を突破してから、スクラップ価格は高値圏で推移している。
■電気代上昇が追い打ち
これに追い打ちをかけたのが、東日本大震災以降の電気代上昇だ。この20年ほど、電炉各社は電気代の安くなる夜間にだけ生産する「フクロウ操業」を続けてきた。ところが、夜間発電量の多くを賄ってきた原発が全基停止したことで電気代が上昇。業界団体の普通鋼電炉工業会は、「会員企業32社だけで、年間の電気代が340億円の負担増になった」(中島正弘・事務局長)と試算する。
もろもろのコスト増は、高炉鋼材に対する電炉鋼材の価格優位性を薄めることにつながった。これまで大三製鋼のような独立系メーカーは少量多品種のオーダーメード生産で差別化と生き残りを図ってきたが、大量生産の高炉鋼材に徐々にシェアを奪われた。
こうした状況は、大手も同じ。12年度には電炉最大手の東京製鉄が09年に稼働したばかりの新工場をほぼ全額減損し、1466億円の最終赤字を計上。中堅の朝日工業も、需要低迷や大雪の影響を受け、13年度は110億円の最終赤字となる見通しだ。
■それでも再編は進まず
何年も前から、業界内では「人口減少により、鉄鋼需要はもっと縮小する。再編や統合は避けられない」(業界団体の会長を務める栗川勝俊・合同製鉄社長)といわれてきた。
経済産業省が4月17日に発表した電炉業界に関する調査報告書でも、「高炉メーカーで見られたような経営統合や共同販売会社の設立、技術供与などの業務提携からスタートした会社統合など、競争力強化に向けた積極的な取り組みを期待する」としている。
それでも、この10年で再編らしい再編といえば、JFEスチール系列の電炉4社が東日本大震災をきっかけとして12年4月に合併したぐらい。00年代後半にも再編の機運が高まったが、公正取引委員会が認めなかったり、ファンドの反対があったりで、実を結ぶことはなかった。
だが、再編が進まなかった要因は外部環境だけではない。最大のネックは「実際に合併しても効果が薄い」(電炉メーカー首脳)ことだ。電炉のビジネスモデルは、スクラップの収集から鋼材の出荷まで地域内で完結するため、地場産業の色彩が濃い。つまり、複数の地域にまたがる合併だと、大きなシナジーは生まれにくい。「せいぜい役員の数が減る程度」(別の電炉メーカー関係者)だ。
装置産業である鉄鋼業は、高稼働率を維持できるかが経営の根幹となる。それゆえ、単純な規模拡大のための統合ではなく、操業度を高めるために余剰設備の廃棄も含めた合理化再編が必要なのだ。
ところが、自社グループの競争力低下につながりかねない設備廃棄には、各社とも二の足を踏んでいる。鉄鋼業界の盟主である新日鉄住金も、複数の幹部が「電炉業界で話し合って決めること。うちは再編の旗振りをしない」と語るなど、及び腰だ。
「アベノミクスや東京五輪があっても、構造上の問題を解決できない」(大三製鋼の香取社長)。一連の自主廃業が独立系メーカーの淘汰で終わるのか、それとも、高炉グループも巻き込んだ大再編につながるのか。残された猶予期間が五輪特需のある6年しかないことだけは確かだ。
<参考リンク>
★再稼働迅速審査を要望、九経連など規制委に
http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20140514-OYS1T50058.html
★福井地裁の大飯原発差し止め判決を批判する(速報版) - 石井 孝明
http://blogos.com/article/86866/
★高浜原発の優先審査先送りに 規制委(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG21007_R20C14A5EAF000/
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