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需要不足、大幅に縮小 1〜3月、金融危機前水準に 先行き不透明感も
日本経済のデフレ脱却が近いことを示す指標が出てきた。内閣府が23日発表した需要と供給の差を示す需給ギャップは1〜3月にマイナス0.3%となり、金融危機前の水準に戻った。ただ、駆け込み需要で押し上げられた面もあり、先行きは不透明感もある。
同日公表された5月の月例経済報告も、設備投資の判断を2007年8月以来約7年ぶりに「増加している」との表現に引き上げた。
需給ギャップは経済全体の供給力に対する需要を示したものだ。景気が良くなるほど上昇し、物価も上がりやすくなる。
昨年10〜12月期はマイナス1.6%で、需要不足額は8兆円にのぼった。だが、今年1〜3月期は需要不足額は2兆円となり、6兆円ほど改善した。
甘利明経済財政・再生相は同日の記者会見で「デフレの脱却に向けて着実な歩みを進めている」との見方を示した。
改善した理由は1〜3月期の高い成長だ。国内総生産(GDP)は前期比年率で実質5.9%増と、0.7%程度の潜在成長率を大きく上回った。1〜3月期は消費増税の駆け込み需要で個人消費が伸びた面が大きいが、設備投資も全体を押し上げた。
日銀はすでに昨年10〜12月期で需給ギャップはマイナス0.1%に縮まったと、内閣府より強めの試算結果を示していた。日銀の方が内閣府より、足元の人手不足の状況などが試算結果に反映されやすいモデルになっているのが要因だ。
そのため、日銀の試算では1〜3月期の需給ギャップはプラスに転じる可能性が高い。今月15日の講演で黒田東彦総裁は「労働や設備の稼働状況を踏まえると、過去の長期平均並みのゼロ%近傍にまで改善している」と語っている。
ただ、4〜6月期は駆け込み需要の反動で消費が落ち込み、成長率もマイナスが予想される。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は、需給ギャップが再びマイナス1.4%程度と需要不足が拡大すると試算する。その後どれだけ改善するかは、夏以降の消費・投資の伸びの強さにかかっている。
甘利経財相が同日の関係閣僚会議に提出した5月の月例経済報告では、景気について「緩やかな回復基調が続いている」とした。一方「消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動により、このところ弱い動きもみられる」と言い全体の判断は据え置いた。
個別の項目では設備投資を上方修正した。一方で駆け込み需要の反動から企業の生産活動が「このところ弱含んでいる」と下方修正した。景気全体の先行きは「緩やかに回復していく」との見方を変えなかった。
今後の景気の焦点は駆け込み需要の反動減がどの程度にとどまるかだ。内閣府によると、スーパーの飲食料品売り上げでは、5月第3週は前年比4%減。落ち込みが続くものの、マイナス幅は前週より縮小。反動減は徐々に解消しつつある。
[日経新聞5月24日朝刊P.3]
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