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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140524/dms1405241100003-n1.htm
2014.05.24
財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会は、今月まとめる報告書で「財政は現状のままでは持続不能と言わざるをえない」とし、税収が想定より増えた場合でも歳出の増加や減税には充てず、国債償還に回して財政再建を急ぐべきだと提言する方針であることが報じられた。
まず、財政の状況について考えると、財政再建が必要なのはその通りだ。だが、これを増税によって性急に行うと経済が悪化して税収が減り、かえって財政再建が遠のくなどの弊害が大きくなる。
本コラムで再三指摘していることだが、財政再建の近道は経済成長による増収であって、増税ではない。経済成長さえ確保できれば、財政再建はそれほど難しいものでない。それは2000年代半ばの基礎的財政収支の改善を思い出せばいい。
次に、増えた税収の使い道であるが、まず、今の制度を振り返っておこう。財政法第6条では、「各会計年度において歳入歳出の決算上剰余を生じた場合においては、当該剰余金のうち、二分の一を下らない金額は、他の法律によるものの外、これを剰余金を生じた年度の翌翌年度までに、公債又は借入金の償還財源に充てなければならない」とされている。つまり、事後的な決算上の剰余金のうち半分は国債償還に充てるということだ。
ここでのポイントは、事後的な決算という点だ。予算編成の段階では、国債償還にどれだけ回すということを考慮すべきでないのだ。しかも、この財政法第6条は、これまでも何回も特例法が作られている。つまり、実際の財政運営でも、事後的な決算であっても柔軟に対応されてきた。
これは、経済優先の原則の立場から見れば決しておかしくない。財政はマクロ経済に大きな影響を与えるので、妙な決め打ちをすると経済をダメにすることがある。そうした財政運営は絶対に慎むべきだ。
この点、財政審は経済優先ではなく増税至上主義の財務省が取り仕切っているので、マクロ経済のことを無視して世論を誘導しがちである。
筆者が政権内にいた時には、財政は経済の一部であるということで、経済財政諮問会議でマクロ経済を意識した財政の議論をしていた。ところが、最近は、財政審が財政だけを考えた議論をリードしていて、経済財政諮問会議はマクロ経済の観点を忘れ、財政審を追認しているようだ。
本来ならば、国債償還を優先して歳出規模を削減した場合、その財政運営がマクロ経済にどのような影響があるのか、経済財政諮問会議側で検討しなければいけない。財政審は、マクロ経済を考慮せずに、財政側のロジックだけになりがちだからだ。
さらに、財務省がどうしても財政至上主義の財政運営をしたければ、経済財政諮問会議の下で、国全体のマクロ経済政策との整合性があるような形で議論すべきである。財務省は、財政審という自分の省のタコツボから出て、しっかりとした議論をすべきである。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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