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アメリカとのTPP合意
現下でのTPP合意の自由化は、日本のデフレの解消をより困難にする。
消費税の引き上げと自由化は相いれない。
消費税の引き上げは規制をさらに作ることであり、重税が経済を縮小させていく。TPPの合意によって得られた自由化の恩恵はすべて外国の企業に奪われるであろう。
消費税は取引ごとに税金を徴収するシステムであり、楽市楽座や、関所の廃止、などの自由化とは全く相反する物である。
それどころか企業は取引毎に本来の付加価値を取り上げられることになる。そのため本来自分の企業に入るはずの付加価値が入ってこないことになる。
国内をより不自由化させ、外国との交易を自由化するなど正気の沙汰ではないのだ。何故のTPPなのか理解に苦しむ。
デフレ下におけるTPPの合意は、日本のぼろ負け、あまりにアメリカが優位だ。
比較優位説を主体にした自由化がデフレの国とインフレの国の間では全く機能せず、デフレの国は、よりデフレに、インフレの国はよりインフレになっていくことは以前に述べた。
(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/ デフレ・インフレの一般理論2011年11月24日投稿*TPPという最低の選択:自由化の恩恵はデフレの日本には来ない。を参照のこと)
また複数の国が自由化をする場合、全体のパイが増えても、自国のパイが常に増えるということはない、ということも述べた。参照:http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/デフレ・インフレの一般理論
これら以外にもアメリカとの間でのTPPがどのように日本に影響するかを考察しよう。
1、金融帝国アメリカ*日本でプランテーションの悪夢が実行される。
アメリカ国民は金融資産の持つ比率が日本より高く、世界最大の金融産業を有している。それは、アメリカが、国家の方針として資金による世界支配を目指しているからである。国家の方針としてそのような金融立国を目指すのは悪い訳ではない。
戦後日本やドイツのような製造産業国の台頭が、アメリカの製造業を淘汰し始めたため、それに変わる戦略として金融による世界支配を目指したのである。それが金融帝国アメリカの正体たることは地球上に住む住人ならば誰しも知っていよう。
その莫大な資金量は、いずれ日本の金融産業を凌駕し、吸収していくだろう。なぜならお金という物は、均一であり多さ大きさに左右されるからである。
1960年代、70年代の日本がアメリカの金融資本の支配下になることを免れた最大の理由は、各産業が活発に成長しており、資金が豊富であったこと、そして銀行が土地を担保とした豊富な資金を持っており、銀行と企業が一枚岩となって対抗したからである。
しかし今やその時代は完全に終わり大きく様変わりしている。日本は、1990年以降のバブル崩壊後、生産物に対して消費が著しく不足しているデフレ状態となり、内需の不振が各産業を衰退させ、各企業は借金を増やし、利益率の低い脆弱な運営状態に陥っている。
銀行は、不良債権処理のため、公的資金を利用して、企業の貸し剥がしを実行し、もはや企業と銀行に信頼関係が無くなっている。そのため企業買収が非常にやり安くなっている。
デフレ下の国内産業は、脆弱化しており、なかなか立ち行かない企業も多い。そのため売上が落ち、借金過多の企業がどんどんアメリカの金融資産の配下の落ちていく。
ここで消費税をさらに引き上げたのだ。消費税の高い国とない国では、付加価値の得られ易さが違う。市場の生産量とお金の比率が違うのだ。消費税のない国は、市場の変動に強く、企業の資金が充実している。
消費税率の高い国は、十分に付加価値を上げることができないため、企業の資金が不足し、企業体質が脆弱になっている。
消費税き上げてTPPを迎えるとは一体どういう料簡なのだろう。考えられない愚かな所業である。
今までこの20年間どれだけたくさんの企業が軍門に下ったであろうか。
日本の高度成長期は、日本の銀行が後ろ盾になり、系列企業を手放すことはなかった。銀行が買収されないように融資したからだ。
しかしデフレのこの20年間は、日本の銀行自体が企業の売先を探すほどになっている。ここでさらに消費税が上がり、内需を主体とする企業が売上を落とし、借金を返せなくなると、外国の傘下に入る企業が増えるだろう。TPPの合意がその契機となる。
デフレ下の企業買収の悲劇は、幾らたくさんの企業がアメリカ資本の支配下になっても、デフレが解消しないことだ。
金融の自由化には、デフレを解消する力はない。ただ多くの企業が資本によって支配され、生き延びるだけであり、売上が伸びなければ淘汰れることになる。
デフレの解消には、著しく少なくなった消費額を増やす政策が必要である。しかるに現在のようなTPPの政策では、いたずらに日本の金融資産が購入されたり、企業が買収されたりするだけで、デフレは解消しない。
さらには自由化による国内企業の淘汰がさらにデフレを進行させる。
デフレ下の自由化が企業の退出を量産し、新規参入を困難にし、経済の縮小を滑らかにする事は以前に述べた。
多くの金融ファンドは、結局最終的に、日本の企業や金融資産を再びより安く売却することになる。特にファンドが購入した企業は、ファンド自体に経営に興味がないため、次の売先を探すのが仕事となる.
また経営に興味のあるファンドやアメリカ企業であれば、植民地的なプランテーションの問題が生じる。
外国のファンドの支配下に入った企業は、なるほど破綻せず生き延びることはできる。しかしその生産内容やサービス内容が大きく変わっていくことになる。
日本の産業は日本市場に合わせたもの作りを主体とし、経営者も労働者も市場に貢献する体制が尊ばれてきた。
しかし国内の消費が枯渇するデフレ下では、産業は、国内市場を相手にしていたのでは十分に利益を上げられない。そのため海外市場を当てにせざる負えなくなっている。
プランテーションというと、熱帯で輸出用の農産物を栽培する農場を想像する。自国で販売できないものを栽培し、輸出して儲けるやり方である。
しかしこれは農産物だけではない。
製造業やサービス業でも同じようなことが起こりうるのである。
ある日本の鉄道会社がアメリカの傘下に入ると、当然儲からない路線を切って行くことになる。株主やファンドには当然のことだ。
しかしその路線には、それを頼りにしている人達がいる。お金儲けだけでなく、公共に資する事も企業の大切な役目である。しかしそれがないがしろにされるのである。
小売業では、以前ラオックスという小売店が外国の系列に入ったが、そこでは主に国内にやってきた外国人用の電化製品に特化していた。
ホテルでも主に外国人が使うホテルが増える可能性がある。
製造業でもそうだ。日本国内であまり使わない士様の製品や、デザインが増えることになる。
日本の労働者や経営者は、自分たちの欲しいものより、外国人が欲しがるものを作らなければならなくなる。士様、意匠、操作方法なども、使い慣れたものではなくなるのである。
金融は規模の経済が大きく物を言う。デフレ下の日本のTPPの合意は、デフレをより深刻にするだろう。国内で儲かった分を利子や利益として外国へ流出していく。なかなかデフレが解消しないことになる。
TPPはデフレ解消を図るものでは決してない。デフレ下の自由化はデフレを促進しより窮乏化させるしろものである。
2、農産物、畜産資源の宝庫アメリカ
農産物ほど適材適所、気候に左右されるものはない。
今のようにデフレ下では、安きに流れ、日本の国内生産自給率が大幅に落ち、外国の言いなりになり安い。
大規模な災害、飢饉、戦争などが起こると、どの国も自国の国民を救うことが第1であり、他国は後回しになる。
自給率の低い国は必ず大きな負担を強いられるだろう。
このような時農協の解体や改革が叫ばれている。今までよくも悪くも農協に守られてきた農業である。農協が解体され、より個人が矢面に立たされるような変革でれば、農業は一挙に崩壊するだろう。
農協の解体や改革は必要であり、やらねばならないことだが、このTPPと同じ時期になるのは考え物だろう。最悪と思われる。
3、起業が多いアメリカ。日本の国内産業の枯渇
消費税率の高さ、低さにより、起業力の差が顕著になっていく。少なくともTPPをやるなら、消費税をアメリカと同等の消費税率にすべきであろう。
でなければ勝負にならない。根性や、頭脳や、技術ではない。経済システムとして勝ち目がない。
アメリカのパイオニア精神、移民による一発屋体質による起業の多さには感心する物がある。しかし日本も多くの中小零細企業が、この任を担ってきたのである。
起業にはその国独自の精神的なものだけでなく、制度的なものも関係する。起業のし易さは、何よりも儲け易さ、消費者の買い腰の良さが求められる。
新しい物対する好奇心、と冒険できるだけのお金が必要だ。しかしデフレが深刻化してくると、新規の営業への猜疑心、新商品への懐疑的見方が強まり、新しい物や新しい企業に対する警戒心が高まる。
さらに高率の消費税は、企業の本来の付加価値を取引毎に奪い取り、企業は付加価値を上げるのが非常に難しくする。
そのためデフレ下の経営は常に低価格とコスト高に悩まされる。
消費税アップによる購買力の減少は、価格弾力性を高め企業に低価格競争を起こさせる。しかも激烈な低価格競争に打ち勝つために、過剰サービスが常態化し、生産コストが増加する。損益分岐点が上がり経営が困難な企業が増える。
新規の企業の場合、多くは初期コストが高く、販売ルートが確立されていないため、経営がたちまち立ち行かなくなる。その困難さが企業を妨げるのである。
消費税の負担は、特に産声を上げた新規の企業に大きく影響する。デフレ下のTPP合意は、日本企業のアメリカでの起業を促す。国内はますます退出企業が増え、新参入企業が少なくなっていく。
楽観的な日本国民は、今なおいつか繁栄する時が来るだろうと思っているが、デフレ下に有る限りそれは来ない。ただ自分たちで食い合うだけである。
デフレ下のTPPは、デフレからの立ち直りをますます難しくする。デフレ下であることはどういうことであるかをもっと政治家や日本の専門家は認識しなければならない。認識が足りない。
デフレ下のTPP合意は、アメリカでの産業育成、揺籃が正しい経営判断となる。日本で起業がほとんど行われなくなる。日本は先進工業国としての地位を失うだけでなく、産業が死滅する自体に陥ることになる。
一言主
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/デフレ・インフレの一般理論
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi 参照のこと。
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