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第一三共、「複眼経営」6年目の誤算 巨額損失の子会社売却で海外&成長戦略が白紙に(Business Journal)
http://www.asyura2.com/14/hasan87/msg/812.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 5 月 21 日 07:28:22: igsppGRN/E9PQ
 

第一三共、「複眼経営」6年目の誤算 巨額損失の子会社売却で海外&成長戦略が白紙に
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140521-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 5月21日(水)3時0分配信


 医薬品大手の第一三共は4月7日、子会社でインドのジェネリック(後発医薬品)大手、ランバクシー・ラボラトリーズの実質的な売却を発表した。ランバクシーは同じインドのジェネリック大手、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズに、年末をメドに株式交換方式で吸収合併される。第一三共はランバクシーへ63.4%出資しているが、サンによるランバクシー吸収後はサン株を約9%保有する一株主になり、ランバクシーへの経営関与権はなくなる。

 第一三共は2008年のランバクシー買収直後から品質問題でつまずき、有効な解決策も打ち出せないまま、成長戦略の中核に位置付けた事業を手放すことになり、同社の成長戦略は振り出しに戻った。

「ランバクシー買収で、ジェネリックの事業モデルや新興国の事業展開ノウハウを学べた。今後の展開で、ランバクシー事業の損失は十分取り戻せると考えている」。4月7日の記者会見で、第一三共の中山譲治社長はそう釈明した。だが、買収半年後のランバクシー株急落(約66%)による評価損、ランバクシーの品質問題による米政府への和解金など、買収に関連して計上した損失額は累計約4500億円に上る。

 第一三共が約5000億円を投じてランバクシーを買収したのは、世界的に市場が成長しているジェネリック事業への参入に加え、自社の新薬事業をランバクシーの世界販売網に乗せて拡大するのが目的だった。これを庄田隆社長(当時)は、08年6月11日の買収発表の記者会見で、先進国での新薬に頼るビジネスは時代遅れであり、これからは「先進国と新興国」「新薬とジェネリック」の両方で攻める「複眼経営」が不可欠であり、ランバクシー買収はその具現策だと説明した。

 発表当時は株式市場でも、この複眼経営は好意的に評価された。その理由の1つ目は、グローバル市場におけるシェア拡大への期待。ランバクシー買収により、それまで21カ国だった第一三共の海外拠点は一挙に56カ国へ拡大。特に手薄だったブラジル、ロシアなどの新興国に足場を築いた。30年にはBRICs市場だけで08年の560億ドルから4200億ドルに成長する可能性があるとみられているが、この額は08年の国内市場と米国市場の合計額に相当する。
 
 2つ目の理由は、ジェネリック事業の拡大。医薬品大手は既存主力新薬が特許切れを迎える「2010年問題」に直面している。特許失効後は順次ジェネリックに切り替わるが、グループ内のジェネリックメーカーが特許失効薬をジェネリックとして販売すれば、収益源の流出を防げる。証券アナリストも「ジェネリックという新たな収益源を獲得した第一三共の成長力は一段と強まった。複眼経営は中長期的な成長戦略という点でも注目される」と述べるなど、複眼経営の成功を疑う声は皆無に等しかった。

●対米輸出禁止処分という誤算

 ところが、それからわずか3カ月後、事態は市場関係者の誰もが予測しなかった方向へ転換する。

 FDA(米国食品医薬品局)が、ランバクシーのインド国内2工場の品質がFDA基準に合致しないと、対米輸出禁止処分を下したのだった。これで売上高の約30%を占める米国市場が一時的に消失、ランバクシーの08年12月期決算は67億円の最終赤字に転落。12月末の同社株価は、買収価格の1株737ルピーから65.8%も暴落して252ルピーとなり、邦貨で3595億円の評価損が発生した。このため、第一三共は買収年度に3540億円もの「ランバクシーのれん代」を償却、05年の第一製薬と三共合併後初の最終赤字に転落した。

 さらに13年9月と今年1月、ランバクシーはインド国内の別の2工場でもFDAから対米輸出禁止処分を受けた。これで計4工場が対米輸出禁止になる異常事態に発展した。これを受け第一三共は2月、処分を受けた4工場のうち、2工場を操業停止せざるを得なかった。停止した2工場は世界各国のランバクシーの工場へジェネリック原料を供給しているマザー工場だった。これでランバクシー自身のジェネリック事業が瀬戸際に立たされる羽目に陥ったのだった。

 ちなみに米経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は4月8日、ランバクシーのインド工場のずさんな品質管理の実態について次のように報じている。

「従業員は原料と成分がFDA基準に合致しない時は、試験結果を改竄して合致したように見せかけていた」
「同工場内研究所は『ひどく荒廃』しており、窓は閉まらず、ある部屋には『数え切れないほどの蝿』がいた」
「保守担当者は、実施していない検査を実施したかのように見せるため、空白の書類に署名だけをすることがしばしばあったと証言」

 第一三共は一連の事態を受け、ランバクシー創業家CEOを更迭し、自社から約10名の技術者を派遣、品質管理体制を点検したが、抜本的改善には至らなかったようだ。

●甘いデューデリジェンス

 また、買収前のデューデリジェンス(投資先の経営実態調査)の甘さも指摘されている。前出の4月7日の記者会見で中山社長は、「事前に入手可能な情報で『適切な精査』をした」と釈明した。だが、証券アナリストは「一体どんな精査をしたのか。ランバクシーの事業モデル評価や同社の世界販売網を利用した売上拡大のシミュレーションに注力するあまり、メーカーとして最重要な品質管理評価をないがしろにしていたのではないか」と分析する。

 また、中山社長は会見で「今年中にサンとの事業提携に向けた交渉を煮詰めたい」と、頓挫したジェネリック事業戦略の善後策も説明したが、サンも今年3月にインド国内の1工場がFDAから対米輸出禁止処分を受けたばかり。ランバクシー株との交換で新たに株式を取得したサンの経営自体が、FDA処分で先行き不安状態なのだ。

 市場関係者の一人は「FDA処分を受けてからの6年間、ランバクシーの品質管理問題を何一つ解決できなかった同社の海外マネジメント能力こそ深刻な問題だ。高い授業料を払ってランバクシーから何も学習していない。これでは同社のグローバル事業の先行きが思いやられる」と批判する。

 グローバル事業とジェネリック事業の戦略練り直しを迫られた第一三共は、しばらく厳しい経営環境が続きそうだ。

福井晋/フリーライター


 

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