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日本電産、“変わり続ける”経営で最高益 果敢な構造改革と連邦経営脱却で「1兆円」視野(Business Journal)
http://www.asyura2.com/14/hasan87/msg/777.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 5 月 19 日 07:01:20: igsppGRN/E9PQ
 

日本電産、“変わり続ける”経営で最高益 果敢な構造改革と連邦経営脱却で「1兆円」視野
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140519-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 5月19日(月)3時0分配信


 電子部品大手の日本電産が4月22日に発表した2014年3月期連結決算は、売上高が前期比23.4%増の8752億円、最終利益が同7.1倍増の564億円で、いずれも過去最高を記録した。本業の儲けを示す営業利益も同4.8倍増の851億円となった。自動車用と家電用モータの売り上げが伸びたほか、主力の精密小型モータも前期に進めた生産効率化の効果が業績を押し上げた。

 15年3月期の連結業績は、売上高が8.6%増の9500億円、営業利益が17.6%増の1000億円、最終利益が15.2%増の650億円の予想を示した。しかし、同社は「これはかなり控えめな数字」と述べ、期中の上方修正の可能性を示唆した。

 また翌23日に開催した決算説明会で同社は、16年3月期に売上高1兆2000億円を目指すとの目標を示すと共に、「重点2事業」としている車載(自動車電装部品)部門と家電・商業・産業用部門の売り上げ比率を14年3月期の40%から16年3月期は50%へ引き上げ、精密小型モータ部門33%、車載部門25%、家電・商業・産業用部門25%、その他部門17%の4本柱からなる安定した事業ポートフォリオに転換するとの経営計画を示した。これについて、永守重信社長は「売上高1兆円超えは悲願ではなく、単なる通過点。当社は14年3月期から『第2次高度成長期』に入っている。本当の悲願は売上高10兆円」と、今後の成長に自信を示した。

●収益構造転換と、コスト削減のシステム化

 永守社長の自信には2つの根拠があった。

 1つ目は収益構造転換の成功。精密小型モータ部門の主力事業であるHDD(ハードディスク駆動装置)用モータは、パソコン市場縮小の煽りで採算性が悪化し、13年3月期第4四半期(13年1-3月)の連結営業赤字の主因となった。同社は直ちにHDD用モータ事業の縮小と生産効率化を実施し、この迅速な対応で精密小型モータ部門の14年3月期第2四半期(13年7-9月)の営業利益は、同第1四半期(13年4-6月)比約20%増を確保した。

 その一方で、車載用や家電用モータの売上高と営業利益も伸びた。HDD用モータ事業で削減した開発、製造、販売などの経営資源を、車載・家電用事業に振り替え投入した結果だ。

 2つ目はコスト削減のシステム化。コスト削減というと、ともすればリストラの手段として緊急的に行われるのが通例だが、同社の場合は事業活動の中にコスト削減の仕組みを導入、システム的にコスト削減をしているのが特徴といえる。その仕組みが「Kプロ」「Mプロ」と呼ばれているもので、08年のリーマンショック克服の過程で確立されたコスト削減策だ。

 Kプロとは人件費、材料費などの直接経費以外の間接経費、すなわち事務用品費、通信費、出張費、交際費などを削減するプロジェクトのこと。売上高1億円当たり500万円という厳しい削減目標を設定してあり、これを社員提案などによって現場サイドで無駄を洗い出し、「経費の贅肉」を削ぎ落としてゆく。

 Mプロとは資材費削減プロジェクトのことだが、資材調達先などに値引き要求をするような単純な資材費削減策ではなく、次の3点となっている。1つ目は、複数の資材調達先の中から供給力の高い1社を選んで調達量を増やし、調達価格を引き下げる。2つ目は、世界中から、より低価格の資材を探し出す。3つ目は、生産効率性を高めるため設計や製造法を見直し、少ない資材で製造できるようにする。このほか、設備投資においても、グループ内で遊休生産設備や生産余力の有無に関する情報交換を行い、グループ会社間で設備やラインを融通し合うなど、新規設備投資を極力抑える工夫をしている。

 KプロもMプロもボトムアップによるコスト削減運動のようなものなので、社員の理解と協力を得られやすいメリットがあるようだ。同社関係者は「KプロとMプロを現場で複合的に展開する過程で『どうして今まで利益を出せなかったのか』や『会社を強くするのは現場そのもの』という事実を社員が肌で感じるようになるのが大きい。2つの『プロ』は現場発のコスト削減策であると同時に、日本電産グループの最も実効的な社員教育になっている」と胸を張る。

●リーマンショックを契機に、収益構造改革を成功

 同社の売上高を過去10年間の推移で見ると、03年度から07年度まで順調に伸び、08・09年度にストンと落ち、翌10年度から緩やかな伸びを回復している。2年間の売り上げ減の原因は、08年9月に発生したリーマンショックだ。4月23日の決算説明会で、同社は03年度から07年度までを「第1次高度成長期」、08年度から12年度までを「事業ポートフォリオ転換準備期」、13年度以降を「第2次高度成長期」と位置付けている。換言すれば、リーマンショックを機に進めた抜本的な収益構造改革が、同社を強靭な会社に変えたのだ。

 では、リーマンショックで同社はどう変わったのか。

 永守社長は複数のメディア取材の中で、リーマンショックについて「あれはクラッシュ。言い換えると『地割れ』のような感覚だった」と振り返っており、当時の経営危機克服を次のように説明している。

 通常の不況は小波のように緩やかにやってくるし、エコノミストもさまざまな警戒シグナルを発信するから事前対策ができる。しかしリーマンショックは津波のように突然押し寄せてきた。それで「売り上げが急減し、計算すると毎月100億円の営業赤字。このままでは36年間やってきた会社が潰れる」(永守社長)との恐怖感に襲われたという。

「会社を潰せば社員を路頭に迷わせる。どうすればいいのか」。その責任感が「WPR」(ダブル・プロフィット・レシオ)という同社独自の緊急対策を着想させた。これは、生産性を2倍にし、損益分岐点を大幅に引き下げ、売上高半減でも営業黒字を出せる体質に変える。そうすれば、売上高がピーク時の75%まで回復すれば売上高営業利益率は10%に、売上高が100%回復すれば売上高営業利益率は20%になる。そのために今の2倍働こうという緊急対策だ。

 WPR実施と同時に、賃金カットに踏み切った。当時、役員の間には「今は非常事態。人員整理もやむなし」の声が高まっていた。だが、同社は創業以来人員整理をしたことがなかった。WPRも雇用を守るのが目的だった。だから役員の声は無視し、代わりに会社の危機感を労使で共有するチャンスに変えようと永守社長は考えた。そこで「人員整理はしない。だが賃金カットはする」と公式に発表した。賃金カットは09年2月から一般社員が最大5%(管理職社員は最大10%、役員は最大50%報酬カット)。一般社員と管理職社員の賃金カット分は、業績回復時のボーナスで補填するとの条件を付けた。

 その上で「1円でも効果が出る収益改善策やコスト削減策を発案せよ」と、グループ全社にハッパをかけた。すると、社員から5万件以上の業務改善提案が上がってきた。それらを1件ずつ精査し、実効性の認められる提案を次々と実行していった。例えば、DCモータは金型の内製化率を100%に引き上げた。磁気開発では設計段階で標準化を進め、約70%を共通化した。タイ工場では製造工程の再編・集約を行うと同時に、電気料金が割高な夕方の操業を休止した。

 こうした取り組みの結果は、すぐに現れた。08年3月期第4四半期は数百億円規模の営業赤字を覚悟していたところ、10億円の黒字を出し、通期では前年同期比31.7%減ながらも528億円の黒字を確保した。そして翌09年3月期通期では、売上高はピーク時の75%しか回復できなかったにもかかわらず、営業利益は過去最高の793億円を稼ぎ出した。09年12月のボーナス支給では、一般社員と管理職社員の賃金カット分に銀行利子の2倍分を上乗せして補填をした。

 このリーマンショック時の緊急対策が、会社に対する社員の求心力を強め、事業ポートフォリオの転換をスムーズにさせ、収益構造改革を成功させたのだ。

●「連邦経営」から「グループ一体化経営」に転換

 同社の実態は、子会社229社と関連会社5社から成る「中小企業連合体」といっても過言ではない。実際、これまでは子会社・関連会社の独立経営を尊重する「連邦経営」を行ってきた。ところが昨年から、この経営基本方針を修正、同社は「グループ一体化経営」に舵を切った。M&Aの繰り返しで子会社が増え過ぎた結果、連邦経営では統制が利かなくなってきたとの見方もあるが、同社関係者は「そういうことではない。グループの全体最適化を実現するのが目的だ」と、次のように説明する。

 例えば、日本電産本体と日本電産サーボは、ほぼ同じような製品を開発・製造してきた。しかも親子間であるにもかかわらず、客先で競合までしている。こんな大きな無駄を解決するためには、製品の棲み分けを明確化する必要がある。また、グループ内で生産調整ができれば、減産などで人員余剰になった場合も、その社員たちに人手不足の会社へ移籍してもらえば人員整理を防げる。

 要は従来の連邦経営は個別最適の経営体制だったが、これがグローバル市場化の進展で限界にきた。これからはグループ全体で生産の効率化や無駄の解決を図る全体最適の経営体制が重要であり、そのためのグループ一体化経営だという。同社はグループ一体化経営に向け、昨年から子会社の「製品別グループ再編」も進めている。

 創業から40年。悲願の売上高10兆円達成に向け、同社はこれからも環境に合わせて迅速に変わり続けてゆくようだ。

福井晋/フリーライター


 

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