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PC特需、なぜ“二度とない”規模に?その実態は?大幅な需要先食いでメーカーに不安
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140519-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 5月19日(月)3時0分配信
長年多くのユーザーに愛されてきたOS(コンピュータ全体を管理する基本ソフト)であるWindows XPは、マイクロソフトによるサポートが4月9日をもって終了した。XPのパソコン(PC)が使えなくなるわけではないが、セキュリティリスクに晒され続けることになるだけに、これを機会に買い替えようという呼びかけは各所で長く行われてきた。
企業ユーザーの乗り換えは比較的早い段階から時間をかけて行われていたが、個人ユーザーは瀬戸際まで買い替えを延ばした人も多かったようだ。そこに4月1日からの消費増税前の駆け込み需要も重なり、3月はさながらPC特需となった。
3月に入ると、徐々に通信販売業界でも手頃な価格のPCの在庫が切れ始め、3月中には納品されない状態になってきていた。中には、納品時に決済をするため、増税後の消費税率が適用されてしまうケースもあり、「もっと早く購入しておけばよかった」という後悔の声も少なくなかった。
3月後半の家電量販店店頭では、PCを購入するための行列ができていた店もあり、増税前最後の週末には選べる品が少ない上に会計は行列、という散々な状態になっていたようだ。
「かなりの特需が来ている」と感じるところではあったが、実際にはどれだけ売れていたのだろうか?
●デスクトップ型の販売台数が大幅増
4月末に電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した、PCの国内出荷台数のデータによると、3月は前年同期比120.8%となっている。2月は122.2%、1月は163.8%なので、3月が突出しているというわけではない。しかし、このような増加傾向は、2013年10月から続いている。
13年の第1四半期は81.9%と、かなり目減りしていた。第2四半期に101.2%と前年並みに復調。これが10月から一転して120%前後で推移するようになり、第3四半期は119.1%。14年冒頭の3カ月をまとめた13年度第4四半期は130.5%という結果になった。つまり、XPのサポート終了がメディアなどで大きく取り上げられることが増えた時期から顕著に伸びている。
内容の構成比も興味深い。近年はノート型に人気が集まっていたが、第4四半期の内訳はモバイルノートが112.3%。A4型を中心としたノートPCが128.6%で、デスクトップPCは145.0%だった。特にデスクトップ型でもディスプレイと本体が分離しているタイプは163.6%と大きく伸びている。サブマシンではなく、メインとして使うマシンが売れたということなのだろう。
●二度とない特需?
受注してから要望に合わせた仕様で組み立てを行う、中規模のPCメーカーでは、この1月から3月に創業以来最多の出荷台数になったという。アベノミクスの影響で多少好景気になっているところへ、増税とXPのサポート終了という要素が重なったことで、かつてない特需となった。同社は、「これほどの特需はもうないだろう」と見ている。
実際、PC関連でこれほど大きな需要が発生することは、近い将来にはなさそうだ。ビジネスユースではある程度の乗り換え需要は定期的に発生する。IT活用がさらに広がって、新たな需要が出てくるという意見もある。
しかし今回は、個人利用者も一斉に買い替えた。しかも、12年以上前にリリースされたOSを、その後に発表されたWindows Vista、Windows 7の2世代分の期間、買い替えずに使い続けた人々だ。つまり変化を嫌い、腰も重い層だと考えられる。今回は、Windows XPに比較的使用感の似ているWindows 7を購入した人と、最新のWindows 8.1を購入した人に分かれていると考えられ、一斉にOSのサポート切れを迎えるということもないだろう。
今回、PCが壊れたり、使いたいアプリケーションが動かなくなったなど、物理的に「使えなくなった」から買い替えたという人は少ないと考えられる。すなわち、もともと買い替えを考えていた人だけでなく、しばらく使い続ける予定だった人も巻き込んだ結果の特需だ。言い換えれば、PCを買いたいと思う人の貯金を1回使い切ってしまった状態にある。
この特需を越えた先で、各PCメーカーはどのように対応していくのか。一部では法人向けマシンや、映像処理等の業務用途にも耐えられる高性能機などを強化しようという動きもあるが、それだけで業界が十分に支えられるのか、気になるところだ。
エースラッシュ
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