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50年後の人口1億人維持を提言した「選択する未来」委員会。右端は甘利明経済再生相
【大前研一のニュース時評】人口減少問題 働き手不足解消する「グリーンカード制」
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140518/dms1405180830001-n1.htm
2014.05.18 夕刊フジ
政府は「50年後の2060年代に人口1億人を維持する」という中長期の国家目標を設けた。このままでは、日本の人口は60年に8600万人台まで減少するため、20年ごろまでに集中的に対策をし、人口減少に歯止めをかける考えだ。
現在、1人の女性が生涯に産む子供の数は1・41。これを60年には2・07以上に引き上げるという大幅な出生率改善策で、高齢者に手厚い予算配分を現役の出産・子育て世代に移し、3兆円規模の支援を目指す。
人口減少問題について、政府が明確な目標を打ち出すのは初めてだ。しかし、「50年先」というのが、責任を取りたくない役人のずる賢いところだ。そもそも、この問題に対する答えが、単に「女の人に子供をたくさん産んでもらう」だけでいいのだろうか。この問題は、正面からまともに取り組むしかない。
人口減社会の最大の問題は働き手がいなくなることだ。そこで政府は、「外国人材の戦略的活用」という対応策をとっている。外国人受け入れの際、単純労働者は認めない一方、高度な専門知識や技術・経験を有する「高度人材」には、永住権を取得しやすくするなどの優遇制度も2年前にスタートさせた。
だが4月末の日経新聞によると、条件を厳しくしているので受け入れペースは鈍く、高度人材の認定数は今年1月までの約20カ月で約900人。法務省が見込んだ認定ペースの3分の1以下にとどまっているという。
労働力人口総数に占める外国人労働力人口の割合は、米国が約16%、ドイツは10%。一方、日本は1%前後で、「いない」に等しい。
政府は12日、国家戦略特区で外国人労働者の家事分野や単純労働にも受け入れ拡大の検討を始めた。現在、建設業界は人が足りず、入札もできない状況になっている。そのため泥縄式に拡大の検討を始めたわけだが、これでは25年前のバブル全盛時代と同じ。需要がなくなったら、その人たちを国に帰してしまうだけだ。何の解決にもならない。
人口減少は構造問題なのだから、もっと本格的に取り組まなくてはいけない。となると、やはり「移民」は避けて通れない。しかし、日本人の外国人に対するアレルギーは非常に強い。外国人イコール悪いことをする、というイメージを持っている。だから、「移民なんて、とんでもない」と反対する人が多い。
そこで私は二十数年前から「グリーンカード制」を提案している。母国の学校を優秀な成績で卒業した人や、きちんとした資格を持つ人を積極的に受け入れ、2年間、無料で教育を行う。日本語だけでなく、日本の社会習慣、法律を教え、成績優秀者には永住と勤労を保証するグリーンカードを発行し、日本人と全く同じ条件で働けるようにする−というものだ。5年後に日本に残りたいのなら、市民権を与えてもいい。
しかし、いくら提案しても、どこも取り合わない。移民という言葉そのものが日本ではタブーに近く、菅義偉官房長官も外国人受け入れ議論を提案しておきながら「これは移民ではない」と意味不明の補足説明をしている。
だが、毎年30万人ずつ人口が減り続けている日本の将来のことを考えるなら、(50年後のことではなく)すぐに取り組まなくては間に合わない重たい課題である。
■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
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