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不動産バブル崩壊 中国にアメリカが仕掛けた国債の罠
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140515-00003961-sbunshun-bus_all
週刊文春 5月15日(木)13時1分配信
野村證券は5月上旬、「中国の不動産バブルはすでに破裂し始めている」という驚愕のレポートをまとめた。これによると、住宅の供給過剰と不動産業者向け融資資金の不足のため、住宅市場が値崩れし、中国のGDP(国内総生産)成長率が6%を下回ることもあり得るとしている。
「中国社会が安定するには8%成長が必要とされているため、これは明らかに異常事態。直近14年1〜3月期のGDP成長率は年換算で7.4%。これが6%を下回れば格差問題など国内の矛盾が一挙に噴き出しかねない危険な領域に入る」(エコノミスト)
すでに中国はシャドー・バンキング(影の金融)の「理財商品」のデフォルトが多発し、企業の連鎖倒産が続く。野村が指摘する不動産バブル崩壊が本格化すれば、90年代の日本以上の金融危機だ。
しかし、中国の打てる手は限られている。「4兆ドル近い世界最大の外貨準備が頼みの綱だが、その大半は米国債。これは売るに売れない」(同前)というのだ。
いったいなぜか?
じつは米国には「国際非常時経済権限法」(IEEPA)という法律がある。米国の安全保障や経済に重大な脅威が発生した場合、外国が保有する米国の資産については、その権利の破棄や無効化などができるという法律だ。つまり、非常時には中国が持つ米国債も凍結され、チャラにされてしまう可能性がある。
日本やASEAN諸国と領土紛争を抱える中国は、そのために最後の一線を越えることができない。もし中国が他国を侵略したり、米国債の大量売却を試みれば、IEEPAが発動され、中国が持つ1兆2732億ドル(約130兆円)もの米国債は紙くずになりかねないのだ。
このため、中国は密かに米国債の保管場所を分散化し始めている。「米国による凍結を逃れるため、米国外のカストディ(保護預かり)勘定を使い、ベルギーの国際決済銀行であるユーロクリア・バンクなどに移している」(別のエコノミスト)という。
オバマ大統領は先の来日で、沖縄・尖閣諸島について、「日米安全保障条約の適用対象」と明言したが、これは尖閣有事がIEEPAの対象となることを示唆したものだ。中国は米国の罠にはまりつつある。
<週刊文春2014年5月22日号『THIS WEEK 経済』より>
森岡 英樹(ジャーナリスト)
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